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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第183話:ケットシーと物理的魔法攻撃

 ケットシーはどういう原理かわからないが、地面から浮いている。これも魔法なのか、それとも猫の精霊というカテゴリだから……ということなのか、それとも地面に垂れている尻尾が実はものすごい力を入れていて、その尻尾だけで支えているのかはわからない。攻撃を仕掛けてみて、尻尾が動いてもまだ空中に浮いているのなら、それは空中に浮遊できるスキルを持っている、ということになるんだろう。


 まずはエネルギーボルトを撃ち放って様子を見ると、エネルギーボルトにカウンターをかけるようにマジックミサイルと呼ばれているであろう魔法を撃ち放ち、エネルギーボルトを相殺した。そして相殺した魔法が地面にごとりと落ち、しばらくして消え去った。どうやら物理的魔法効果がある、というのは間違いないらしい。


「ふむ、興味深いなこれは」


「何がよ」


「空中で霧散するんじゃなくて、地面に落ちてしばらく残り続ける魔法、というのが面白い。これは是非とも覚えて帰りたいな」


「せっかくここまで来たんだし、それについては同意するわ。二枚か三枚は持ち帰りたいわね。後は……近づいてきたりしなければ順番に倒せるんだけど、モンスター同士がリンクしないかどうかだけが気になるわね」


 ケットシーが動き始めた。こっちに向かって進みながら、マジックミサイルを順番に打ち込んでくる。山賊刀で弾いて回避……いや、迎撃しながら近寄ってはいるものの、ある一定距離よりは近寄ってこないらしい。どうやら中距離戦闘を好み、肉弾戦はしたくないモンスターらしい。


 もう一つ奥にいるケットシーとは50メートルほど離れている。この距離でリンクされるとちょっと厳しいものがあるので、できればこのぐらいの距離ならリンクせずに一匹ずつ倒したいところだ。


「俺が注意を引きつけるからその間に近寄ってくれないかな。こっちでターゲットは取るって奴だ」


「わかったわ。なんとかやってみる」


 彩花に前衛を任せ、俺が後ろから攻撃してはケットシーにマジックミサイルで迎撃されつつ、下がるふりをして近寄らせる。ケットシーがググっと多めに近寄ったそのスキを狙って彩花が全力で前に走り込み、ケットシーに肉薄する。そして一刀、攻撃を加えることに成功する。ケットシー自体はそこまで耐久力のあるモンスターではないようで、彩花の一撃でそのまま力を失い、撃ち放っていたマジックミサイルと共に黒い霧になって消えた。


 魔石と、早速何かのスクロールをドロップしてくれたようだ。これがマジックミサイルであってくれると一気に話が解決に向かうんだが、一枚だけ手に入れて帰るのではちょっともったいない。もう少しドロップがあってもうれしいところだ。ここは欲を出してもう二、三枚粘ってから帰ろう。そのぐらいの時間もあるしな。


「さあ、出だしは好調だ。このまま何回か戦ってより確実にドロップを集めていこう」


「何枚ぐらいが目的なの? 」


「ぜいたくを言えば三枚欲しいな。でも、時間があるから……一時間ぐらいで集められるだけ集めて、そのまま帰ろう。もし一杯落ちるならそれはそれでってことで」


「じゃあ、もう少し気張って戦っていきましょう。さっきのやり方が一番効率が良さそうだから、幹也のタイミングでうまくケットシーを釣り出して頂戴。私が近寄ったタイミングで飛び出してまた倒すわ」


 お互いやることも決まったところで、円形巨石群に近寄らないように歩きながらケットシーを近いほうから順番に倒していく。


 倒して次、倒して次、とテンポよくいくわけではないが、それでも中々の効率で倒すことが出来ていき、スキルスクロールも二枚三枚……と順調に溜まっていった。


 予定していた一時間が過ぎ、スキルスクロールは結局五枚手に入れることが出来た。全部がマジックミサイルならこれはかなり美味しい結果だと言える。流石、ドロップ率に定評がある俺ん家ダンジョンだ。ついでに俺と彩花のレベルも上がり、俺のレベルは多分22、彩花はここまでに二つ上がったみたいで多分18になった。二人の差が埋まらないのは俺がオーク肉求めてちょくちょく潜っているせいだろう。


 あと、威圧ももう少しレベルが欲しい。【精力絶倫】の三枚目はまだ出ていないが、山賊刀のドロップも欲しいところだ。冬休み中にもう少しだけ通ってドロップを狙っていく必要があるかな。


「さあ、目標は達したところで素直に帰ろう。やるだけのことをやったら無理せず帰るのが安全な探索のコツだ」


「無理して気づかないうちに深入りしてたりしないようにってこと? 」


「あと、気づかないうちにケンタウロスの反応範囲に入っちゃうかもしれないしな。今の状態で戦いに行くのはできるだけ避けたい」


「そうね。もう少しレベルを上げるなりスキルスクロールを手に入れるなり、色々したいこともあるしね」


 ここまでにやり残したことは色々とある。まずは威圧のレベル上げと彩花の火魔法も強化したいところ。そのためにはもう少し十二層での戦闘回数が必要になるだろう。順番的には三層、十二層、それから中ボス、ってところだろうな。


