44 じいちゃんの知る森
ばあちゃんの知っていることは、それぐらいだった。
ばあちゃんは、大イノシシとも戦うことをさけていたので、それより強い獣とは戦っていない。
「ドリアンは、なんて言っておったのじゃ?」
ばあちゃんが言った。
「あ、聞いてない。」
そういえば、じいちゃんには聞いていなかった。
森のことを聞くなら、ばあちゃんだと決めつけてた。
じいちゃんのほうが、牙熊も狩れるほどなんだから、いろいろと獣のことを、知っているはずだ。
「じいちゃんのところに、明日、行ってくる。じいちゃんに話を聞いたら、そのまましばらく狩りにいってくるよ。いつ戻るかわからないけど、心配しないで。」
「ああ、気をつけて行くんじゃよ。無理はするんじゃないよ。疲れたら、帰っておいで。」
ばあちゃんは、それだけ言って、送り出してくれた。
村へは、走って行った。
朝に出て、昼前には着いた。
「早いお帰りじゃのう。」
ベッドの上から、じいちゃんは驚くでもなく言った。
「じいちゃんに、森のことを聞きに来たんだ。」
僕は、僕の修行になる獣について、聞いた。
じいちゃんは、牙熊が強いことを1番知ってる。
その前に相手にするべき獣を、じいちゃんなら知っているはずだ。
「そうじゃのう。難しい質問じゃのう。」
じいちゃんの獣の知識も、ばあちゃんとあまり変わらなかった。
ただ、じいちゃんは、多くの獣と戦っていた。
「湿地の方は、おすすめせんのう。湿地では足を取られて素早く動けん。浮遊術が必要じゃが、ずっと使っておると、疲れる。ヘビカエルは水の上でも動きが早くて、舌で攻撃してくる。歩行ワニは、陸地ではすごい速さで後ろ足で走る。両方とも、距離をとって弓矢で仕留めたことはある。身もそれなりにうまかった。が、旅の行程がつらい。寝るところにも困る。」
じいちゃんは、少し考えた。
「鎧獅子は、厄介じゃのう。荒れ地は、森よりも乾いていて、熱にやられる。鎧獅子の動きは早く、噛みついたらはなさん。食ったことはないが、うまくないと言われておる。」
昔のことを思い出しているのか、天井を見上げた。
「角猿は、おすすめできんのう。ヤツらはいつも集団でおる。1匹ずつなら、大イノシシより少し弱い、集団で来られると、牙熊よりも厄介じゃ。それに、狩れたとしても、食う気になれん。ヤツらはこっちを食う気で来るがな。」
また、少し考えて続けた。
「もちろん、虫の大穴に降りるのは、一番おすすめできん。実際には、穴に降りて、帰ってきたヤツはおる。でも、体中かじられており、頭がおかしくなっておった。虫も種類によるじゃろうが、大穴のトゲアリは苦くて食えんじゃろうよ。」
じいちゃんは、ため息をついた。
「ボロボロにされたワシが言うのもなんじゃが、結局、今のお前が戦いやすい相手は、牙熊かもしれんのう。もしくは、鎧獅子か。鎧獅子とやるなら、暑さにも気をつけんといかん。」
そして、顔を引き締めて、言い足した。
「でも牙熊とやるなら、あのオスはさけた方がいい。ワシも、あんな強い牙熊に出くわしたのは初めてじゃ。」
僕は、自分の小屋に戻り、考えてみた。




