表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
93/97

93 森の民の村長

僕らは森の民の村についた。

その頃には、20人ほどの森の民がそれぞれに持論を展開しながら、いっしょに歩いていた。

潜んでいた森の民は、アコカンテラの名前が聞こえると、リーダーの許可も得ずに、好奇心で集まってきたようだ。

本当に森の民は、人間嫌いで、何を考えているかわからない種族なのだろうか?

とってもわかりやすい気がする。


森の民の村は、地形的に小山に囲まれ、入り口も濃い木々でわかりにくくなっていた。

強い隠蔽の気術もかけられており、村の存在感はまったくない。

リーダーが門番と言葉をかわし、僕とズッキーニも村の中に案内された。

村の中は、森の延長のように緑が多かったが、道に最低限の石を敷くなど整備がいき届いていて、とても清潔だった。

家の外に出ている住民は多くはなかったが、興味深そうに僕らを見ていた。


村長の家は、木材で簡素に作られた、高床式の大きめの家だった。

僕たちは、客間に案内された。

少し待たされたあと、広間に通された。

広間の奥には、かなり高齢だと思われる小さな老人が、静かに待っていた。

その後ろには、かなりの実力者と感じさせる、大柄で筋骨隆々の、髪の短い初老の男性が、補佐として控えている。


「ゴロゴロさん、村長のパンドと申します。

 大体の話は、あなた方を出迎えたシダーに聞きました。」


村長は、静かだが力のある声で、話し始めた。


「あなたは、手っ取り早く、アコカンテラの命の火を消してしまいたいことでしょう。

 早くて確実に、お祖母様の命を救えると考えているのではないですかな。

 シダーは、いざとなれば数にものをいわせ、あなた方を取り押さえるつもりだったようです。

 まだまだ、未熟な男です。

 彼我の力の差もはかれない。

 でも、私は彼を避難する気にはなれません。

 なぜなら、シダーがここに案内しなくても、あなた方はすべての障害を排除し、自分の力でアコカンテラまでたどり着く力を持っていなさる。

 私どもがあなた方に抵抗し、無駄に時間をとらせれば、お祖母様の助かる可能性は下がり、あなたの怒りを買う可能性は上がる。

 私は将来に黒き森の民との間に遺恨を残すことよりも、今、あなた方に村を滅ぼされることを、どうあっても避けねばなりません。」


村長は話をくぎり、苦しそうに頭を下げた。

僕は驚愕していた。

僕らのどこが、そんなに物騒に見えたのだろう。

僕はズッキーニを睨んだが、ズッキーニは壁の一点を興味なさそうに見ていた。


「あの、村長さん。

 そんなに警戒しないでください。

 みんなで、一番いい方法を考えましょう。」


僕は、とりあえず、村長をなだめた。


「アコカンテラをばあちゃんに会わせれば、呪いは解けるということですか?

 アコカンテラには、呪いを解く気があるということですか?」


僕は、確認した。


「そのへんのことは、本人に聞いてもらうのが一番いいでしょう。

 ただ…。」


村長は躊躇したが、真剣な目で懇願するように言った。


「アコカンテラに会っても、怒りに任せて彼を肉片に変えたりしないでいただきたいのです。

 黒き森の民がどうとかではなく、私は客人への礼節を守りたい。

 どうか、寛大なお心で…。」


僕はズッキーニを睨んだが、興味ないくせに、やはり壁の一点を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