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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第189話:新年勉強漬け

 一通り挨拶と突っ込みとイチャイチャを終えたところで、受験生に正月休みはない、というのが世間一般の考え方だろう。彩花もそのつもりで来たらしく、貸していた赤本と問題集を回収した後、二人でスマホの画面を見ながら共通テストの過去問を解いていこうと思ったら、彩花がタブレットを貸してくれた。


 二台あって、一台は型が古いので好きに使ってもいい……とのことなのでお言葉に甘えさせてもらった。この借りは入試が終わったあとのホワイトデーででもしっかり返させてもらおうと思う。バレンタインは時期が時期なので細かいことは気にせずに入試のほうに集中しようということで、今年は考えない方向性で一致している。


 なのでタブレットのお礼のホワイトデーのお返しは実質的に俺からの一方的プレゼントということになるんだが、まあ彩花も嫌がるものではないだろうし、先のことを楽しみにしすぎていて今の勉強がおろそかになるのが一番まずい。受験が終わってからゆっくり考えることにしよう。


 過去問のファイルを読み込んだタブレットを机に置き、それぞれのペースで問題を表示させながら解いていく。何度でもできるよう、別ノートに記入してあとで答え合わせ時に確実に点数が取れているようにする。過去問は9割取れていても問題ないぐらいにやり込んでおきたい。点数が取れていて損をするようなものでもないし、それを覚えたせいで他に覚えたいものが覚えられない、というものでもない。


 どうやらレベルアップによる記憶領域の拡大と記憶領域からの引き出し、預け入れの速さには今のところ限界は来ていない。きっと、仮に司法試験を受けるほどの状態になったとしても、問題なく頭に詰め込んでいけるのだろう。そもそも、レベルが1の人でもできる試験なのだから、地頭の良し悪しはさておき、人間として不可能じゃないんだ。やればできる、成し遂げれば成果が返ってくる身分であることを大きく感謝しつつ、問題に集中する。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 一通り時間を計りながらの過去問解きが終わり、解答と解説を見ながらきっちりやったことを証明する得点が目の前にたたき出されていた。この得点が取れるなら、当日までサボらなければより確実な成果が出るだろう。


 彩花が俺の答案と自分の答案を見比べ少し驚いている。そこまで、共通テストの過去問の正答数が多かったのだということだろう。実際、過去問が何点取れていればいいか、なんていうラインはわからない。一般には8割取れれば充分だという意見もあるし、9割取れれば確実だ、という話もある。実際問題として9割に届いている俺の答案は充分に学力として身についているという証ではあるだろう。


「幹也、そこまで出来るなら本当に何にでも成れそうね」


「これはいわゆる模試だからな。本試験で点数を取らんと何にもならんし、その当日に体調を崩したりして実力が出せないのならそこまでだ。当日まで安心はできないな」


「なんていうか、石橋を叩いて渡るというか……心配性ね」


「他の人の言う受験ストレスというのがちょっとずつわかり始めてきたのかもしれない。これだけ得点取れてても当日体調崩して受験できなかったらすべてがパーになると考えると空恐ろしいものがある。それだけはないように当日までしっかり健康面にも気を配って……食事にも気を配ろう。勉強はできるだけやっているんだから、それ以外の部分についてもしっかり気を配ってやらないとな」


「そうね。塩パスタばかり食べて当日脚気で動けない、なんてことにならないようにね」


「そこは心配ない。今日彩花が持ってきてくれた援助物資もあるしな。それ以外の部分については色々と手を加えていくことにするよ。後はまあ……運悪く風邪ひいたりしないように、確実にやれることをやっていくさ」


「なら、心配はかなり減ったわね。自覚がある範囲ならある程度自制も効くだろうし、私とこうやって話したり抱きしめ合ったりして、私に病気をうつさないように配慮してくれるはずだものね」


「それもそうだな、気を付けないと」


「ふふっ、しばらくはキスもお預けかしら? そうなると……ちょっと口寂しいというか、なんというか。我慢がより厳しい我慢になるからそれはそれで新しいものに目覚めるかもしれないわね」


「キスできなくて我慢が出来なくなるの、彩花のほうじゃないのか? 」


「それは……そう……かも……」


 主に自分にダメージが入ることに気づいたのか、だんだん声が小さくなっていく。そして、無言になり、こちらを向いていた視線が徐々に下へ向かい、やがてその場に崩れ落ちるほどになった。そこまでの自爆ダメージを背負うことになるとは思っていなかったのだろう。


「しょうがない子だなあ。心配しなくても、よほどのことがない限りそこまでのことにはならないさ」


「幹也、それフラグっていうのよ、知ってる? 」


 アカネが横からちょっかいをかけにきた。過去問解読中は静かにぷかぷかと、視線に入らない所にいたようだ。しかし採点が終わって一区切りついたところで乱入し始めていた。おそらくずっと話しかける機会を待っていたのだろう、そう思えば少し可愛げもあるな。


