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丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
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94 アコカンテラの涙

アコカンテラは瀕死だった。

ばあちゃんよりも、ひどく見えた。

寝台に横たわるアコカンテラからは、精気がほとんど感じられなかった。

ばあちゃんは、長寿のアコカンテラはまだ若いと言っていたが、老衰死寸前の老人のように見えた。

頭髪に艶はなくまばら、身体の肉は落ちて皮だけになり艶もなくシワシワ、目は落ちくぼみ影を作っている。

僕は、怪訝に感じていた。

大量の魔力を持つ、強力な魔道士といわれたアコカンテラが、なぜ、ここまで衰弱しているのだろう。

シーフのばあちゃんにできていた、精気の流れを整えることを、なぜ魔道士がうまくできていないのだろう。


村長の補佐がうなずくと、付き添っていた女性がアコカンテラにそっと声をかける。

アコカンテラが静かにまぶたを持ち上げる。

焦点が定まらないのか、しばらくぼんやりしている。

補佐の男が、アコカンテラに顔を近づけて、はっきりとした声で話しかける。


「アコカンテラ。

 あなたがずっと探していたハナさんの、遣いの方が見えられた。」


アコカンテラの目に、みるみる生気が宿ってくる。

アコカンテラが見回すので、一歩前に出て話す。


「ばあちゃんの…、ハナの使いだ。

 ばあちゃんの呪いを解いてもらいに来た。

 あんたは、ばあちゃんの呪いを解く気があるのか?

 どうすれば、呪いを解くことができる?」


僕の話を時間をかけて理解すると、アコカンテラの目から涙が溢れてきた。


「そうか、ハナの孫か。

 ハナには謝っても、どうにも取り返しのつかないことを、してしまった。

 それでも、ハナに謝りたい。

 そして、ハナの呪いを解きたい。

 こんな、尽きない苦しみを与えてしまったことを、許してもらえなくても、謝りたい。なんどでも、謝りたい。」


アコカンテラは悔恨の涙を流し続けた。


「どうすればいい?

 どうすれば、呪いを解ける?」


僕は、もう一度聞いた。


「呪いをかけたときと同じように、ハナが私の視界にいなければならない。

 ハナは近くにいるのか?

 私の命は、もう長くはない。

 長旅には耐えられないだろう。」


アコカンテラは無念そうにうなだれる。


「長旅に耐えられる程度に、元気になればいいんだな?」


そう言って、唐突に不安に襲われる。

ばあちゃんも、大賢者ラフレシアも、アコカンテラを気味悪がっていた。


「だが、ばあちゃんを眼の前にして、変な気は起こさないほうがいい。

 一瞬で、肉片に変わることになる。」


僕が言うと、周りの人達は目を見開いて、僕を見ていた。


「ズッキーニなら、やりかねない。」


僕は、急いで言い足した。

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