74 ボスザル
身体の大きな角猿たちが、一気に僕とウホウホのもとに迫っていた。
ウホウホが、電光の杖を持った腕を高々と掲げると、そこから稲光がほとばしった。
最初にウホウホが使ったときの光とは、光の量も範囲も強さも桁違いだった。
僕は近くでしょっちゅう電光に巻き込まれていたので、頭を下げ、脚を地面から浮かせて最低限の被害にとどめていたし、すでに耐性ができていた。
でも、初めてこいつの直撃を喰らった奴らには同情した。
一瞬で意識がとび、膝から崩れ落ちていた。
でも、ウホウホはこの長い期間で、電光の杖を手足のように使いこなせていた。
今の電光も、僕に大きなダメージが来ない範囲で落としていた。
僕より外にいた連中は、ダメージを受けてよろめいていたが、倒れてはいなかった。
僕は、ふらついている角猿たちに立ち直る間を与えず、蹴り倒し、殴り倒していった。
あっという間に、立っている角猿たちは半数以下に減った。
それでも角猿たちは、強かった。
戦い慣れていた。
ウホウホの電光の杖を恐れるのではなく、対処する方法をすぐに考えた。
ウホウホから距離を取り、僕をウホウホとの間に置く位置をとった。
でも、僕達はもっと強かった。
僕は、角猿達より素早く動いた。
角猿の腕をかわし、背中から拳が飛び出すか、というほどのパンチを腹に決め、頭が飛んでいくかという勢いの蹴りを的確に当てた。
端から次々に、角猿を沈めていった。
ウホウホはウホウホで、僕をまたいで向こう側に電光を落とすほどに、電光を操っていた。
あっという間に、立っている角猿はボスザルだけになった。
ボスザルはいまいましげに、ウホウホの杖を見た。
『そんなおもちゃがなきゃ、たたかえないのか?』
ウホウホは笑って答えた。
『これは、さいこうのおもちゃだよ? でも、おまえとはすででたたかうよ。』
ウホウホは、電光の杖を僕に放った。
それでも、劇的な展開にはならなかった。
ウホウホも、この長い期間、電光の杖ばかりを使っていたわけではない。
ウホウホはもともと身体能力が異常に高く、角が生える頃には力も強くなり、僕と互角に戦えた。
もともとの臆病さも、長い間戦ううちに、自信へと変わっていた。
ボスザルは、一瞬でウホウホの足元に這いつくばることになった。
ボスザルは、ウホウホに触ることもできずに、重いパンチ一発で、動けなくなっていた。
ボスザルは、顔に苦痛をうかべ、目に驚きの色をたたえていた。
呼吸が戻ってから、ボスザルはやっと言った。
『つよいな。オレもとしをとったが、ウンババには、まったくはがたたなかったわけじゃなかった。おまえは、とんでもないばけものだな。』
ボスザルは、がっくりとうなだれた。




