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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第214話:ゆっくりしていってね!

 もうすぐゴールデンウィークだ。中途半端な長さとはいえ、講義もなく課題は出されるもののレポートにする範囲も狭く、とりあえず入学してから今日までのことぐらいは覚えてるよね? 程度のさらっとしたものが出される予定ではあるらしい。


 早速講義に行き詰まってる奴にとっては友達を作る力を発揮してその力で乗り越える必要のあるところではある。まあ、頑張ってほしい。俺は手伝ってくれと言われたら手伝うことにはしているが、顔も名前も知らない奴の手伝いをするのは勘弁願いたいので助けを求められたら名前と学部と顔を覚えるようにはしている。


 今のところ俺としては彩花と朝日奈ぐらいしか浅く知り合っている友人もいないので、それほど問題にはなっていないがこの整っているらしい顔が多少そのハードルを下げる効果があるらしく、隣に彩花がいるにもかかわらず俺に前の講義のノートをちゃんとまとめられているか確認したいから、少し見せてもらえないか? 等の話はされるので、講義の間の時間でスマホに写してもらってノートがばらまかれている……ということはあった。


 実際それなりに出来が良いノートが取れていると自負しているので、多分巡り巡って他の学部やもしかしたら二回生にまでいき、この共通必修取るならこのノートさえ覚えておけばOK! みたいな感じで出回っているかもしれない。金をとっておくべきだったかなあ。


 彩花のノートも同じレベルで出来が良いはずなので、彩花のが出回ってる可能性もある。彩花は俺とは違って色んな方面に顔を出したり、サークルも回ってみたりしているようなので交流範囲が広いのは彩花の方だろう。


「で、二人はゴールデンウィークどうするの? 実家帰ったりするの? 」


 昼食時にたまたま一緒になった朝日奈と三人で会食。同じゼミの学生であり、この後次のコマが大泉ゼミなためたまたま昼食が一緒になったというところではあるが、そこまで一挙一動同じ動きをしていくわけではない。何より、俺はこの後ゆっくりポイントを探す旅に出るつもりではあるし、そのことは彩花にも伝えてあるので彩花には申し訳ないが昼休みと言っても実質的に休みではないことは伝えてある。


「私はしないわよ。もう嫌になって戻って来ちゃったの? とか言われそうだしね」


「俺もお盆までは帰らないかな。こっちでしておきたいこととかあるし、買い入れておきたいものとかもあるし。生活拠点に引っ越してきてまだ日が浅いからこれが足りないあれが足りないって、色々あるんだよ。それをそろえてようやく大学生活スタートラインって感じだな」


「そっかあ。僕は実家から直接通ってるから帰る家は常に実家なんだけどさ」


「そうか、朝日奈は比較的家が近いのか。たまにいるらしいからな。小中高大と家の近くにあって、結局実家から通って全部済ませてしまう奴は」


「それは完全に僕だね。高校も家から自転車で十五分ぐらいの所にちょうどいい具合のレベルの高校があったからそこにしたんだよ」


 なるほど、実家暮らしで過ごし切ったほうが逆に省エネになるからな。これは大学卒業した後の、社会人になって引っ越しした後、その生活の変化に苦労するタイプだな。


「四回生になったら一度実家を出て一人暮らしにチャレンジすると良い。慣れておくのと慣れておかないのではその後の人生に大きくかかわるぞ」


「本条君が言うと迫力があるね。ちなみに本条君はいつから一人暮らしを? 」


「高校入ってすぐだからもう今年で四年目だな。もう慣れたもんだからな」


「おばちゃん、いつもの! 」


「あいよっ! 先生今日も元気だね! 」


 遠くから、いつものやり取りが聞こえる。どうやらあの後無事に再起動したまま過ごすことができていたようだ。そしていつものソースカツ定食を受け取り場所をきょろきょろと探し……そして俺と目が合った。


 身振り手振りで、四人掛けテーブルの残りの一席を示して、来る? とやると、大人しくこちらへやってきて座り、いつもの調子で話し始めた。


「というわけでお邪魔するよ。本条君は先日は済まなかったね。おかげで無事に今日まで命を長らえたよ」


 ちなみに、彩花にはこういうことがあった、と報告済みなので変な勘違いやすれ違いを生むことはなく、納得してもらっているので問題なしだ。


「先日は……って何かあったんですか? 」


 唯一事情を知らない朝日奈が大泉先生に事情を聴く。


「なに、食堂が休みなのを忘れたまま実験を強行してたらコンビニに行くまでの体力を使い果たしてしまっていてね。その場で倒れ込んで呻いていたらたまたま通りかかった本条君にお使いを頼んでギリギリ復活できた、というところなのさ。おかげでこの通り元気だし、あの日の夜はきちんと研究だけでなく、自分の限界を悟ったところでちゃんと途中で止めて大人しく帰ったともいやあ悪かったね」


「そんなことがあったなんて……僕が通りかかってたら間違いなく襲い掛かってましたね。良かったですね僕じゃなくて本条君で」


 朝日奈が恐ろしいことをカミングアウトしているが、頭がぽえぽえ状態でカロリーを摂取中の大泉先生には通じてないらしい。というか、朝日奈の合法ロリ趣味をきっちり弁えていないような気がする。


