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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第216話:早め早めのレポート作成

 ゴールデンウィークに入った。今年はそこそこ長めの休みなので、レポートの提出が多いのか……とも思われたが、それぞれの履修で各一項目ずつの提出となったため、それほど困る量ではない。


 なので、初日のうちにさっさと終わらせにかかることにした。お互いの学習進捗を確認し合うため、彩花と俺の部屋で二人、集中してレポートをどんどん書き込んでは、次へ次へと進めていく。


「よし、四科目終わり。あと三科目とゆっくりレポートだな」


「終わるの早いわねえ。こっちも今日中には終わりそうだからいいけど。それより、ゆっくりレポートってそんなに大事なの? 」


 彩花がレポートの手を止めずに動かしながら、目線もパソコンに固定したまま聞いてくる。どうでもいいが、二つのことをしながら作業をすることはボケ防止にいいらしい。しばらくボケる心配はなさそうだな。失礼な話だけど。


「ゆっくりレポート自体は大事ではないが……自分の趣味を語ることはあまり好きではないから微妙な気分ではあるな。俺だけの秘密基地を披露するような気分にもなるし、もしもこれが流行ってしまったらどうしよう、という考えもある。あと、遅刻一回分がレポートで帳消しになるなら安いかなって」


「さすがに日向ぼっこが流行る可能性はないと思うわよ。ここの学生そこまで暇じゃないだろうし」


「それはそうなんだが……なんというか、自分の人知れない趣味を公開する、というのはやはり抵抗があるな……どうするか、とりあえず最後に書くとして、他のレポートを先にやっていくかな」


 ゆっくりレポートは後だ。先にデータサイエンスと環境科学、外国語を終わらせてしまおう。


 カタカタと、二人分のパソコンを動かす音だけが響く。コーヒーと茶菓子が出るようになっただけ俺の生活スタイルも改善し、前の部屋より綺麗で少し広くなった分足を伸ばす広さも確保できたというもの。


 机の下では伸ばした足でイチャコラし合っているので、集中できているとはとても言いがたいが、少なくとも手は止まっていないので、真面目にやっている範疇には入るだろう。


 しかし、一回生とはいえ、ダンジョン学部生はそれなりに忙しい。他の学部に比べて単位が余分にある分も含めて、既に三回生と同等の講義を受けているのと同じだ。


 もしかしたら一回生向けに易しめのカリキュラムを組まれているのかもしれないが、それでも自由時間というものはかなり絞られている。


 門限までに終わらせるつもりでいる彩花を余所目に、ゆっくりした場所について考えながら手を動かしてまた一本レポートを仕上げにかかる。


 これでデータサイエンスのレポートは終わり。次は英語か。そういえば前期が始まる前に受けたテスト、そろそろ帰ってくる時期だな。一定ラインを越えてたらそれで1単位くれるらしいけど、どうなってることやら。そこまで難しいテストではなかったので単位は取れていそうな気はするが、取れてなかったときのことを考えて学習をしておくべきではあるな。


 さて……もう一本も終わり。後は環境科学か。こっちは高校時代にあまり興味をそそられなかった分野なだけ少し遅れているという自覚がある。その分取り戻すつもりで、予習復習をしっかりやって調べものをしながらいこう。ここはまだ落ち着いて学習すれば問題ないだろう。


 ただ、講義内容からして環境汚染や水質汚濁など、ダンジョン学部にかかわりがないかどうかと言われれば、ちょっと関係がある。現状、魔石の中の何らかのエネルギーを消費して熱と電気だけを使用する魔石発電所は、環境問題の改善につながる近未来の発電として注目をされているし、魔石発電による新しい汚染みたいなものがあるかどうかは、まだ現状では把握されていない。


 もしも新しく魔石発電によって何らかの公害が発生していたのだとすれば、それは発電所の回りから順に生態系や周辺住民に影響は出ているはずだから、現在でそれが報告ないし観測されていないということは、現状の計測機器では計測できていない、というところだろう。


 例えば……そうだな、合法ロリが前に使ってた、魔石内の残留エネルギーを測定する機械のようなものが必要になってくるんだろうな。そういう目線でのレポートを出しておくべきか。新しく魔石による汚染が発生する可能性についてもレポートに記しておくべきか。


 ……いや、余計なことを書き込んで変な波風を立たせることは止めておくべきだろう。もうしばらくは魔石発電についての利点ばかりを並べておいて、いざ問題が発生した時に解決方法を求めるか、あらかじめ解決方法を探しておいて、その後で問題になり次第提示する、というほうがまだいいだろう。


 全レポートこれで終わり。後は休みをのんびり楽しみつつ、怪しい履修科目を予習復習できる範囲でやっていくこととするか。生協に行けば参考書籍は手に入るだろうし……いや、生協はゴールデンウィークは休みだったかな。


 どれどれ……休みだな。レポートが出来上がった以上関連書籍を買いに行く予定も必要もなくなったわけだが、これはちょいと不便だな。休み中は大学外部で色々と調達しなければいけないらしい。まあ、大学内に居を構えている訳ではないし、近くにスーパーもコンビニもあるので食材と日用品には困らないか。


