表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

188/218

第188話:お正月を写そう

 翌日、彩花は昼すぎに現れた。どうやら親戚が来ていたらしく、午前中はその応対をしていたため午後からの立ち寄りになったらしい。


 なんだか久しぶりに会った彩花に新鮮さを覚える。さすがに振袖で訪れたりはしなかったのでそれは良かったが、うっかりダンジョンに潜ることになった場合に対してそれを考えての普段着での訪問なのだろう。


「あけましておめでとう、幹也」


「あけましておめでとう、彩花」


「あけましておめでとう、結城さん」


 三者それぞれ年始の挨拶をしたところで、玄関からリビングに入って、アウターとマフラーを脱ぎ、ゆっくりと伸びをする彩花。


「これ、言ってたお土産。もらったそのままで悪いけど、うちでもらったまま長い間置きっぱなしになるよりは、幹也が有効活用してくれた方がうれしいし、どうせ幹也も使うだろうしと思って」


 渡された中身を確認してみると、オリーブオイルとパスタのセットだった。どうやら、俺は結城家の中でも無類のパスタ好きということになっているらしい。ちょっとだけ心に来るものがあったが、まあどうせ食べるし……と思うとどうでもよくなってきた。早速夕飯あたりにでも作って食べることにするか。


「で、久しぶりのご実家で何を話してきたの? 」


「ま、俺もアカネも同時に帰郷したんだが……とりあえず大学は通いたいところにしか通わないって話と、もし落ちたら探索者になるって話、それから最悪修士課程ぐらいまでは行くかもしれない、という話はした。ちゃんとそれについて許可は取ってきたから、まあ大丈夫だろうとは思ってるみたいだけど」


「じゃあ、あとはやることをやるだけね」


「そういうことになる。共通テストまでもう日がないから、ひたすら過去問と傾向を分析してどういう問題が出るかと、英単語カードとにらめっこしながらとにかく詰め込むだけだな。さて、今日はどうする? 久しぶりに会ってイチャイチャするだけで終わるか、それとも勉強もしていくか」


「先にイチャイチャして満足して、それから勉強のほうが集中力が途切れなくていいかもしれないわ。途中でムラムラしてくるよりは良さそう。だ・か・ら~」


 そういいつつ、首の後ろに手を回してくる彩花。隆介ならここから容赦ないニーキックが飛び出すところだが、相手が彩花だからそれはない。安心して首にかかる重さに耐えつつ、近づいてくる唇にあらがうことなく合わせ合い。新年の好き同士の確かめあいを行う。


 十五分ほどゆっくりと、暖房のかかった部屋でお互いの好きを確かめあい、そしてギリギリの盛り上がりきるところで止める。俺ももう我慢できない……とそのままパンツを脱いで飛びつきたくなるようなところをこらえて、これが学力上昇や根性アップにつながるならと、必死で我慢する姿を見てか、彩花が少し噴き出して笑う。


「ごめん、なんか笑っちゃった」


「まあ、必死に我慢してたのが他人にもわかる程度には我慢してるからな。同じ以上に我慢させてるのは悪いとは思っているけど」


「私は一周回って楽しみになっちゃった。これが終われば幹也とどれだけ好き放題しても文句も言われないし怒られないし、そして幹也の独り占めを物理的接触でもって宣言することができるのよね。楽しみだわ。こんないい男を独り占めできるなら、多少のわがままは聞いてしまいそう。幹也は私にどんなわがままを言ってくれるのかしら? 」


 わがままか……まずスッキリしてからで良いんじゃないだろうか。欲望というのは最初から一気に湧いてくるものでもないしな。今の彩花にできることをリストアップして、その中で出来ることを順番にやってもらう……というのも中々悪くない。うむ、楽しみだな。


 とりあえず、一通りキスしたあとで膝を借りることにした。やはり柔らかいな。膝枕からは良い匂いもするし、最高だな。膝枕したまま下向いたり横向いたりスカートの中を覗いたり……今でも色々出来ることはあるな。


「結城さん、ものすごいエロいこと考えてるけど大丈夫? 幹也は相当むっつりよ」


「私だってむっつりみたいなものだから大丈夫よ。こんな姿幹也にしか見せてあげないんだから。幹也に頼まれたら今すぐお風呂も一緒に入っていいぐらいよ」


 俺を膝枕させつつ、頭を撫でて彩花がはっきりと主張する。多分隠しても無駄だから、というところがあるんだろう。アカネは心を読むからな。今から風呂を入れたら……さすがに夜までには一回沸かし直しが必要になるな。ガス代が高くなるから出来ればやりたくないが、彩花がどうしてもというなら……まあ、断るのは失礼にあたるので据え膳を喰わないこともない。


「同意は取れたみたいだけど、どうするの? 本当に一緒に入るなら私も入るから三人で入りましょ。せっかくだし私の裸を見てもいいわよ。ワンピースの中身、気にならない? 」


 どのぐらいお育ちになっているのか確認するのは別に構わないが、触れられないしなあ。そういう意味ではあっちと同じでこっちも合法ロリ、ということになるんだろうか。うむむ……しかし、年をとっても成長しない合法ロリと、年齢的には達してるけどこれからまだ育ち盛りの合法ロリ、どっちのほうが危ないかというとアカネのほうがギリギリアウトって感じがするな。


