51 鎧獅子再戦 続
僕は剣を押し下げ、親分の頭を踏み台にして、親分の後方に跳んだ。
親分の尻が下にあるので、精気を込めて剣を振り下ろす。
剣は親分の尻をとらえたが、尻に刺さることはなく、皮膚の上を流れた。
親分は尻を下げ、次の瞬間、後ろ足が蹴り上げてきた。
僕はまた、練習していたよりも強い精気を腕に流して、後ろ足の爪を弾いた。
僕の身体は、僕の思いと関係なく、回転しながら離れたところに肩から落ちた。
そこには、親分の気配が追ってきていた。
見上げると、親分の両前足の爪を振り下ろしている。
僕は両足で逃げるのが間に合わず、そのまま両手に精気を爆発させ、地面を激しく押した。
爪はかわせたが、僕の跳ね上がった先には親分の胸があった。
僕は、親分の胸を、精気を込めて力いっぱい蹴った。
親分から離れたところまで跳んで、距離はとれたが、親分にダメージはなさそうだった。
親分は、僕をジッと見ているが、仕掛けてこない。
僕は、息が上がっていた。
練習していたよりも、強く精気を流さないと、親分の速さには対応できなかった。
僕の攻撃も効かなかった。
鎧はともかく、鎧のないところにも、ダメージをあたえられなかった。
僕にできることは、何もなかった。
僕は親分に頭を下げ、背中を向けて走り出した。
親分の気配は、動かなかった。
僕は、晩飯も食わずに、泥のように眠った。
翌朝、僕は肉を食いながら考えた。
八方塞がりな気がした。
僕は、最初に親分と戦ったときよりも、強くなっている。
速くなったし、親分の攻撃を感じ取り、受けられるようになった。
でも、親分との差が縮まった気がしない。
親分は、速くて、強くて、硬い。
何を鍛えたら、親分に近づけるのだろう。
僕は、日の高くなるまで考えていたが、面倒くさくなった。
「わかんないや。」
何も対策を思いつかないまま、昨日までと同じように、身体を動かした。




