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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第220話:ケンタウロスに向けて

 ゴールデンウィークも五月に入り、彩花が実家から帰ってきた。女子寮は外泊する際、たとえ実家帰りでもきちんと何日間外泊する予定、ときっちり予定を決めてその間に帰ってこないと怒られるらしい。やはり寮でなくて正解だったと言えるな。そして昨日の夜に帰ってきて、メールでゴールデンウィーク中の予定が送られてきた。


「ケンタウロスを倒しに行きましょう。十五層まで出来てるならそこまできちんと使い切るのがアカネさんに対する礼儀だと思うわ」


 前半戦で蓄えたスキルスクロールを覚えてもらう作業もあるし、ここで一度すり合わせをしておくのも必要か。そう思い二つ返事で了承した。彩花にも一気にスキルアップしてもらって、レベルも上がってより便利に日常を生きていけるようにしたほうがいい。


 翌日、朝早くから彩花は食材片手にやってきた。どうやらこっちのキッチンで弁当を作っていくらしい。全部私に任せなさい! と言っていたので、朝食のパスタ以外は彩花任せになった。


「あら、手伝わなくていいの? 」


「任せなさいと言われたからお任せすることにした。食の保証はされてるし、お任せしても問題ないかなって」


 アカネは彩花の手際の良さを見習いつつ、何を作るか観察しておくらしい。俺はというと、全部お任せするならば昼食は完全に見ないようにして、出来上がったものを摂取する形でいこう。その為に部屋に閉じこもって装備の点検とスキルスクロールの取り出し、それから準備運動に費やすことになった。


 30分ほどで作り終えたらしく、彩花がこっちの部屋に入ってくる。


「準備出来たわよ。頼んでおいた通りに炊飯しておいてくれたのがありがたかったわ」


「つまり、米の飯は確実に食べられるわけか。楽しみにしておこう。あと、渡しておくものがある」


 スキルスクロールを四枚彩花に渡し、覚えてもらうようにお願いする。


「二人で行くのも一人で行くのも同じだしな。どうせ現金化しづらい物なら覚えてもらって糧にしてもらった方がまだ使い道があるということで、これもアカネの信者特典だと思って素直に受け取ってほしい」


 彩花はアカネのほうを向いてどうしようか、と悩んでいる様子。まあ、金額で言えば100万円相当のプレゼントを彼氏から贈られた図、という風にも見えなくもないのか。それをどうするのかは彩花次第だが……


「わかったわ。一緒に住んでない時点で多少の齟齬やスレ違いもあるだろうけど、こういうところで積もり積もって探索を進めるにあたって足を引っ張るようなことにならないようにするのも大事よね。ありがたく受け取るわ」


 彩花は次々にスキルスクロールを覚えると、【火魔法】がこれで……8かな?こっちの【エネルギーボルト】や【雷魔法】と並んだな。


「ねえ、幹也は何か属性魔法は覚えないの? 」


「一応【雷魔法】を覚えたのと、火魔法以外のスキルはそれぞれ覚えた。だから水も風もレベル1なら使えるようになってる」


「そう……ならいいんだけど、また悪い癖が出て魔石を溜めこんでるような形になってるならどうしようかと思うところだったわ」


 彩花には見抜かれっぱなしだな。実際、魔石はため込んでいる。


「魔石については二日分たっぷり溜まっている。そろそろ入れる場所に困る程度にはなってるな」


「それ、換金するのよね……? もしよければ運ぶの手伝うけど、ただ大学ダンジョンの中に入ってすぐ出て換金だけたっぷりする……ってやってるといつかバレるわよね。どうするの? 」


「今度近くにインスタンスダンジョンができたって話があった時にまとめてある程度換金しておこうかなと。それまでは塩漬けかな」


「それならまだマシかしらね。さて、行きましょうか。話しててもケンタウロスは倒れてくれないわ」


「そうだな……ついでにバブルフロッグとトレントとケットシーに威圧が効くかどうかも試しておかないと。道中は楽が出来るに限る」


「またあの小うるさい道を行き来しないといけないと思うとちょっと面倒だけど、サラマンダーに比べればマシかもしれないわね。あっちは水分を奪われないだけ体力的にもこき使われないし」


 彩花も装備を……あれ? なんか俺が前使ってた剣と違う鞘が見えるぞ。そういえば、この前新しい剣に目星をつけたとか何とか言っていたような気がする。


「剣、新しくしたのか。そういえばなんか目を付けた一品があるって話をしてたような気がする。そっちに替えたんだな」


「ええ、新品よ。結構かかったけど、幹也のおかげでお金には余裕があるし、これから稼ぎに行くんだから問題はないわよね? 後、古い剣は下取りに出しちゃったけどそれも問題ない? 」


「その分安く買えたなら問題ないかな。新しい武器の切れ味を今日お試しになるということでよろしいか」


「よろしくてよ」


 彩花と二人着替えて、ダンジョンへ向かう。アカネはたまには付いてくるらしく、一緒にダンジョンの中までついてきた。


「そういえば、アカネはワープポータル使えるのか? 」


「厳密に言えば使えないけど、似た機能を使うことができるわ。ダンジョン内ならどこでもワープできるのよ。だから、ケンタウロス戦もしっかり見させてもらうことにするわね」


