50 鎧獅子再戦
朝起きて、腹ごしらえしてから、「親分」のところに向かった。
そう、あの強い鎧獅子のことを、僕は「親分」と呼んで、目標にしていた。
正直に言って、今でも勝てる気はしない。
でも、どれだけひとりで修行しても、それは変わらない気がする。
戦ってみなきゃ、自分がどこまで来てるのかは、わからない。
今日は、それをはかるために、挑戦する。
前に戦った場所のそばの木の下で、親分は寝ていた。
僕が近づいても、動かない。
すぐ前に立つと、親分はゆっくり目を開いた。
親分はやはり、穏やかだった。
僕は距離をとって、剣を抜いた。
親分は立ち上がって、伸びをした。
次の瞬間、親分は僕の目の前で、前足を振り下ろしていた。
僕は、飛んで下がった。
親分の動きは感じとれたし、思ったとおりによけることができた。
親分は目を見開いた。
前回との、僕の違いを感じ取ったのかもしれない。
親分は前に出て、もういちど前足を振り下ろした。横に動いてかわすと、そこにもう一方の前足が下りてきていた。
僕は前に出て、親分のふところにもぐり込んだ。
鎧のないわきの下に剣を当てたが、剣が親分を傷つけることはなかった。
親分の鎧以外の部分も、硬い毛の中は鋼のような身体だった。
親分はわきを締めて、身体を落としてきた。
潰されかけた僕は、前足の後ろから飛び出した。
僕の視界に親分は入っていなかったが、背後から攻撃が来るのがわかった。
僕は瞬時に振り返り、剣で親分の後ろ足の爪を弾いた。
そこから跳んで、親分と距離をとった。
親分は、じっとこちらを見ていた。
親分に表情はない。
だが、一瞬笑ったように感じた。
眼の前に親分の頭があった。
親分のスピードが、ずっと上がっていた。
僕は、跳ね飛ばされる瞬間、剣で親分の頭を受けた。
僕が着地する瞬間、親分の攻撃が僕の上に迫るのを感じた。
僕は、これまで練習していたよりも、強く足に精気を込めて、地面を蹴った。
親分の前足の攻撃は空を切り、僕は少し離れたところにバランスを崩して、4本の手足で着地していた。
そのまま、手足で地面を蹴り、親分に跳びこんだ。
親分の首の鎧のないところに、精気を込めた一撃を振り下ろした。
親分は首を振り、頭の鎧で剣を受け止めた。
火花が散り、硬い金属音が響いた。




