43 ばあちゃんの知る森
僕は、ばあちゃんちに戻っている。
村を出るときには、じいちゃんに弓矢の練習をおこたるなと、うるさく言われた。
じいちゃんの数日の指導で、矢の飛距離、強さ、連射は、以前より成長していた。
教えてはもらっていないが、じいちゃんの見せてくれた、精気をまとった強い矢、「豪矢」は射てるようになっていた。
以前から射っていた精気で強化した矢の、込め方と強さを変えたものだった。
曲がる矢、「曲矢」は、むずかしくて、まだ使えない。
わずかに曲がりはするけど、どこに行くかはわからない。
ばあちゃんちに急いで戻ってきたのは、森について聞くためだ。
この森はどこまで続いていて、どんな獣がいるのか。
僕は、もっとこの森のことを知りたくなっていた。
僕が強くなるためには、どんな獣を狩ればよいのか。
牙熊には、かなわない。
スピード、破壊力、防御力、すべて牙熊が上だ。
マグマの短剣の力を借りて、やっとひるませただけだ。
仮にマグマの短剣を使っても、次はかわされるだろう。
どれだけ、大イノシシを狩っても、僕はこれ以上強くはなれない。
そんな確信があった。
僕より強い獣を、苦労してでも自分の力で倒す。
「ワシも、このあたりから出ないからねぇ。」
ばあちゃんは考え込んでいた。
「いろんな人に聞いた話で、確認はしてない。間違っていると思って聞いておくれ。」
ばあちゃんは、そう前置きをして、話し始めた。
「川の向こうにずっと行くと、もっと暑くて湿気てくる。湿地になってきて、そこにはヘビカエルと歩行ワニという強い生き物がいるらしい。
森の奥に向かうと、おまえも知っておる牙熊がおる。
遠くに見える岩山の向こうには、大きな穴がある。そこに降りて、帰ってきたものはいない。大型の虫の、巣になってるという話じゃ。大穴の上は、荒れ地になっておる。そこには大型の鎧獅子がおる。鎧獅子も、牙熊に劣らず強いらしい。荒れ地の向こうは、また濃い森になっている。ここよりも、植物が強く、地面を歩きにくい。そこは、樹上の角猿どもの土地じゃ。ヤツらは賢くて、集団で行動する。おまけに攻撃的じゃ。角猿のなわばりは広い。
そのずっと向こうは、森の民の土地になる。近づかんほうがええ。ヤツらはワシらをよく思っていない。」
ばあちゃんはここまで話して、息をついた。
「そして、本当の地獄は、あの高くそびえる山脈の向こうにあるといううわさじゃ。」




