46 岩山
朝になって、岩山を登った。
上空、ずっと高いところを、大きな鳥が回っているのが見えた。
木がないので、僕は上から丸見えのようだった。
僕は、赤鷲につつきまわされたことを思い出して、顔をしかめた。
「襲ってこなきゃ、いいけど。」
僕の希望は、かなわなかった。
鳥がまっすぐ、降りてきた。
僕は、赤鷲の弓を引き絞った。
やはり、僕の力では、この弓は硬い。
狙って射ったが赤鷲はかわし、足の爪がせまってきた。
僕は、横に転がってかわしたが、岩の上なので転げ落ちてしまった。
1度上空に上がった赤鷲は、僕の位置を確かめてから、もう一度、滑空してきた。
僕は、足場のよいところに登り、もう1度、赤鷲の弓を引き絞った。
今度は、精気をしっかり込めて、赤鷲を引き付けてから、矢を放った。
赤鷲は、矢が当たる寸前で身体をひねり、羽で方向を変えた。
矢はまた外れたが、精気をまとわせていたので、赤鷲の羽に衝撃が伝わった。
赤鷲は、バランスを崩し回転したが、体勢を立て直して上空に昇っていった。
赤鷲も警戒したのか、それ以上、襲ってくることはなかった。
昼頃には、岩山の頂上に出た。
風が吹き抜けて、気持ちが良かった。
このあたりで1番高いので、地形を確認することができた。
この岩山は長く続いていて、一方は森を分断していた。
もう一方は、ずっと遠くで山脈にぶつかっていた。
いま来た、村の側を見下ろすが、村は見えなかった。
ただ、川のような、森の切れ目がずっと遠くに見えた。
その向こうにあるという、湿地は見えなかった。
振り返って、今から降りる方向をみた。
虫の大穴があった。
大穴と言える大きさではなかった。
向こうの壁が霞むほどの広大な陥没があった。
穴は深く、底も霞んでいた。
この穴に降りて、戻ってきた人がいるというのが、驚きだった。
この、切り立った壁をどうやっておりたのだろう?
その縁の上は、岩場と荒れ地が広がっている。木はまばらだ。
大穴より向こう側は、もう一度森が続いているらしいが、よく見えない。
この岩山がぶつかっている山脈は、この岩山の数十倍の高さがある。
途中からは植物が生えていないように見える。
上の方は、凍っているのか、青白い。
僕は、長い間、この景色を見ていた。