「自認して、あえて口に出して言葉にして昇華させているからフラグは折ったのと同じだ。だからきっと大丈夫だろう」


「どうかしらね。まあ、私の神力を分けてあげるから最悪のパターンは引かないようにだけ何とかしてあげるわ。これもアフターサービスってことで一応……ね」


 そういうと俺と彩花の目の前でくるくると指を回してあっち向いてホイをさせ、アカネの指に釣られてそっちを向いてしまう。


「これでよし……と。私の神力を少し使って、事故とか病気とか、そういうものからの縁を一時的に切らせてもらったわ。後遺症も残らない程度にしておいたし、後は安全ね」


「後遺症の残るレベルのまじないもある、というほうが気になるが、そこは知らないほうが安全な話らしいから聞かないでおくぞ」


 耳を塞いだふりをしてアカネの話から耳を逸らそうとする。


「まあ、話したところで実行できるわけでもないから良いのだけれど。ただ、人を呪わば穴二つの類似品みたいなものよ。強烈なまじないをかけるかわりに、反動がそれなりにあるってだけよ」


「それは充分に危険の範疇じゃないか? 志望校には合格するけど入学までに事故に遭って入学式に出れないとか、そういう類の」


「そうそう、そんな感じよ。でも、本望は果たせるからそれもありよね」


「ねーよ」


 ここは即座に否定しておく。俺も知らないうちにそんなまじないをかけられて避けられない凶事に身を躍らせる可能性だってあるんだ。アカネがこっそりとそれをかけておく可能性だってある。できるだけ強めに否定しておいて、そこまでしなくても実力でなんとかなることをアピールしておかないと。


「まあ、幹也の今の出来なら問題なく志望校にも合格できるとは思うわよ。私は学問の神様じゃないから保証はできないけど、今の緊張感をちゃんと持ち続けて真摯に向き合えばそれで充分じゃないかしら。私のダンジョンで上げたレベルについて、もっと信用してくれていいと思うわよ。後はあなたの努力次第ではあるけど……手を抜いたような様子はないし、楽しんで勉学に励んでいるようだからその辺は問題なしね。結城さんも同じくだけど」


 アカネの太鼓判を押してもらったところで、今日の所はお開きにする。全分野で過去問を解いたわけではないが、半分ぐらいは解き終えた。後は時間のある時に一緒にやるか、もしくはそれぞれで過去問を解きあっていこう。


「じゃあ、タブレットしばらく借りるよ。この恩は必ず物理的にも精神的にも返すから」


「元々使ってなかったタブレットだし、親の許可は下りてるしね。幹也の指導のおかげで私の成績も上がっているってことになってるんだから、タブレット一枚の通信費で私の成績が買えるというのなら安い物よ。塾の代金を多めに払っているようなものだわ。じゃあね」


 彩花はそのまま古いほうのタブレットを置いて帰ってくれた。これで俺も勉強しやすくなるのは確か。一つ彩花に大事な所を握られた、というところだろう。


 いずれにしても彩花のご両親に感謝だな。いずれ、正式にお付き合いさせてもらう前にご報告をさせてもらうことにしよう。手土産にパスタ持っていったらウケるかな。やっぱりパスタが好きなのね、と認識させてほんわかさせることはできるだろうか。


「パスタ貰ってパスタ送り返したら流石に失礼だと思うわよ。普通にフルーツとかそうめんとか……そうめんも似たようなものかしらね。だったら老舗店のせんべいやおつまみなんかが好まれると思うわよ。駅前のおかき屋のセットとかどうかしら」


 ふむ……これは遠回しなおかきの要求だな。学校が再開したら買ってきてやるか。帰り道にはちょっとの寄り道で済むし悪くはないだろうし、金はある。考え事をしていると俺がおかきに頭を巡らせているのを見てアカネがにこにこと笑っている。


「そんなにあそこのおかきが好きなのか。大黒堂以外にも好みがあることが一つ分かったところか」


「もっと私に対して知っていっていいのよ? もし新しく引っ越すことになっても、その範囲で美味しそうなお店を自由に探しに行くことにするわ」


 アカネ的には引っ越しも視野に入れて考えているらしい。ということは、ダンジョンの入り口も取っ替えることができる、と考えていいんだろうな。


「まあ、多少手間ではあるけどそれほど難しい話ではない、とだけ言っておくわ。細かいことを言い出したら多分幹也では理解しきれないだろうから省くけど、ダンジョンの出入り口は移動できるものなのよ」


 それを知れただけでも充分な話だとは思うし、ダンジョン問題で困っている人たちがかなり救われることになるだろうな。だが、根拠もないし見えもしない聞こえもしない相手との会話を信用してその通りにする……ということは出来ないだろうし、仮に入り口を移動させたとして攻略するものであることに変わりはないのだからあまり大きい情報とは言えないか。


 夕飯のおでんはしっかり味染みにしてからいただいた。パスタが届くのがもう少し早かったら、おでんじゃなくてパスタになっていたところだろう。

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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
コンセントに刺すだけでWi-Fiが使えるやつくらいは契約しておいた方が良さげですねぇ
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