68 脚の多いモノ
僕らは、亡骸の部屋をあとにし、マグマの短剣の明かりを頼りに上に登り始めた。
少し行くと、洞窟は狭くなり、たくさんの穴に分かれた。
穴は、完全に別々に分かれているわけでもなく、途中で交わったり分かれたりを複雑に繰り返しているようだ。
これでは、気配を探っても、匂いをかいでも、どのルートを選べばいいのかわからない。
僕はふと思い出して、亡骸の部屋で手に入れた地図を広げた。
地図には、この複雑な穴の迷路が、僕らのいるところのだいぶ先まで描かれていた。
網の絵を途中まで描いたように、無数の選択肢があるようだった。
考えていても仕方がない。
僕らはとりあえず、地図に記入されているところまで、進むことにした。
その辺りに来ると、生き物の気配が強くなってきた。
トゲアリのように、感情の感じられない虫の気配だ。
それでも、進むしかない。
振り返るとウホウホはおびえているが、進む気力をふるいたたせているようだ。
『行くよ? ウホウホ』
『ウホッ!』
僕らは、周りの気配を警戒しながら進んだ。
登りになっているから、地上には近づいているはずだ。
虫の気配はどんどん濃くなり、後ろにも回り込まれたようだ。
突然、横の穴から大きな気配が近づき、大きなハサミのような口をした巨大なムカデの頭が飛び出してきた。
僕は、マグマの短剣でハサミを受け、頭に斬りつけた。
頭は固く、剣が滑る。
大ムカデは、穴の中に引っ込む。
今度は、逆の穴から違う大ムカデが飛び出してくる。
小さな炎の玉を、大ムカデの頭に飛ばした。
大ムカデは嫌がって引っ込むが、大したダメージをあたえていない。
前からも後ろからも大ムカデは襲ってきて、炎の玉を当てたが牽制にしかなっていない。
そんなことを繰り返すうちに、息苦しくなってくる。
炎の玉は、狭い場所とは相性が悪いようだ。
僕はマグマの短剣をさやに戻し、カバンの中をさぐった。
その間に1匹の大ムカデが襲ってきたが、ウホウホの杖から出た電光が、その大ムカデに命中した。
電光の直撃を喰らった大ムカデは、身体から光を放ち、動きを止めている。
光はだんだん弱くなり、大ムカデはゆっくりと動き出す。
ウホウホの電光の杖は、大ムカデの動きを一時的に止めることしかできなかった。
僕は氷河の短剣を、まだ動きの遅い大ムカデに向けて振った。
氷河の短剣の先からは、吹雪が飛び出す。
吹雪は細くうねりながら、大ムカデの頭に当たった。
大ムカデの頭は青白く凍り、白い湯気のようなものを漂わせている。
僕は、凍った大ムカデの頭を短剣の柄の方で叩く。
叩かれた頭は細かく砕け、青白い湯気となった。




