92 森の民の出迎え
行く先に見えてきた人影は、僕らを待っていた。
両側の木の上にも、上手に隠しているが、わずかな気配を感じる。
後ろにも、数人が回り込んだようだ。
ドコン村の猟師たちよりは、手ごわそうだ。
「やあ。君たちはどこに向かっているのかな?」
6人の中で、リーダーと思われる男が、笑顔で話しかけてきたが、ズッキーニを見て眉間にシワを寄せた。
背が高くてしまった身体で、背中に弓、腰に短剣を下げている。
やや長い耳と薄い金色の頭髪が、ドコン村近辺の人族とはちがう。
「やあ。僕は南の森のゴロゴロ。
僕らは森の民の村に向かっている。
アコカンテラに会いに来たんだ。」
そこにいる全員が露骨に眉をしかめるのがわかった。
嫌われているのだろうか。
「アコカンテラに、どういった用件か、聞いてもかまわないかな? 彼が対応できるか、わからないけど。」
「うちのばあちゃんが、アコカンテラに呪われてるんだ。ばあちゃんはだいぶ弱ってきてる。このままじゃ、死んでしまう。呪いを解いてくれないようなら、アコカンテラを倒さなきゃならない。」
僕の険しい表情を見て、6人はみな難しい顔になった。
「そうか。」
そう言ったきり、リーダーは黙り込む。
「とりあえず、来てもらおうか。
村長に会ってもらおう。」
誰にともなく言うと、周りの5人はそれぞれうなずいていた。
村への道中、リーダーが説明してくれた。
「ゴロゴロさんと言ったかな。
これは難しい問題なんだ。
アコカンテラは、衰弱して寝込んでいる。
彼は愚かなことに、自分の呪いにさいなまれている。
彼の呪いを解くには、呪いの対象のそばに行かなければならないそうだ。
君のおばあさんを、あっちこっち20年も探したようだが、ついに、この島しかないとなった。
それで、彼は我々の村へ泣きついて来た。
だが、ここで力尽きようとしている。
君は、弱ったアコカンテラを討てば、君のおばあさんの命が助かると考えるかもしれない。
私も、ひとりの森の民としては、呪いなどをかけるやつは、討たれればいい、とすら思う。
だが、部族としては、それを許すわけにはいかない。
客人をみすみす討たれては、部族間の抗争になる。
難しいんだよ。特に、黒き森の民は…。
恨みがましいんだ…。
なんせ、呪いなどというものを、作り出す部族だよ?
本当にやっかいだ…。」
リーダーは、深刻な顔で、考え込んでしまった。




