88 村人の見送り
戦いが終わると、ぞろぞろと村の住人達が現れた。
みんな、若者たちを心配していたのだろう。
「ありがとう、ゴロゴロ。」
コメさんが照れくさそうに言う。
「こいつら、僕達の若い頃にくらべたら、じゅうぶん強いんだけどね。
2年前から、僕達も、こいつらも、真剣に修行したんだ。
自分たちの村くらい、守れないとってな。
こいつら、もう、僕達と変わらない程度には強くなったんだがな。」
ベリーさんが、うなづいてつづける。
「でも、それでも、まだまだなんだよな。今のでよくわかったよ。」
コメさんたちは、自分の子供を担ぎ上げる。
ミカンさんは気術師らしく、光る両手でユズを宙に浮かせる。
「ハナの呪いのことは、まかせたわ。」
ミカンさんが微笑む。
「うん、まかせといて。」
僕がうなずく。
「ズッキーニも気をつけろよ。」
ムギさんがズッキーニの異形に目を奪われながらも、気づかう。
「ああ。」
ズッキーニが、すこしだけ、口角を上げる。
僕とズッキーニは、みんなに見送られながら、森の民の村に向けて、歩き始める。
ズッキーニとの旅は、とても穏やかだった。
獣に襲われることがない。
ちょっと不思議に思い気配を探ると、周りの獣はズッキーニから遠ざかっていく。
あまり、関わりたくないようだ。
だから、狩りは僕の担当だ。
ズッキーニを休ませ、僕は彼から離れる。
じいちゃんに2年前にもらっていた赤鷲の弓は、洞窟をさまよっていた間は、ほとんど使うことがなかった。
カバンに何でも入ることに気がついてからは、カバンの中で眠っていた。
洞窟からでて、また、狩りをすることが増えた。
赤鷲の弓は、以前感じていたような、硬すぎるということもなく、手に馴染んでいた。
わりと大きな獣も、赤鷲の弓で狩れるようになった。
数日の間に、ズッキーニのことが、少しずつ分かってきた。
少しというのは、彼はこっちから話しかけないと、1日中なにも言わないからだ。
僕と、ズッキーニは、毎日剣の稽古をした。
ズッキーニは、あまり動かない。
剣で攻撃し、剣で相手の攻撃を受ける。
彼はこの2年間、ほとんど剣を振ることだけを続けてきたようだ。
だから、こんなスタイルになっているのだろう。
でも、彼の剣は速く、大抵の攻撃を剣で受け止められる。
受けそこなっても、黒いイガイガの鎧は、極端に防御力が高いのか、キズひとつ付かない。
そうしている間に、大穴のあるジャングルにたどり着いた。




