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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第235話:決意

 土日に暇が多すぎる、と感じ始めたのは、最近のことだ。レポートも予習復習も終わらせてしまって家で一人昼寝を堪能するのにも限界がある。そして、昼寝をする代わりに軽く運動してきた十一層、十二層についても同じだが、ドロップ品を確保しておくためのベッドの下の容量にも限界がある。


 ベッドの下の隠し収納の箱の中の魔石がパンパンになり始め、スキルスクロールは既に場所を移して勉強机の引き出しの三段目に入ることになった。これはもう、大人しく税金を払ってちゃんと学生兼探索者として自立していくほうがいいのではないか。


「そうねえ。稼いだ分以上に取られるわけじゃないし、稼いだらその分学費だって納められるわけだし、お爺さんに負担をかけないって意味でもそろそろ限界が来たってところかもしれないわね。税金用にお金を残しておかなきゃいけないってところだけ覚えておけば、幹也なら大丈夫よ。この間もきちんとパソコンで家計簿? 作ってたけどちゃんとわかりやすくまとめてあったようだし、あなたならちゃんと地に足をつけて暮らしていけると思うわ」


 悩んでいる俺の傍でアカネが悪魔のささやき……いや、悪魔ってほどではないが、ギリギリまでで止めておく理由はあるのか? と問いかける。


「言われてみるとないんだよな。ただ、保険とか色々差っ引かれるのが面倒くさいというのは本音だ。でも、それ以上に稼げるならそもそもそこにこだわる必要もないってわけか。ダンジョンに入って出てきて換金するブラフの流れもできるだろうし、しっかり稼いで爺ちゃんに逆にお歳暮を贈る、なんてこともできるようになればいいが、爺ちゃんのことだから勉強に集中しろ、と言われるだけの疑念はあるな」


「いいお爺さんじゃないの。そういう意味でも、安心させてあげたいわよね。でも、探索者していればそれなりに儲かるから扶養を超えて働くというのをどう説得するかが悩みどころってことよね」


「そうなんだよな。うっかり大学の講義を含めてダンジョン探索してたら扶養金額超えちゃった、ゴメンね、で済むのは初年度ぐらいのもんだと思ってるし……どうすっかなあ」


 冷蔵庫に入っていたパキッと最中アイスを食べながら、アカネと相談をする。


「とりあえず、オークチーフと戦ってきて、もう数枚精力絶倫を手に入れて、それから考えてもいいんじゃないかしら。どうせ換金しに行くならまとめて換金しに行くんでしょうし、今まで扶養家族の範囲で仕事してきましたけどもうこれ以上は無理なんで大人しく税金払う方向にシフトします、と説明すれば多分納得してくれるわよ」


「そうだと良いな……いや、実際そうしている学生だっているはずなんだから、不思議でも何でもないんだよな。そう言うことにすれば……今すぐに動かせる資産は……【精力絶倫】が3枚と【水魔法】が8枚、【風魔法】が6枚それぞれと、魔石が……一杯だな」


「【精力絶倫】は5枚あるように見えるのだけれど? 」


「2枚は予備弾薬のようなものだから良いんだ。いずれ使う予定だしな」


「その時は是非とものぞかせてほしいわ。どれだけ獣になった二人が見られるのか、どれだけの嬌声を挙げてくれるのか。すごく楽しみね」


 アカネの体から、まだ何もしてないのに青白いオーラが立ち上る。一人で興奮して自家発電してれば世話はないな。


「まあそれはそれとして、いつ行くか……今日のうちに行くか。そろそろ梅雨の時期になるし、晴れてる間に荷物の移動をさせきってしまうほうが便利だ」


「彩花がバッグを置いていってくれていて助かったわね。おかげで魔石が全部入りそうね」


「そうだな……っと。こんなものか。これで【精力絶倫】2枚を残して全部隠し財産は綺麗に出来ることになったな。後は彩花に断りを入れておこう。ベッドの下の資産、2枚残して全部換金して来年税金払おうと思うんだけど……っと」


 しばらくして返事が来た。


「2枚って【精力絶倫】よね。幹也のお金なんだから幹也が自由に選んでいいのよ。私はそうね、せっかくお金があることだし、今度お昼でも奢ってもらうことにするわ」


 それが彩花なりの口止め料であることはわかっているので、好きなものを食べてもらうことにしよう。さて、そうと決まれば荷物を全部持って、大学ダンジョンへ移動だ。


「ちょっと、学生の内から所得税を支払う贅沢な人間になってくるよ」


「換金してくるだけでしょ、怖いのは後だろうから震えて待つといいわ、いってらっしゃい」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 大学ダンジョンに到着し、大荷物のまま換金カウンターへ向かう。換金カウンターでは、大荷物を運んできた俺を見て少し不思議そうにしていたが、実際にカウンターに取り出したドロップ品の量を見て、少々驚きと確認をいくつかとられた。


