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丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
55/97

55 猿の隠れ家

猿のいる大木に登ると、上が開けていた。

枝と枝の間が平らで、その上に曲がった幹があった。

草を敷いてあり、この猿の寝床なのだろう。

ばあちゃんちのように広くはないし、家のように屋根も作っていないが、それなりに居心地のよさそうなところだった。

「あいつらは、敵か?」

僕は聞いてみた。

猿は首を傾げて困った顔をしている。

「あいつらは、味方か?」

もう一度、聞いてみる。

やはり、困った顔をしている。

言葉は、通じていないようだ。

あの複数の気配は、この猿の気配に似ていた。

でも、もっと攻撃的で、嫌な感じがした。

「僕、ゴロゴロ。おまえ、名前はあるのか?」

僕は、聞いてみた。

「ウホッ、ウホッ。」

「そうか、ウホウホか。よろしくな。」

僕らは、友達になった。


僕らは、猿の森の中を歩いた。

やはり、地上よりも木の上を移動したほうが楽だった。

僕はウホウホのあとを、ウホウホの真似をして移動した。

僕の手のひらは、猿のように大きくないので、ウホウホのように枝をつかんでの移動は、難しかった。

でも、僕のほうが身が軽く、ジャンプ力があったので、木の上を移動することには、慣れていった。


川の近くに行ったが、さっきの気配はもういなかった。

僕が岸から、弓で水中の魚を射った。

けっこう大きな魚で、2尾でじゅうぶんそうだった。

僕は、マグマの短剣で火を起こすと、さばいた魚を焼いた。

魚からはよい匂いが漂ってきた。

ウホウホは、僕が魚をさばいている段階で、よだれを垂らしていた。

それを待たせて、塩を振って焼いている。

ウホウホは乗り出して、僕と魚を見くらべている。

「ウフンフン?」

僕に、聞いてくる。

僕は、面白いことに気がついた。

探知の気術を使っていると、言葉はわからないが、相手が言っていることの意味がなんとなくわかるのだ。

「まだ、食べちゃダメ?」

ウホウホは、僕に聞いている。

じゃあ、逆もできるのか?

「いいよ、食べても!」

僕は、気術に気持ちをのっけて、相手に送ってみた。

「ウホッ」

ウホウホは、うれしそうに串に刺さった魚を食べ始めた。


夜は、ウホウホの隠れ家で、眠った。

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