30 戦いの跡
しばらく川沿いに進んで、ゴツゴツとした岩山を登っていく。
ドリアンの気配は古く弱いが、他の生き物の痕跡が少ないせいか、どうにかたどって行ける。
岩山の上をしばらく進み、反対側に下っていく。
森の開けたあたりに、激しい戦いの跡があった。
木は倒れ、地面には何かがすべった跡や、巨大な爪が踏ん張った跡が残っていた。
「何が暴れたら、こんなことになるんだ?」
僕は、戦いの跡をたどって奥へ行った。
そこには、巨大な牙熊の死骸が横たわっていた。
身体には、何本もの矢が刺さっている。
僕は驚いていた。
「弓矢で倒せるものなんだ。」
弓矢は獲物との距離をかせげる。
でも、一撃の破壊力が、剣よりずっと弱い。
牙熊に近づいてよく見ると、その目にも深く矢が刺さっている。
「これが、とどめになったんだ。」
すごい腕をしている。
偶然ではなく、狙って渾身の一撃を目に命中させたんだ。
僕は、周りを見回した。
牙熊との戦いは、ここで終わっている。
でも、さらにずっと奥の方に、大きな怒りの気配がある。
その気配は、ふつうではない憎悪を燃やしている。
しかも、とても強いくて大きい。
僕には、勝てる気がしない。
近づくな。
本能がそう言っている。
ばあちゃんも、そう言ってた。
でも、そこにドリアンがいるという確信も、なぜかあった。
「もう、やられちゃってるかもしれないけど…。」
僕は、自分を奮い立たせて、そこに向かった。