「最近何処かのインスタンスダンジョンへ潜られましたか? 発生した、という記憶や記録、こちらへの報告はなかったはずですが」


「いいえ、これは家に溜めこんでおいてあった分です。扶養家族ギリギリまで稼いでそこで止めとこうかと思ったんですが、このままだと卒業までに部屋がドロップ品で埋まりそうなので、覚悟を決めて持ってこようかと思いまして」


「ということは、これは最近集められたものではなく、コツコツと一年以上の長い間をかけてドロップ品を収集されたもの、という認識で合ってますでしょうか? 」


 まあ、延べ二年ということだからあってるだろう。実際は三カ月とちょっとだが、【精力絶倫】に関して言えば出てから一年ぐらい経つのでまあ言う通りだな。


「そうなります。なのでかなりの量になってしまいまして」


「そういうことなら納得しました。税制のほうも理解されているようなので説明は省きますが、国税庁のサイトなどを確認して探索者にかかる税金の欄がありますので、そちらの方をご確認ください。では、鑑定のほう入ります」


 かなりの時間待つことになり、換金所内を改めてよく観察すると、税金について書かれたものがちらほらとある。中には競馬も競輪も競艇も探索者も、勝った分、稼いだ分は所得になりますよー、というような文面のチラシが配られている。よほど脱税や申告漏れで指摘されるケースが多いのだろう。そのチラシをよく読み込んでおいて、家にも張り付けておいて来年の二月をじっと待つことにしよう。


 ちゃんと申告しないと、加算税や延滞税などさらに余分なお金がかかるようになるので、きちんと支払いをしなさい、という比較的難しい漢字や説明書きの少ないチラシを懐に入れると、ひたすらに鑑定の時間を待つことになった。量が量だし、かなり時間はかかりそうだな。


 しばらく待ちわびて三十分後、全ての計算を終えたのか、最初に対応してくれた換金所の職員が俺を呼びに来てくれた。


「お待たせしました。全部で672万9600円になりました。で、受け取り方なのですが、現金だと後日、振り込みだと翌日振り込み、という形になりますがどうしますか? 今銀行と口座番号がわかるならそれに越したことはないのですが」


「あ、それならキャッシュカードがありますからそれとスマホから……えっと、はい、大丈夫です。振込先確認できました」


「そうですか、でしたら振り込みのほうをお勧めいたします。100万円以上の振り込みは手数料はギルド負担になりますし、札束を持ち歩く必要もないので安心できると思いますよ」


「では、こちらの銀行のこの口座に振り込みをお願いします」


 うむ、一日にして軽く小金持ちになってしまった。これでリムジンを借りて一日かけてその辺を回るデートプランなんてものもたててしまえるな。それはそれで無駄遣いだと彩花には言われそうだが。


「振り込み完了いたしました。明日の午前中には振り込みが完了しているはずなので、もしも手違いや金額の相違がありましたらお気軽にお尋ねください。あと、これは仕事が増えるのであまり大声で言いたくないのですが、1月から12月までに利用したギルドの総利用金額を公文書として発行するサービスがあります。確定申告の時にでもうまくご利用ください」


 笑顔でそう告げると、鑑定士さんはそのまま去っていった。後に残ったのは長めのレシートと、それぞれのスクロールの鑑定金額。スクロールは8割の金額になっているから逆算して……【風魔法】と【水魔法】はそれぞれ24万円、【精力絶倫】は150万円での取引、ということになっているらしい。やはりオークチーフ・ランはかなり儲かるコンテンツのようだ。


 今まで売っていない【威圧】のレベルも上がるし、【威圧】が充分に上がったら直接売ってもいい。大事なのは独り占めできるという環境と、高ドロップ率確定魔石という環境。これを武器にのし上がっていくというのが大事だ。もちろん、高校時代のようにダンジョンに潜ったフリして換金まで行く、という手順も必要になるだろうが、それはそれ。


 近くにインスタンスダンジョンが発生した場合それにかこつけてまるで参加したようなふりをして魔石だけ持ってくることが出来れば便利で済む。ただ、大学ダンジョンという比較的大きなノーマライズダンジョンの近くに存在することを考えると、ダンジョン学の講義で受けた内容通りだとすると近場でダンジョンが発生する可能性は低い、とみていいようだな。


 だとすれば、ダンジョンに入場して退場して、ちゃんと中で一定時間過ごしてそれから大量に持ち帰る、と言ったブラフが必要になるだろう。また面倒くさい手間が必要になるが、それでも何もしないよりマシであり、アカネに対してもそれが礼儀の通し方、ということになるだろう。


 さて、大金が手に入ったことだし、アカネがこの間気になっていると言っていた、和菓子屋の大福を買って帰るとしよう。この金額はほぼアカネのおかげで出来ているんだから、贅沢に二個ぐらいお供えしても罰が当たることはないはずだ。


 もっといいもの出せるでしょ? と言ってくる可能性はあるが、その時は隣の駅の売店まで行って赤福買って帰ればいい。そのぐらいの電車賃を出してもいいし、自転車でフラフラ買いに走ってもいい。自由とはそういうものだ。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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