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丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
33/97

33 ドリアンの話

「おまえは、どうやってここから出ていくのだ?」

ドリアンが聞いた。

「考えてない。」

「へ? でも、なんか、手は打ってあるのじゃろ? 上からツルをたらすとか、助けを呼びに行かせてるとか?」

「ツルなんか持ってないから、たらしてないし、ひとりで来たから、助けなんか呼ばせてない。」

「なにしにきたんじゃ!!」

また、ドリアンがどなった。

「ひとの大雷魚と水、全部たいらげといて、よく言うよ。」

僕は小さな声でぼやいた。

「聞こえておるぞ! おまえは、ここでワシと心中するつもりか?」

「僕はやられるつもりはないよ。ドリアンさんもね。」

「なんじゃ、やっぱりおまえは、強いのか?」

ドリアンが怪訝な顔になる。

「いや、弱いよ。こんなに自分が弱いと、思ってなかったよ。やっぱり、強いヤツがいるんだね。この森にも、森の外にも、たくさん。」

「変なやつじゃ。自分が弱いのに、うれしそうじゃ。」

「ここから助け出したら、弓矢を教えてもらうよ? もう一頭の目を射抜いた矢、スゴかった。」

僕が、心からの尊敬を込めて言うと、ドリアンは誇るでもなく、微笑んだ。

「見たのか。メスの死骸を。牙熊に手を出すつもりはなかったんじゃ。ベリーに弓矢の指導をしていたら、突然、襲われたんじゃ、牙熊に。なかなか、強いメスじゃった。やっと倒したと思ったら、つがいが出てきおった。コイツは、別格じゃった。自分の弱点も理解しておる。目など射たしてはくれんかった。スピードも力も、メスの比ではない。そして、つがいをしとめた、ワシに対する怒り、うらみがすさまじい。ワシも、久しぶりに、自分が弱いことを思い出したよ。」

ドリアンは、静かに微笑む。

「そうじゃ、ベリーじゃ。あいつも背中に爪の一撃をもらっておる。早く治療せんと、助からんぞ。メスの死骸の側の大木の上に寝かせてある。いや、もう何日も経つ。ダメかもしれんのう。ゴロゴロと言ったか。おまえだけでも、ここから出られるのなら、ベリーのところに行ってやってくれ。ダメだったとしても、身体をドンブリに届けてやってくれ。」

ドリアンは、無念の表情をうかべた。

「どうなるかは、わからない。ちょっと、試してくるよ。」

僕は、穴から飛び出した。

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