35 マグマの短剣の力
僕は、牙熊に全速力で飛び込んだ。
そして、マグマの短剣を抜き牙熊の頭に向けて、全力で振り下ろす。
牙熊は、さっきと同じように、頭を引いて簡単にかわす。
僕は剣を振り抜かずに、剣先を牙熊の頭に向けて止める。
牙熊の爪がせまるが、かまわずにマグマの短剣に、全力の精気を流し込む。
マグマの短剣の剣身から、激しい炎がうねりながら飛び出す。
牙熊は目を見開き、すさまじいはやさで身体を引く。
しかし、マグマの短剣から出る炎は、拘束を解かれたよろこびを表すように、辺りを踊り狂った。
牙熊の頭も炎にのみ込まれた。
と、僕の左肩に衝撃が走り、僕は激しく回転しながら、岩壁まで弾け飛んだ。
僕は岩壁に激突して止まり、地面に落ちた。
何が起こったのか、わからなかった。
一瞬の意識の空白のあと、感覚が戻ってきた。
体中が痛い。
岩に叩きつけられた背中が痛い。
腕も足も痛い。
左肩がしびれて、感覚がない。
僕は、地面に倒れたまま、自分の身体を確認した。
どこからも、血は流れていない。
腕も脚も、変な方向に曲がってはいない。
感覚のない左肩も、ちゃんとついている。
少しゆとりができて、どうなったのかわかった。
牙熊の爪の攻撃が、僕の左肩にかすったのだ。
牙熊が炎をよけたおかげで、この程度ですんだ。
僕は立ち上がった。
身体は痛むが、動けないほどではない。
牙熊を見ると、頭から炎が上がっている。
それを消そうと、牙熊は暴れ狂っている。
僕は、岩穴に向かい、中に入った。




