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丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
73/97

73 角猿の群れ

僕らは、地図の最後のルートを進んでいた。

この、無限にも思えた分岐の、最後のルートが出口だったなんて可能性を、楽観的な僕でも信じていない。

僕たちの進む先に、たくさんの獣の気配を感じた。

どうも、馴染みのある気配だ。

『角猿だね…。』

僕が確認した。

『そうだね。』

ウホウホは、覚悟を決めた顔をしている。

『やつらはきっと、とうちゃんのかたきだ。』

ウホウホは続けた。

『え? おまえのとうちゃん、何にやられたかはわからないって言ったろ?』

僕は驚いて言った。

『そのときぼくは、ちっちゃかったんだよ。でも、はっきりおもいだした。このとてもつよくて、いやなけはいとにおいはまちがいないよ。むれをおそったやつだ。』

ウホウホの真剣な顔は、いい加減なことを言っているようには見えない。

『てつだってくれる?』

『それは、もちろんだけど…』

『でも、ぼすは、ぼくにやらせてほしいんだ。』

『ああ、わかった。』

僕は、ウホウホの強い決意の前では、うなずくだけだった。

僕らは、角猿の集団に向かって進んだ。

近づいて見ると、奴らの気配が明らかになる。

そうとうに強い攻撃的な気配が、その大人の角猿たちからは立ち昇っている。

『奴ら、強いぞ?』

僕は確認した。

『だいじょうぶだよ。いまのぼくらなら。』

そう笑って、ウホウホは飛び出していった。

ウホウホは、手近な角猿の背中を蹴り倒して、その勢いで隣の角猿を殴り飛ばした。

群れの角猿たちは、突然襲われて驚いていた。

でも、戦い慣れているのか、すぐにウホウホをとり囲んだ。

僕は、遅れて飛び込んで、背を向けている角猿の頭を回し蹴りで蹴り飛ばした。

けられた角猿は、隣の角猿を巻き込んで、吹っ飛んでいった。

ウホウホよりも大きな10数匹の角猿たちが、僕達を取り囲んだ。

その向こうに、ひときわ大きな角猿が、こちらを不思議そうに見ている。

『2ひきでとびこんでくるとは、どういうことだ? しにてえのか?』

ボスザルと思しき、巨大な角猿が低い声で怒鳴った。

『おまえは、ぼくのいたむれをおそって、とうちゃんをころした。こんどはぼくが、やっつけてやる。』

『うん?』

ボスザルは、ウホウホを見て、首を傾げる。

『そのつのには、みおぼえがあるなぁ。みなみのたにのボスザルのウンババが3ぼんつのだった。つよいボスだったなぁ。』

『おまえがころしただろ?』

ウホウホは、強い声で聞く。

『オレもむれをひきいていたからな。えさばをうばわないと、うえじにだ。だが、ウンババがつよくて、オレもひどいケガをしてにげだしたけどな。おれのケガのほうがひどくみえたが、あのあとウンババがしんだときいた。』

ボスザルは、よくわからんというふうに、首を振って続けた。

『だが、おまえもりっぱなおとなのつのざるだ。なわばりをあらそって、やったりやられたりは、オレらのさがだ。もちろん、うられたけんかはうけてたつが、2ひきでやれんのか? しかも、そっちはひよわなにんげんじゃないか?』

ボスザルが意地悪く笑う。

『ぼくも、それほどうらんでいるわけじゃないよ。しょうがないよね、つのざるだもん。でも、とうちゃんのかたきがちかくにいたら、たたかわないわけにはいかないだろ? つのざるだもん。』

ウホウホは朗らかに笑う。

『いいこころがけだ。やっちまえ!』

ボスザルが、洞窟に響く大声を上げた。


大きな角猿たちが、雪崩を打って押し寄せてきた。

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