「終わったー! 後は幹也のゆっくりできる場所のレポートだけね。是非とも参考にさせてもらうわ。一人の時にこっそり行ってみて、どういう環境で幹也がゆっくりできるのかを楽しむのもありだわ」


「今はそうだな……さっさとレポートを終わらせて彩花の膝枕の上が一番ゆっくりできそうかな」


「じゃあ、さっさと終わらせてしまうことね。それが終わり次第私がレポートを読んでる間にゆっくりできる場所を堪能してくれればいいわ」


 要するにとっとと書け、ということなのだろう。仕方がないので早速書き始めると、今度は俺の膝の上に彩花が頭を乗せ出した。終わるまではこっちの膝を使うらしい。これは足がしびれる前にとっとと書き終えてやらなければいけない奴だな。


 レポート自体はそう枚数の多くなる内容ではない。ざっくり四段落に分けて書き記し、そもそもゆっくりできる場所の定義と、学内休日に見つけた五つのポイントと、実際に平日に訪れてみたポイントの変化、そして結果論としての今の所ゆっくりできる場所ランキングをつけ、それぞれの場所にゆっくりできる要素がどのぐらいあって、そこにある何について俺がゆっくりできるのか、という要素を付け加えてのレポート提出、という形になるだろう。


「そろそろ勉強終わりかしらね。イチャつくころ合いだと思って帰ってきたけど……まだ早かったかしら? もうちょっと待って、盛り上がってから乱入したほうがいい? 」


 アカネが外での仕事を終えて帰ってきた。どうやら最近アカネは近所にできたさびれた地蔵様をみつけ、そこを中継ポイントとしつつ、その周りで活動を頑張っているらしい。もしかしたら地蔵も自我を持って活動できるようになるか、もしくはアカネと一つになってアカネのホームポジションが二つに増えるかもしれない、という話だ。


「まだしばらくしないわよ。幹也のレポートが終わってないもの」


「はやくしなさいよ、女の子を二人も待たせるなんて罪な男だわ。そんな子に育てた覚えはないわよ」


「育てられた覚えもないけどな。まあ、思い切って書いてしまうか。頭の中にある浮かんだ言葉をそのまま文章にするのだから、詩を諳んじるようなものだろうし、時間がかかるかどうかはまだ解らないが……と」


 とは言うものの、レポートの形でまとめるのは中々難題だ。思い出と触感だけを頼りに四千文字ほどのレポートにして提出する、というのは簡単なように聞こえて実は難しい。四千文字打ち込むだけでも、時間はそれなりにかかるし、他人に読ませる文章であることを意識すると体裁も整えなければいけない。


 まず、ゆっくりするという行為についての説明からだな……


 ◇◆◇◆◇◆◇


 何とか体裁よく書き終わり、レポート用紙十枚程度に書き出すことが出来た。これを提出すれば遅刻一回分と、ちっさい呼ばわりしたことはセーフにしてくれるらしい。しかし、自分の趣味について書き下ろす、というのがなかなか難しいということがよくわかった。趣味についてつらつらと書き連ねるのはまた、論文や作文とは違ったものが必要になるということらしい。


 さて、静かになった膝の上では、静かに彩花が寝息を立てている。アカネも静かにぷかぷかと浮いているので、どうやらしばらくこのまま俺は身動きが取れない状態が続くらしい。今のうちにUSBメモリにデータを移して、いつでも学校内のサーバーに移動させられるよう準備をしておこう。あと、印刷して提出する俺のゆっくりできる場所の話のほうは、これも生協かコンビニへ持って行って、印刷させてもらって提出だな。


 ゴールデンウィークはこれでフリーになった。しばらく遊び倒すのでもいいし、休みを良いことに彩花とひたすらイチャイチャ他人には語れない睦言(むつごと)をひたすらに話し合うのもいい。彩花もそれに慣れてきたら、いよいよもって【精力絶倫】を解禁して好きなだけ暴れまわるという楽しみもできる。


 膝の上の柔らかな髪質に手を触れて指先で転がしつつ、彩花の気持ちよさそうな寝顔を眺める。幸せそうな顔をしやがって。こっちまで幸せになってくるじゃないか。


 そう考え始めると、途端に青白いものが体から溢れ出してアカネの中へ吸収されていく。アカネはその反応に目を覚まし、こっちを向いて始まったのか! とでも言いたそうな目でこちらを見やるが、まだおねむの最中だぞ、と目線で伝え返す。


 結局夕食まで俺の部屋で過ごしていった後、彩花は帰っていった。今日はあんまりイチャイチャできなかったが、のんびりはできた。さっきの光景も俺の中ではゆっくりできる場所の一つであることは間違いない。このままなにごともなく学生生活を続けて、そして卒業して何らかの職に就くか、改めて探索者としての道に進むか。


 どちらにせよ、今のダンジョン学部に通っている間に手に入れられる知識や技術を吸い上げてからになるだろうが精々俺のために使わせてもらおう。その為にはまず……もうちょっと勉強しておくか。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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