「あら、残念。私はまだ好みの範疇ではないらしいわ。せっかくシミひとつない神様の美しさをじっくりねっとりとみてもらおうとしたのに」


「それを見て俺のが反応するのを更に楽しむ気がする」


「よく解ってるじゃない。私からしたら実質的に孫みたいなものなのだから、孫の色んな意味での成長は楽しみでもあるのよね」


「二人だけで頭の中で会話されて一人疎外感を感じるわ」


 彩花が俺とアカネのやり取りを見てさみしそうにしている。


「無理に入ってこなくていいぞ。どうせ九割下ネタだ」


「残り一割はそうね。信仰対象と信者の惚れ気みたいなものかしら。だから無理に入ってこなくてもいいけど……ちょっと試しにやってみることにしますか」


 アカネが俺と彩花の額に指をぺたりと通り抜けさせて、その後自分の額にもぺたりと指を当てる。


『これで何も言わなくても思ったことが言葉になるはずよ』


『アカネの声が脳内に聞こえる。念話みたいなものだろうか』


『これ、考えてることが強制的に聞こえちゃうのかしら。それともある程度意識的に考えと出力を分離できるのかしら。そうじゃないとちょっと困るんだけど』


『彩花の声も聞こえるな。意識的に分離……どうやればいいんだろう? 』


『確かに全部が全部筒抜けだとやり辛いかもしれないわね。じゃあ……これでよし。思ったことを通話できる、と念じるようにやってみてくれるかしら』


 ふむ、これで思考分離みたいな感じになるのだろうか。どれ試しに……


『彩花、大好きだぞ』


 彩花の顔がぼっと赤くなる。頭の中に直接愛を囁くのはかなり効果的らしい。わかりやすい反応をしてくれたところで彩花がこっちをじっと見つめるが、目線をプイッと逸らして誤魔化す。


『私の目の前で愛の再告白と自分からの言い出しをするだなんて幹也も成長したものね。結城さんとダンジョン通いをしてたのをデートと認識してなくて私に聞き返してたのが懐かしくすら感じるわ』


 そんなこともあったな……彩花のほうはえっ? という顔をしている。


『もしかして、最初のころはデートだとすら認識されていなかった……? 』


『そーよ。こっちから指摘して結城さんからデート楽しかったって言われるまで気づかなかったぐらい鈍感だったのよこの男。それがこの短期間でよくもまあぬけぬけと、女の子の心と体を掴むだけの人間になり果てたわね』


『そんなに褒められても困るぞ』


「多分褒めてないわよそれ」


 脳内でなく言葉で直接彩花に指摘される。しかし、言葉と脳内と同時に扱うのはなかなか難しいな。


『カンニングにぐらいしか使えそうにないな、この機能』


『ふむ……そうかもしれないわね。とりあえず取り外すわ』


 アカネがまた額に指を当ててスッスッと何かを取り去るようなしぐさをする。その後色んなことを考えてみたが、アカネにだけ伝わっているようで彩花のほうには伝わってないようだった。


「あなた、私にしか伝わってないと思ってそんなことまで考えてたとか…… 」


「おいまて、俺は夕飯どうするかしか考えてないぞ。彩花に聞こえないからって変な捏造をしようとするのはやめろ」


「そんな細い穴に入れようとするだなんて……はしたない」


「ちくわにチーズを入れるのを卑猥な表現みたいな言い方するな」


「そんなわけで今日のお夕飯はチーズちくわを込みにしたおでんらしいわ。米炊くのを忘れないようにね」


「確かに今夜はご飯におでんだな。ちくわチーズに大根とはんぺんと餅巾着。牛すじはないから代わりにオーク肉を削って入れるか。忘れないうちにちょっとメモって来る」


 俺がキッチンに行ってメモっている間に、彩花とアカネが二、三言なにかしら話しているらしいが、聞こえないということで安心してあっちはあっちの話題で盛り上がってるのかもしれないが、まあ俺に聞かれたくない話ってのもあるだろうし、もうちょっと時間をかけてから戻ることにするか。


 さて、材料をついでに用意しておくか。冷蔵庫の前のほうにおでんの具材を用意して置き、常温のものはそのまま並べておく。彩花がもし食べて帰る場合でも問題ないぐらいには作っておくか。ついでに炊飯器も今のうちに動かそう。炊き立てにこだわるつもりはないからな。


 一通り準備をしてから部屋に戻ると、アカネと彩花が和やかな雰囲気で話し合っていた。何があったのだろう。ま、知らないほうがいいことが世の中にはある。そのまま気づかないつもりで戻ろう。


「よし、飯の準備はしてきた。後は実際に食事を作るだけだ。出来たてのおでんにご飯を合わせて、それで一品だな。野菜が不足気味なのは……最悪トマトジュースか何かで誤魔化そう。今日明日で倒れるようなこともないだろうしな」


「最悪私が何とか食事のほうは都合させるから大丈夫よ。後は共通テストまで頑張って生き延びてもらうのが大事ね」


「まあ、明日はちゃんと栄養のあるものを取るさ」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
チーズ炊いたらえらいことになりそう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