63 嵐の後
僕らはシダの葉の中から、呆けたように見下ろしていた。
すでに、騒乱は過ぎ去って、静まり返っていた。
トゲアリたちは、自分の巣に帰り、地面の上に生き物の気配はなかった。
僕は、あの大穴の真ん中にそびえる山が気になったが、今は考えないことにした。
トゲアリの大群を無視して山を調べに行くには、僕は弱すぎた。
『そろそろ行こうか、ウホウホ』
ウホウホは不安気な顔をしたが、意を決したようにうなずいた。
壁にたどり着くまで、生き物と遭遇することはなかった。
僕らは、壁に沿って、降りてきた方とは逆方向に歩き出した。
どれだけ歩いただろうか。
ずっと暗いままなので、時間の感覚はない。
干し肉をかじり、水を飲み、歩く。
幸運なのは、壁から染み出す水を見つけることができたことだ。
ウホウホと、飲めるだけ飲み、水袋を満たした。
疲れると、隠れられそうな場所をさがし、眠った。
そんなことを、どれだけ繰り返しただろうか。
壁に、大きな穴の開いた場所にたどり着いた。
穴の入り口に立ち、中の気配を探る。
大小様々な気配がある。
進まなければ、大穴から脱出することもできない。
僕らは、穴の中へ入ってみた。
中は少し広くなり、三方向に別れている。
左はやや登り、真っすぐはほぼ水平、右はやや下り。
僕は、ウホウホの顔を見る。
『地上に上がりたいんだから、左かな?』
ウホウホは、首を傾げて一歩前に出る。
目をつぶって空気の匂いを嗅いでいたと思ったら、怯える様子でプルプルと首を振る。
『なんか、いるの?』
僕が聞くと、コクコクとうなずく。
『あしがいっぱい。あしがいっぱいが、いっぱい。』
よくわからないが、ウホウホには怖い生き物がいるようだ。
『真っすぐは?』
僕が聞くと、そっちに進んで空気を嗅いだ。
『あし、ちょっとすくないのが、いっぱい。』
やはり、首をプルプルと振っている。
『じゃあ、こっちかな?』
僕は、右に下る方を指さした。
ウホウホは、そっちの空気を嗅いだ。
『おっきいやつが、すこしいる。』
ウホウホは難しい顔をしている。
右の下りが、1番マシなようだ。
僕らは慎重に、右の穴を下っていった。




