71 身体の変化
僕とウホウホは、さまよい続けた。
どれくらいたったのか、ますますわからなくなってきた。
半年かもしれないし、数年かもしれない。
地図はどんどん自動で描き込まれ、中心から外に向けて木の根のように細かく拡がっている。
中心の大穴の半径くらいの距離を、大穴の外周から、さらに外に向けて迷路が埋めている。
この長い期間に、いくつかの変化があった。
まず、あの亡骸の部屋の主の仲間2人かどうかはわからないが、10人以上の冒険者の亡骸を発見したこと。
彼らの持ち物は、ありがたく頂戴した。
時間だけはあるので、歩きながら無駄にいろいろと考える。
彼らは、なんの目的で来たのだろう?
宝物の地図や伝承があったのだろうか?
貴重な素材探しだろうか?
僕らのように、脱出のためだろうか?
大穴に落ちて、外に向けてさまよったのだろうか?
外の入り口から、この迷路に向けて入ってきたのだろうか?
その瞬間、恐ろしい考えが頭をもたげた。
そもそも、外からの入り口など、あるのだろうか?
僕らは、ありもしない出口を探して、さまよい歩いているのではないのだろうか?
僕が、絶望の縁から転げ落ちそうになったとき、ウホウホの屈託のない声が聞こえた。
『このにくは、かくべつだね! つぎのえもののにくは、もっとうまいかもしれないね!』
ウホウホは、巨大な大爪モグラの焼いた肉にかぶりついている。
その身体の巨大さは、この洞窟の穴の広さに匹敵する。
もしかしたらこの巨大な迷路は、大爪モグラの通ったあとなのかもしれない。
この大爪モグラは、強かった。
たぶん、強かったのだと思う。
巨大で頑丈な爪を振り回し、あたった岩を砕いた。
巨体のため、それほど移動しないが、腕の筋肉がものすごく、その振りは見えないほど速かった。
でも僕達は、それほど苦労せずに倒すことができた。
ウホウホの電光の杖の威力はいつの間にかすごいことになっていて、巨大な大爪モグラの動きをも止めた。
僕は、マグマの短剣や氷河の短剣の特殊な力を借りなくても、突き立てた短剣に一瞬の爆発的な精気を込めるだけで、大爪モグラを仕留めることができた。
僕は、焚き火に照らされて、肉を頬張っているウホウホを見る。
ウホウホの身体は、出会った頃は僕とそんなに変わらなかったのに、いつの間にか僕よりずっと大きくなっていて、頭に角が生えていた。
頭の角は、角猿にとっておとなになった証のようなものだと聞いていた。
ウホウホの角は少し変わっていて、3本に別れていて、ちょっと格好いい。
それを言うと、ウホウホはてれる。
『そうかい? かっこいいかなぁ? そういえば、とうちゃんも3ぼんにわかれていたなぁ。』
僕はといえば、やはり体はそれなりに大きくなったように思う。
ばあちゃんに作ってもらった服がきつい。
それに、身体の何か所かに鱗のようなものが出ている。
なんか、悪い病気じゃなければ、いいのだけれど…。