「それはまた怖い話だ。ならばなおさら本条君に助けてもらってよかった、と言ったところか。しかし、学生の視線を一身に浴びるなんて、私も罪な女だねえ」


 ソースをトンカツに追加して、ソースの海にキャベツもろとも浮かべたところでかじり始める。白衣の袖はちゃんとまくり上げてピンでとめてあるので、服を汚す心配もない。どうやらその辺はきっちりしているようだ。


 ご飯をはふはふと口いっぱいに頬張りながら、モニュモニュ食べる様は明らかに三十代の女性のそれではないが、可愛いは正義、という奴だろう。きっとこの先生は大学時代もマスコットとして可愛がられていた可能性があるな。今度調べてみて生い立ちとかネットに残ってる経歴とかを調べてみることにしよう。


「どうしたんだい本条君。私のカツならやらないぞ」


「そんなソースまみれのカツは要らないですよ。ソースは数滴たらすだけのほうが美味しく感じる派なので」


「そうかい、それは残念だねえ。ソースの味をたっぷり吸った衣をまとったカツもまた美味しいんだけどね。大人になればこの味わいがわかるようになるよ。間違いない」


 すごく美味しそうにソースカツ定食を食べているので、よほどのソースを使っているのかと試しにソースを舐めてみるも、普通の市販のウスターソースだった。どうやらこの合法ロリはソース中毒という奴らしい。なんでもかんでも、たこ焼きでもお好み焼きでも焼きそばでも、ソースがかかってれば美味しいと感じる系の人なのだろう。


「で、幹也は今から散歩なのよね」


 彩花から確認が入る。直接ゼミには向かわないのか、ということなのだろう。


「ああ、そのつもりだ。今日こそゆっくりできる場所を探し出してみせる」


「屋上ぐらいゆっくりできる場所があると良いわね。頑張ってきて、もし見つかったら後でこっそり教えてもらいにいくわ」


 彩花も俺がゆっくりできる場所とはどういうものなのか、というのが気になるらしくゆっくりできる場所が見つかったら紹介するという約束をしている。俺という生物がゆっくりする環境というものに興味があるらしい。


「そういえば言っていたね。今日は平日だし人も多い。本当にゆっくりできる場所になっているかどうかはわからないが、吉報を聞けると良いね。後でぜひとも教えてもらおうじゃないか」


 なんだか俺のゆっくりできる場所が段々大事になっていく。俺はただ、基本静かで時折そこそこの喧騒の聞ける、それでいて人が少なく日差しもほどほどに照らされる、そんな条件の場所を探しているだけなんだが。


「さて。じゃあ早速探しに出かけるとするかな」


 昼食の麻婆丼を食べ終わった俺が席を立ち、お先に、と食器を返却に行く。さて、俺のゆっくりできる場所は残り六カ所。一つ一つ回っていって、人がいるかどうかなどをチェックしてランキングをつけて、一番ゆっくりできる場所でゆっくりしてから次の講義に出るとしよう。


 食堂を出て順番に近いほうからゆっくりできる場所、とあらかじめマーキングしておいた場所に向かう。一カ所目はさすがに人の出入りが多く、休日にぽっかりと人がいないからと言っても平日ではそういうわけにもいかず、たくさんの学生の行き来が目立ち、とてもじゃないがゆっくりできる場所、と呼べる代物ではなかった。


 二カ所目はそこそこゆっくりできる場所であり、人通りも少なければ日も照り、風通しも良い場所であった。ただ、夏になると暑くなるのは間違いないだろうな。


 三カ所目も、コンビニともう一つの食堂の中間点になり人が多い。ここもパス。


 四カ所目は生協の真裏で穴場かと考えていたのだが、どうやら日陰になるらしく、夏は程良さそうだが冬は寒いだろう、という評価に落ち着いた。


 五ヶ所目は、たしかに一番ゆっくりできそうな場所だが、いかんせん色んな施設から遠すぎる。ここでゆっくりしている間に昼休みが終わってしまうので環境的にあまりよろしくない。


 最後の六カ所目は、二カ所目と同じぐらいゆっくりできる場所であった。二カ所目より少し遠いからか、人通りもそこそこでそれほど施設や学舎、ダンジョン学部から離れてないのも好条件だろう。


 合計六カ所を回った結果、二カ所目と六カ所目がゆっくりできる場所として俺の中にランキングされた。これからはこの二カ所を回っていこう。大学にも俺の居場所が新たにできたと考えればこれもまた悪くない。


 四年間お世話になるんだ、こういう場所は複数持っておいて、季節によって使いまわすのも悪くない。そういう意味では四カ所目も次にランクインするところだろうな。夏の暑いさなかには日陰になって涼しく風を味わえるだろう。


 ランキングをつけ終わったところでちょうどいい時間。さあ、ゼミの講義に行くとするか……その前にもうちょっとだけゆっくりしていこう。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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