64 地底湖
僕たちは、なだらかな穴を、下って行った。
生き物の気配はなく、それでも、慎重に進んだ。
さらにしばらく進むと、遠くに大きな生き物の気配を感じた。
穴は、どんどん広くなっていった。
天井が高くなり、左右にも広がっていった。
生き物の気配が近くなる頃には、そこが大きな地底湖であることが、わかった。
大きな気配の正体は、白く巨大なイモリだった。
水辺にじっとしていて、動かない。
僕たちは、水を飲むために、地底湖に近づきたかった。
大イモリと距離をとって地底湖に近づいた。
と突然、大イモリはこっちを向き、突進してきた。
僕とウホウホは、大イモリの餌として問題なしと、認定されたようだ。
僕は飛び下がったが、ウホウホは一歩遅れた。
大イモリは口を開き舌を伸ばし、ウホウホの腕をとらえた。
大イモリはウホウホの数倍の大きさがあり、ウホウホくらいなら丸呑みにできそうだ。
大イモリはジリジリと地底湖に向かって後ずさる。
僕はマグマの短剣を抜き、小さな炎を大イモリに飛ばした。
炎は、大イモリの舌の根本に命中して飛び散り、大イモリはウホウホを離した。
大イモリは苦悶の叫びをあげている。
大イモリは、火に弱いということか。
僕は、大イモリに飛びかかった。
大イモリは振り返り、しっぽを僕に向けて振ってきた。
僕は、しゃがんでかわし、大イモリの横から背中に飛び乗った。
大イモリの背中はヌルヌルして、滑り落ちそうになったが、浮遊術をとっさに発動し、踏みとどまった。
そして、炎をまとった剣を大イモリの眉間と思われるところに突き立てた。
僕とウホウホは、大イモリをさばいて、焚き火で焼いていた。
火の苦手な他の大イモリは、近づいてこないだろう。
大イモリは、焼いてもグニグニした微妙な食感だが、臭みはなく、僕とウホウホは、久しぶりのまともな食事に、がっついた。
腹はふくれ、水分補給もできたが、悲しい現実もある。
こっちの進路は、地底湖で終わっている。
入り口まで戻って、上か直進の、ウホウホの言うところの『いっぱい』いる何かに向かわなければならない。
僕たちは、入り口に立っていた。
『ウホウホ、どっちにしようか?』
ウホウホは、困った顔で、首を振っている。
『どっちでも』
ウホウホは、投げやりになっている。
『じゃあ、まっすぐ行くよ?』
ウホウホは両手を上に向けて上げて、やれやれと言うようについてきた。




