89 ウホウホとの再会
ジャングルを進むと、懐かしいあたりに出た。
ウホウホと初めて会った、川辺だ。
2年前、ここでウホウホが果物を投げてきて、長い冒険が始まった。
ほんの2年前だけど、ずっと昔のことのようだ。
僕はしばらく思い出にひたっているが、ズッキーニは石像のように動かない。
と、ズッキーニが一瞬で剣を抜いて、薙ぎはらおうとした。
僕はそれより速く動き、ズッキーニが斬りすてようとした果物を受け取った。
『やぁ、ゴロゴロ。もう、ぼうけんがしたくなったの?』
木の上で、笑っているヤツがいる。
『やぁ、ウホウホ。もう少しのんびりしたかったんだけど。そうもいかなくなって。』
『まぁ、ちょっとやすんでいきなよ。ツノザルはかんげいするよ。』
ウホウホは、僕の隣のズッキーニにも笑顔でうなずいた。
『感謝する。』
ズッキーニが野太い声で答える。
『え、わかんの? ウホウホの言葉。』
僕は驚いた。
僕たちは、ウホウホについて、角猿の集落に入った。
驚くほど巨大な木の、枝という枝に、大きな葉や弦などを使って、たくさんの住居を作ってある。
数十の住居に、数十の家族が住んでいるようだ。
『どうぞ。』
上の方の、ひときわ大きくて立派な住居に、ウホウホは入っていった。
中では、穏やかな顔にはにかんだ笑みを浮かべた、メスの角猿が待っていた。
『こっちは、ポコポコ。ボクのオクサン。』
『早っ。まだ、ひと月くらいだろ。洞窟から抜け出して。』
『ツノザルはせっかちだからね。それに、つよいオスは、もてるんだ。』
ウホウホは、胸を張った。
『もう、角猿を1つにまとめたのか?』
僕は、思い出してウホウホに聞いてみた。
『それがね、ひにくなことに、ボクのふるさとのむらが、さいごまではげしくていこうしてるよ。
ザンをおぼえてるだろ?
ボクたちが、どうくつでさいごにたたかったボスザルさ。
カレは、とってもゆうしゅうだし、きもまわる。
カレが、いろいろとしらべてくれたんだ。
ボクのとうさん、ウンババをころしたのは、とうさんのおとうとトンガガだったみたいだ。』
ウホウホは、目をつぶって首を振った。
『ボクのおじさんさ。
ボスになりたかったんだろうね。
それで、ボクのかぞくをころして、ボクをついほうした。ボクもころしておけばよかったのに。』
ウホウホはため息をついて、続けた。
『トンガガは、さいごまでたたかいつづけるしかないよね。ボクにつかまったら、なにをされるかわからないもの。』
ウホウホは、悲しげな笑顔を見せた。
『でも、どうにもならないよね。ボク、つよいもん。いまは、ザンがなかまをひきいて、みはってくれてる。つよいんだよ、ザンとそのなかまたち。もうすぐ、けっちゃくはつくとおもうけど。』
『そうか。いよいよ、角猿の王か。』
『それで? ゴロゴロは、どこにむかっているの?』
ウホウホが、自分のことばかりですまないとばかりに、僕のことを聞いてきた。
『僕のばあちゃんを呪ってるヤツが、森の民の村に来ているらしい。そいつと会って、どうにかしないと、ばあちゃんが死にそうだ。』
僕の話を聞いて、ウホウホが真剣な目になった。
『てがひつよう? ボクもいこうか?』
『おまえは、大事なときだろ? 大丈夫! これは、僕の戦いだ。ズッキーニが助けてくれるけどね。』
僕は、笑ってウホウホの肩をたたいた。
ウホウホは、ズッキーニを振り向いて感心している。
『すごいヤツをみつけてきたね。』
『ああ、頼りになるヤツだ。』
僕も、ズッキーニを見て微笑んだが、ズッキーニの顔に表情はなかった。




