83 大賢者のカバンをあずける
目が覚めると、隣のばあちゃんはまだ眠っている。
やっぱりばあちゃんは、小さくなった。
大賢者はああ言ったけど、どうやって力を分けるのか、見当もつかない。
僕は、ばあちゃんの手を取り、慎重に精気の流れを探った。
確かにとどこおりのない流れの中に、それを乱す塊を感じる。
ばあちゃんは乱された流れを整えることだけに、力の大部分を割かれているのだろう。
僕は、精気の流れを邪魔しないように少しずつ足していった。
鎧獅子と戦った頃、精気の扱いが苦手だった僕が、今では微妙な調節ができている。
少しずつ、時間をかけて足していくと、ばあちゃんの顔色が、少し良くなった。
無理はやめておこう。
弱った身体に、強い大量の精気は毒になりそうだ。
僕は、そっと寝台を下りて、部屋を出た。
部屋の外には、ミカンさんが食事を用意してくれていた。
前の晩から何も食べてなかったので、空腹の腹にかき込んだ。
「どう? ハナと話はできた?」
ミカンさんがやさしく聞いてくる。
「うん。呪いは、どうにかしてみるよ。」
そして、食事の礼を言い、ばあちゃんのことを頼んで、じいちゃんの家に向かった。
じいちゃんの家では、じいちゃんが僕のことを待っていた。
僕は、呪いの経緯をかいつまんで話した。
「その呪いをかけたやつが、森の民の村に来ておるのか?
お前は、戦うつもりか?」
じいちゃんが、難しい顔をして聞いてきた。
「うん。それしか方法がないならね。おとなしく呪いを解いてくれれば、一番いいんだけど。」
「まぁ、そうはいかんじゃろうな。 それで、勝算はあるのか?」
「よくわからないんだよね。
魔道士なんて戦ったことないし、魔法も見たことない。
僕のことをよく知っている人は、僕は、力とスピードだけだから、苦労するだろうってさ。」
「そうじゃのう。そうかもしれんのう。
ワシもこの森の中を旅して歩いただけじゃからのう。
井の中の蛙よのう。
大陸の魔法なんかは、見たことがないのう。」
じいちゃんが、すまなそうに言う。
「まぁ、やれることをやってみるよ。
で、このカバンを預かっといてほしいんだ。
代わりのカバンも貸してくれる?」
じいちゃんは、奥に引っ込んだ。
もう、じいちゃんの足は、なんともないようだ。
じいちゃんが持ってきてくれたカバンに、水袋など、必要なものを移した。
「そうじゃ、ズッキーニのことなんじゃが。」
じいちゃんが、思い出したように言った。




