61 大穴の底
僕は、ウホウホの痕跡を探しながら、穴の底を斜面に沿って一方向に進んだ。
斜面が終わり垂直に切り立つところまで来たが、ウホウホ痕跡を見つけることはできなかった。
僕は、落ちて来たところまで戻り、今度は逆方向に進んだ。
マグマの短剣が照らす薄明かりの中で、斜面に何かが上を滑ったような痕跡を見つけた。
そこには、ウホウホの気配が残っていた。
僕は、少しホッとしたが、気を引き締め直した。
急がないと、ウホウホが虫に襲われているかもしれない。
僕は、ウホウホの痕跡をたどって行った。
ウホウホは、大穴の中央方向に向かって進んでいる。
大穴の底は、陽の光が当たらないといっても、苔のようないろいろな種類の植物が茂っていた。
しっとりとした、柔らかな森のようだ。
小さな虫の気配を感じるが、大きな攻撃的なものは感じ取れない。
少し行くと、多くの植物が倒されているのを見つけた。
先の柔らかそうな部分が、ちぎり取られている。
僕は、その部分を探った。
そこからは、ウホウホの気配を感じ取れた。
腹が減っていたのだろう。
食べてみたのだ。
さらに、ウホウホの気配をたどって進んだ。
大きな植物の陰に、何かがうずくまっている。
体からは、恐怖、絶望、青い負の感情がユラユラと立ち昇っている。
『ウホウホ!』
僕が呼びかけると、大きな塊が頭を上げた。
こっちを見ると、信じられないといった表情が、よろこびに変わる。
僕よりもずっと大きい体に飛びつかれて、僕は地面に転がった。
『ウフフ、ウフウホ』
顔をすりつけてくるウホウホを落ち着かせてから、僕らは周りから見えにくいところを探して、座った。
僕はカバンから、干し肉と水袋を出して、食事にした。
暗くて時間がわからないが、お昼は過ぎているのだろう。
ウホウホは、うまそうに食べていた。
干し肉は、まだたくさん持っているが、食べ物がいつ手に入るかわからない。
水と食料は節約しなくては、ならない。
僕は、これからの計画をウホウホに話した。
壁際に戻り、壁に沿って一方向に進み、登れそうなところをさがす。
同時に、壁から水がしみ出しているところをさがす。
獲物になりそうな動物を狩り、食べられそうな植物を採る。
ウホウホは、全面的に従うというふうに、コクコクとうなずいた。




