姫からの御願い
ヒロイン的な人物を一人出す事が出来ました。
しかし、設定などは、試行錯誤中なので、変わる場合があります。
それでも楽しんでくれたら嬉しいです。
自分を姫だと名乗った少女にハクウは、どうも反応しなかった。いや、正確には反応できなかった。
ハクウの耳には彼女の声が聞こえなかったからだ。
『さてと、彼女は、自分の事について話をしたみたいだけど、聞こえなきゃ意味はないからなあ…よし』
ハクウは、右手を彼女の前に出した。
「リカイ。これは?」
「分かりません。しかし。害意はないようです。姫」
リカイの言葉を聞きモミジは、勇気を出してハクウの手に触れた。
『聞こえますか?』
『!』
突然、頭の中にリカイ以外の男の声が響いてきた。
『驚かせてすいません』
声は、丁寧で、そして、優しかった。
『あ、いえ。突然でしたので、』
『そうですか。では、改めまして。僕は、天木 白羽。しがない旅のメクラです』
『御紹介ありがとうございます。私は、和の国の姫が一人。紅葉と申します。』
『和の国…』
突然、ハクウは、押し黙る。
『あの…。天木様』
『すいません。自分の故郷でもあったので懐かしんでしまって』
『そうですか』
モミジは少し、ほっとした。さっきの聞こえてきた彼の声が少し哀しみというか怒りに似たものを感じられたからだ。
『では、紅葉様が、僕、いえ。私のようなメクラに話とは一体何でしょうか?』
『分かりました。お話します』
そう言ってモミジはハクウに語り出すのであった。
『と、いうわけです。どうか、御願いを聞いていただけないでしょうか』
話終えたモミジは、ハクウに頼み込んだ。
ハクウは、黙って彼女の話と彼女の願いについて考えていた。
まさか、そんな頼みがくるなんて。それに、こんなにも早く同じ故郷の人に会うなんて。
ハクウは、和の国を出て1ヶ月になっており和の国の文化がある街はもう無く、今は、西洋文化の強い街などに入っていた。
どうするか。
暫く、ハクウは、考えた。
長い沈黙が続く。
そして。
『分かりました。その申し出。承りました。』
ハクウは、久しぶりの社交辞令的な礼儀正しい言葉で返した。
『何が待っているのやら』
ハクウはこの先の事を考え、杖を持つ手に力をいれた。
馬車は、そんな彼らを次の街へと運んでいくのだった。




