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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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242/255

第242話:よくおやすみでしたね

 一番近い、そこそこ広めなところが売りのビジネスホテル風のファッションホテルに二時間ほど滞在し、食後の運動会を終えて、より心の距離を詰め合ったあと、再び栄まで出てきた。


 お互い腰が痛いというほどまで頑張らず、そして吐き気を催すほど先ほど食べたものが返ってくるまでの激しい動きはしなかったが、普段俺の部屋ではできないいろんなことを試してやってみた、というところだな。詳しくは……まあ、略す。


 明らかにさっきより上機嫌に、そしてツヤツヤしてホテルから出てきた彩花と共に、ウィンドウショッピングとちょっとした食べ歩きをする。運動した分というわけではないが、少し甘いものが欲しいのは確か。いくつか店を見回って、その場で食べられる物を見繕って二人で食べながらデートする。


 ここからは少し俺に付き合ってもらうことにする。最新のノートパソコンのモデルや価格、性能について、現物を見て色々とチェックしたくなった。大学の課題に取り組むだけなら現行の中古の型落ちでも問題ないのだが、延々と計算をさせたり重たい処理をさせる際にはやはり新しく速いパソコンのほうがありがたい。それに加えて値段だ。


 学生になった当初に比べて、扶養家族という収入面の枷を外したおかげでかなりの無茶……とまではいかないが、余裕が出始めてきている。おかげで最新スペックのパソコンでも、人気ゲームをフルスペックで動作させるような趣味でもなければそこそこの値段のものまで手を出すことができるようになっている。


 急ぎで用意する必要はないのだろうが、今パソコンを使っていることでわずかながら発生している処理の待ち時間を少しずつでも短縮できるのなら、短縮した分の時間を積み重ねることで探索や他のことや料理に使う時間が増えるというもの。何事も、というわけではないが、早いのは悪いことではない。早すぎると困るのは愛情を確かめ合う時間ぐらいのものだ。


 彩花も自分のパソコンのスペックには少し思うところがあるようで、一緒にパソコンを見回っている。


「何か気になることがございましたらいつでもお声がけくださいませ。可能な限り質問に答えてみせますので」


 と、店員も俺と彩花がデートをしているのを確認した上で、邪魔にならない程度に一言声をかけてくれた。邪魔にならない程度に存在感をアピールして、デートを邪魔しないでいてくれる。この店員はちゃんと教育されているらしい。


 できの悪い教育を受けた店員なら、俺か彩花かどちらか片方を相手によくわからない横文字の羅列だけでスペックを語って満足して、もう片方は完全に放置プレイ、という形にするか、男女で対応に差をつけて男のくせにそんなことも解らないのか、と言った感じで俺を軽くディスりにかかる、というようなパターンが考えられる。


 そういう雰囲気を出さずにデートの邪魔をしないだけでも加点、更にいつでも声をかけてくださいね、と仕事をちゃんとしているのも加点、あれ以来近場にいつつもできるだけ視界に入らないようにいてくれているのも加点、というところだろう。ここの店員は全員かどうかはわからないが、良い教育係をつけているんだろうな。


 各パソコンの隅っこにはQRコードが印字されているので、それを読み取ることでパソコンの詳細なデータを確認できるようになってくれている。値段とスペックがイコールになっている訳ではなく、ある程度のブランドやメーカーごとの対応が付いているのかどうかや、部品のストックが何年まで行われているのかなんかも加味されてのこの値段なんだろう、と考えると確かに納得のできる範囲の値段ではある。


 さすがに三十万四十万するようなパソコンを買うわけでもないし、デスクトップを家に置いて……というわけでもない。そこまでの物は必要ないのだ。必要なのはメモリの量とCPUの……これは型番を覚えないといけない奴か。なかなか面倒だが、一回覚えてしまえば後はしばらく買い替えるまでは……いや? むしろこの中で何が一番お手頃なのかを見定めてしまうことのほうが大事か。


 ふむ……と考えていると、彩花がパネルの色を自由に変えられるノートパソコンの前でこれぐらいなら買えるかも……と悩んでいる。たしかに、そういう配慮は女性向けっぽい売り込み方に見える。


「高い買い物だからな。納得できるまで悩んでから買わないと」


「それもそうなのよね。でも、現状のでも問題はないから急いで買い替える必要はないんだけどね」


「それは俺も同じ。ただ、市場調査に来ておきたかったのは本当。後、そろそろイヤホンが寿命に来てるから買い替えたかったのも本当。こっちは今日ここで探していこうかなと思ってる」


 パソコンコーナーを去り、ヘッドホン・イヤホンのコーナーに移る。移動する際にさっきのパソコンの大先生が居たので、一礼して去っていくと、にこやかに送り出してくれた。流石はプロ、と言ったところなんだろう。


 非密閉型のイヤホンを探してきたのだが、主流は密閉型のカナル型……だったかな。ただ、非密閉型にしろ密閉型にしろ、ワイヤレスが主流のようだ。ワイヤレスはうっかり充電を忘れると途端に使い物にならないただの耳栓になりやすく、充電を忘れがちな俺にとってはあまりお勧めされたくないものだ。