 来た道を戻り始め、十四層のトレントに再び苦戦しつつも何とか潜り抜け、樹液をもう一本手に入れた。そろそろ荷物も怪しくなってくるころか。少し背中を揺らすと、魔石同士がこすれるようなザリッという音が聞こえる。これはちょっと急いで帰らないといけない奴かもしれないな。


 十三層、またゲコゲコ。うるさいが、最短距離は解っているので邪魔になる奴だけを……ああ、ゲコゲコ鬱陶しい。まとめて全部倒したくなるが、そこまでの実力がないことは自分がよくわかっている。十二層に通り抜けるまでの辛抱だ。しっかりゲコゲコを聞きつつ、近い奴だけ倒しながら真っ直ぐに十二層へ進む。


 十二層、赤マントのスケルトンメイジが一枚スキルスクロールをくれたので、帰って鑑定してちゃんと【火魔法】だったら彩花に覚えてもらおう。これでレベル4の火魔法になるはずだ。どこまで使い勝手がいいものになるかは解らないが、高くて困るものではないだろう。


 もう一枚、黄色スケルトンからスキルスクロールが落ちたので、これが【雷魔法】だとすると三枚目になるので、覚えるならこっちかな。発電にも関係してくるかもしれないのでしっかりこれで合法ロリの研究にも役に立てることになるだろう。入れれば、の話だが。


 十一層、ここまで来ればもう一安心。後はホブゴブリンから資金を回収しつつ、帰り道を急ぐ。できれば今日中に換金してしまいたいからな。そのアリバイ作りに必要な時間を考えても、それほど猶予はない。


 十層。ここはもう歩いているだけで終わる。シャドウウルフが現れても威圧しながら倒すことで無傷で手間なしにいくことができる。威圧はレベルいくつまで上げることができるんだろう。効かないモンスターも出てきそうだが、それまでは効果的に使い続けることができるだろう。上げておいて損はないし、また三層でオークチーフ相手に戯れることにしよう。


 十層のワープポータルから一層に戻り、一層から無事に自宅へ帰ってきた。アカネは……さすがに何時に帰ってくるかわからないのに待ってることはないな。多分道祖神としてのお仕事をしに向かったのだろう。


 さて、まずスキルスクロールの鑑定をしたいところだが、それより先に換金だ。バッグの中から銀貨だけを抜き取ると、銀貨をリサイクルショップへ持っていく。前に使った店は使いづらいので、また別の店にしよう。駅前周辺を含め、自転車で行ける範囲には4店舗ほどリサイクルショップがあるので、ダンジョン産の銀貨が出回ってることを考えても、前の言い訳をそのまま使い回して凌げそうだ。


 前のホブゴブリンの時ほど枚数はないので、税金周りで怒られることもないはずだ。確か、20万を越えなければいいはずなので、今回の引き取りが……地金の重さを量って、二人で8万円ぐらいになるように調整して、それより余った銀貨はギルドでの換金に含めてしまうことにする。それでなんとかギリギリ税金を免れて扶養家族のまま今年一年過ごすことが出来そうだ。


「早くいきましょう。暗くなるのが早い時期だし、ダンジョン周りをうろついてるのをあまり他人に見られたくないわ。後寒いし」


「うん……よし、これでいいはずだ。これでギリギリ彩花も俺も扶養家族のまま過ごせるはず」


 装備を持ったまままず駅前ダンジョンへ行き、手持ちの一部の銀貨以外の魔石と、トレントの樹液を一本換金に出す。流石にこれだけ戦ってきて魔石も集めてきて、ドロップしたのが銀貨の数枚だけ、というのは確率的にあり得ないからな。


「他に何かドロップされませんでしたか? スクロールとか」


「スクロールは後日仲間と相談して分け合って覚えるつもりなので今回は換金に出してません」


 案の定、ドロップの偏りについて尋ねられたが、仲間と分けて覚える、という言葉を聞くと納得したのか、それ以上追求されなかった。すべてのドロップ品と換金品を計算され、出てきた金額合計が288000円。中々の金額になった。やはり一日分としてはかなりの量になった。ケットシーと午前中のスケルトンメイジの分でかなりの上乗せがあったと考えていいだろう。


 彩花と二人でそのまま受け取り、ほとんどの金額をATMで入金……自分の銀行は入金手数料がコンビニでもかかってしまうのであまり使いたくはないが、この金額を持ち歩いたり家に置いておくほうがはるかに危ないので少額の手数料を納得して預けてしまう。


 その後で、この間とは別のリサイクルショップで換金。なぜギルドで換金しなかったのかと問われたので、前と同じ言い訳をすると、納得して受け取り、一人当たり82318円になった。これで20万は超えてないからギリギリセーフだな。それ以外に収入があった覚えはないし、中古装備の売買なんかもしてないから、来年二月にあるという納税発表の時期は問題なく過ごせるとは思っている。


 とりあえず、年内の探索者活動はこれで終わりかな。あとはひたすら貯金箱に溜めこんでいくしかないが……まあ、一応年始にもまた実家に帰るし、その時に爺ちゃんに相談してギリギリ扶養の内には入ってるはずだから、と相談しておくことにするか。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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