 そういうと、アカネの姿が消え去る。不思議がりながらワープポータルを抜けて十層に抜けると、そこにアカネは居た。


「ね、ワープできるって言ったでしょ」


「それがダンジョン建築者特典みたいなものか。便利でいいな」


「他にも色々と権限はあるけど……あまり他人に見せびらかせるようなものでもないとは言われてるから緊急時以外には使わないでおくわね」


 アカネがその場でふよふよと浮かびながら笑う。彩花が俺に続いてワープポータルをくぐってきて、先に来ていたアカネに驚く。ここまでが俺と同じ流れだ。


 彩花は新品の剣を俺に見せびらかしながら、切れ味のほうを確かめている。試し切りにシャドウウルフと相対して戦ってみているが、重さも振りの幅もちょうどいい具合でやれているらしい。俺があげた前の武器よりも使い勝手が良さそうで何よりだ。


「これ、良いわね。そこそこお値段がしただけはあったわ」


「値段は聞かないでおくよ。後で耳が痛くなりそうでもあるし……あ、でもスキルスクロールを売ってその分回収したいならいつでも言ってくれていいからね。水魔法と風魔法がそれなりの枚数あるんだ」


「まあ、火魔法のスキルスクロールをもらっておいて今更感はあるのだけれど、生活に困って苦しい時にお世話になることにするわ。そのぐらいじゃないとあまり使いそうにないし」


「ぜひとも。スキルスクロールだけじゃなくて魔石も大量にあって、多分今日の報酬を箱に入れたらもう入りきらないぐらいにはなってると思う」


「早いところ新しいインスタンスダンジョンが生まれてくれるのを願うしかないわね」


 十層のシャドウウルフをきっちり威圧で抑え込んでる間に彩花が倒し、その繰り返しで一気に十二層まで来た。スケルトンメイジがスキルスクロールを落とすかどうかはわからないが、道中二、三枚落ちるかもしれないのは予想の範囲内だ。帰りも含めたら6枚ほどは入手できることになる。前回十五層に来た時もしっかりとドロップはしていたので、今回も何枚か拾って、雷魔法と火魔法についても運が良ければさらに強化できるだろう。


 そう思って十二層最初のスケルトンメイジをマジックミサイルで倒すと、早速スキルスクロールが落ちてきた。なかなかに幸運だな。中身が何であるかはまた後で鑑定するとして、今は十五層へ到着するのを最優先にしよう。ケンタウロスさえ倒してしまえば後はリポップ時間の間にマジックミサイル集めに時間を取ってもいいし、やることはいくらでもある。やることが出来ないのは換金作業ぐらいだな。


 スケルトンメイジもつい最近お世話になったばかりなので、ちょっと作業感が強めになる。スケルトンメイジの場合最初から威圧をかけるのではなく、魔法の詠唱らしきものが始まってから威圧をかけだすのがポイントだ。それにより、一時的に集中力を乱して魔法の発動をキャンセルさせることができる。その間に近づいて攻撃、というパターンが比較的楽に戦える。


 威圧の効果で一瞬モンスターが怯むのも楽が出来ていい。そういう意味では、俺と彩花はダンジョンの厳しさであるとか本当のモンスターとの戦い方というものを学んできてはいない、ということになるんだがそこについてはとりあえずケンタウロスを倒してからの課題としておこう。明日とは言わないが、できるだけ早い日に大学ダンジョンへ行って、威圧を使わずに戦う方法を構築していくようにしたほうがいいだろうな。


「うむ、威圧頼りなのはまあいいとして、ケンタウロスに威圧が通じるとは思えん。ここは威圧なしで戦わなくちゃいけない、と考えておいたほうがいいだろうな」


「そうね、仮にも中ボスだし、幹也の威圧のレベルが……今はいくつになってるかわからないけど、その自信を参考にするなら15よりは上になってるんだろうから、ここまでの面倒くさいモンスターは安心して倒せると考えることにしましょう。レベルのおかげもあるけど、気持ちよく戦えてるのは確かだし、苦戦らしい苦戦はしないのは、中ボスに挑むにあたって少し必要な体験かもしれないわね」


 彩花も気づいてはいるらしいので、それに沿ってこっちも戦闘プランを練ることにするか。とりあえず、十五層でケットシー相手に威圧が効くことを確認したらそこから先は威圧なしの戦闘に切り替えていくことにする。結局十二層では三枚のスキルスクロールが落ちた。


 十三層十四層は面倒くさいしわざわざ浅い階層で威圧を使わず戦う理由はない。どうせなら一番深いところでやるべきだろう。まあ、トレントみたいに戦いにくい相手をあえて選んで済ませる、という方法もあるが、今回の目的はケンタウロス退治がメインだ。威圧なしの戦闘はサブ目標になる。メインを達成してからサブ目標の達成、という順番で良いだろう。


「上がったー! 」


 そう考えていると、彩花のレベルが上がったらしい。このまま十二層から十三層にかけて移動していく間に俺ももう一レベルぐらい上がらないかな。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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