 俺としては静かに音楽が聞ければそれが一番いいので、非密閉型のイヤホンやヘッドホンだと、骨伝導イヤホンをお勧めする流れになっているらしい。


 値段の安いところでうんうんうなっていると、彩花がちょっとお高めのワイヤレスイヤホンをお勧めしてくる。


「最近のは長時間持つし、ワイヤレス便利でいいわよ」


「無くすと困るし、充電忘れる癖があるから有線で良いのを探しているところなんだ」


「その辺は好みだものね、口をはさまないでおくわ」


「そうしてくれると助かる。ちょっと着け心地を試したりもしたいからな」


 店に並んでいるサンプルから耳を塞がないタイプのものでお手頃価格でそれなりに品物の品質の評判のいいものを探す……という贅沢な悩みをスマホと同時に商品を見直しながら決める。


 しばらく悩んだ挙句、骨伝導で評判のいい奴を一つ買うことにした。5000円程度の出費なら痛くないし、今日の彩花へのプレゼントと共に、日々頑張っている俺へのプレゼントということで一つ……と考えていたら彩花にひょいっとイヤホンを取られる。


「これ、私から贈るわ」


「え、何の理由で? 」


「だって、私幹也の誕生日祝ってないし。遅れながらで申し訳ないけどこれも一つの贈りあいってことで納得してくれると嬉しいわ」


 少し考える。出してもらうのに躊躇するほどの値段ではないし、彩花の誕生日プレゼントももう贈った。濃密な触れ合いもしたし、このまま彩花に気分よくいてもらうためには、あえて贈ってもらう、という選択肢もあるのではないか。


「わかった。じゃあ、素直に受け取ることにするよ」


「うんうん、素直でよろしい」


 彩花が笑顔でそのままレジへ会計に持っていく。鼻歌も歌いながらなので、気分がよくなっているのは間違いない。俺がプレゼントをもらうことで彩花の機嫌がよくなり、誕生日の思い出として残るなら大事なことだ。このプレゼントは壊れるまで使って、その後大事に残しておこう。使わずに放っておくと怒られるだろうから、あえて使い倒して早めに壊れるぐらいの勢いで使っていくことが大事だな。


 会計を終えて、荷物を後ろ手に持った彩花から、はい、プレゼント、という形で前に差し出されたそれを素直に受け取る。


「ありがとう、彩花」


「ううん、私が贈りたかったから良いのよ。それに、色々貰ったしね。だから今日のところはこれで満足。さて、そろそろ帰りましょうか」


「もうちょっと遊べるけど、まだまだ遊び足りないってあたりで帰ると、また来たくなるからそのぐらいのほうがいいかもしれないな」


「そういうこと。さあ、大学へ戻りましょう。勉学の園でまたしばらく毎日を過ごすことになるんだわ。少々退屈だけど、面白い先生と面白い同期がいるし、幹也もいる。これ以上贅沢は……まあ、言い始めたらキリがないけれど、アカネさんもいるし幸せよ」


 にっこりと笑顔で笑う彩花が眩しい。後光がさしているかのようだ。ありがたいありがたい。手を合わせて拝んでいると、急に恥ずかしそうにし始めた。


「そこまでしなくてもいいわよ……今日は私のために誘い出してくれたようなものだろうし、充分リフレッシュできたわ。さあ、また月曜日から頑張りましょう」


「その為には今日明日で課題やレポートを終わらせて、しっかり提出できるようにしておかないとな」


「あ、私もう終わったわよ? 今日が楽しみだから早めに心残りがないようにササっとやっちゃった。だって、二人で愛し合ってる時にレポートのことが頭に引っかかったら台無しでしょ? 」


 確かに、あの合法ロリが君たちはイチャつく時間はあるけどレポートをする時間はなかったように見えるねえ……などとせっつかれる姿を想像するだけで台無しだ。朝日奈なら泣いて喜ぶだろうが。


「ああ、たしかにそうだな……と、急げば次の特急で手早く帰れるぞ。急行でもいいなら構わんが……今日は一日贅沢に過ごしたってことで、帰りも特急で帰りたいところだな」


「それも悪くないわね。でも、あまり時間に追いかけられるのも癪だし、間に合ったら乗るぐらいの気持ちで行きましょ。急いで乗り過ごして、それで損をするわけでもないし。時間はゆっくりあるんだからその気があれば普通列車でもいいぐらいよ」


 それはさすがに気が長いな。せめて急行で帰りたいところだ。ただ、普通列車で本当に寝て帰るなら、津新町行きの普通電車というものを利用する方法もあるな。ただ、どっちにしろアラームで起きることになるだろうから……買ってもらったイヤホン、早速出番がありそうだ。


 二人で横並びに急行に乗り、お互いの耳にイヤホンをつけて、アラームを鳴らす。これでどっちかが起きれば乗り過ごししなくてすむな。早速使っていこう。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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