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丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
32/97

32 ドリアン

穴の中を転がった僕は、奥の壁にぶつかって止まった。

穴の入り口を見ると、牙熊が手を突っ込んで、激しく振り回し、怒って吠えていた。

穴の入り口は牙熊には狭いし、奥行きは深く牙熊の手はとどかなかった。

寝転んだまま視線を動かすと、怪訝な目が僕を見下ろしていた。

目の持ち主は、岩壁によっかかって座っていた。

よく見ると、片方の足が変な方向に曲がっている。

「なんじゃ、おまえは?」

「僕はゴロゴロ。」

「ゴロゴロ? 変な名じゃ。って、名など聞いておらんわ! どうして、こんなところに入ってきた?」

ドリアンは、不可解そうな顔で聞いた。

「ちょっと、ようすを見に。」

僕は、答えた。

「なんじゃ、それは? ワシのようすを見て、どうする?」

「村長が、ようすを見てきてほしいって、ドリアンさんと、ベリーさんの。」

僕が説明する。

「なんじゃ、ドンブリの遣いか? なんで、こんな子供にたのんだのじゃ?」

ひとりごとのように、ドリアンが言う。

「僕が強いからだって。」

ドリアンに教えた。

「おまえは、強いのか?」

疑う顔で、ドリアンが聞く。

「大イノシシを一撃で倒したら、そう思われた。」

「大イノシシぐらい、ワシだって鼻くそほじりながら、一撃で倒せるわ!!」

ドリアンがどなった。

「鼻くそほじりながら、弓矢をうてるの?」

僕ば驚いた。

「うてるわけなかろう! ケンカを売っておるのか?」

ドリアンが、またどなった。

気が短いようだ。

「ケガしてるのに、元気そうだね。」

「元気なわけ、なかろう。そうじゃ、飲み物と、食い物はないか? ひもじくて、死にそうじゃ。」

「あるよ。」

僕は、水袋と大雷魚の干物をわたした。

ドリアンはむさぼるように、水を飲んでは干物を食べるのを、くりかえした。

すべて食べ終わって、ドリアンは息をついた。

「あー、うまかった。生き返ったわい。」

満足して、落ち着いたようだ。

「でも、結局、ここで死ぬのじゃがな。」

あきらめた顔で、静かに言った。

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