86 キウイたちの力
ズッキーニと村を出て歩いていると、小高い丘の開けたあたりで、複数の人影が待っていた。
僕は、苦笑いを浮かべながら、近づいて行った。
キウイたちが腕組みして立っている。
4人は、ズッキーニを見て、眉をしかめる。
黒いイガイガの鎧を着た巨大なズッキーニは、魔王のような威圧感を放っている。
4人は、視線をズッキーニから引き剥がして、僕を見る。
「ちょっと、ズッキーニだけ連れて、挨拶なしで行くなんて、ひどいんじゃない。」
キウイがふくれた顔で、にらんでいる。
「まぁ、僕たちは、ゴロゴロやズッキーニとくらべたら、まだまだなんだろうけどね。」
ユズが分別顔でうなずく。
「それでも。私達も2年前とは違うわ。ずっと強くなったし、成人してるから自分の生き方は自分で決められる。」
プラムの顔は、真剣だ。
「足手まといにならない程度には、鍛えてるつもりだ。」
ザクロもしっかりと修行を続けてきたのだろう。自信に満ちた強い目をしている。
確かに彼らの気配は、大イノシシとも戦えると思わせるほどに、強くなっている。
でも、僕はすでに、その程度の戦いの中にはいない。
僕は、自分がどうなるか想像もできないような、強い魔道士に挑もうとしている。
あるいは、ばあちゃんを助けることなく、僕の方がやられてしまうのかもしれない。
戦いは、どちらかが負ける。
達観しているわけではないが、そういうものだと思っている。
そんな中で生きていくことを選んだつもりだ。
ズッキーニは、どうだろう?
まだ、聞いてはいない。
でも、いまさら彼の覚悟を聞いてみても、しょうがない気もする。
プラムたちは?
旅先で果てる覚悟はあるのか?
ベリーさん、コメさん、ミカンさん、ムギさんたちの笑顔が浮かんだ。
そういうことか?
僕とズッキーニには、肉親がいない。
だから、戦いに倒れてもあきらめがつく?
いや、待てよ。
呪いに苦しむばあちゃん、何かと世話を焼いてくれるじいちゃんを思い出す。
ズッキーニにも、じいちゃんとばあちゃんがいる。
僕らにも、心配してくれる人たちがいる。
誰も、戦いに倒れちゃいけないんだ。
だったら、強くなけりゃだめでしょ。
「よし。僕に一撃でも決められた人は、いっしょに行こう。時間がないから、まとめて相手をするよ。」
僕は、宣言した。




