28 みやげ話
その晩は、大雷魚を焼いて食べながら、村の話をたくさんした。
ばあちゃんは、ミカンさんの話を、うれしそうに聞いていた。
僕がミカンさんに気術を習ったことも、それを大雷魚に試したことも話した。
ミカンさんからのおみやげは、採集や狩りでは手に入らない畑の作物や、それを干したもの、町から入ってきた調味料だった。
僕は、友だちになった同じ年頃のキウイ、プラム、ザクロ、ユズのことを話した。
彼らが強くなりたがっていて、ばあちゃんの教えをさずけたことも。
弟子にしてくれとたのんできたズッキーニのことも、話した。
彼にもやはり、ばあちゃんの教えをさずけたことを。
村長のたのみと、ドリアンとベリーのことも話した。
「ばあちゃんはドリアンさんと会ったことがあるの?」
僕は、聞いてみた。
「あるともさ。だいぶ前だけど、ここに寄ったこともある。」
ばあちゃんはうなずいた。
「僕、行ってみるよ。村長さんは息子さんを心配してたよ。ドリアンさんのことも、心配みたい。」
「ああ、行っといで。ただ、牙熊の縄張りには入るんじゃないよ。おまえは強くなったけど、牙熊は大イノシシとは違う。牙熊が近くに来ても、気配を消して、やり過ごすんだ。戦おうとするんじゃないよ。牙熊は大イノシシよりずっと大きくて、力も強い。毛が硬くて、短剣が通らない。爪は長くて硬い。爪の一撃を喰らえば、大イノシシも、イチコロさ。」
ばあちゃんが、厳しい顔をしている。
「ああ。戦わないよ。」
僕は、ばあちゃんの言うことにしたがった。
その夜は遅くまで、ばあちゃんと話をした。
翌日は、一日ゆっくりすることにした。
大雷魚のおかげで、食べ物にもこまらない。
時間があるおかげで、気がついたこともある。
ばあちゃんの家は、やっぱり獣の嫌がる気配を放っている。
これが、ミカンさんの言ってた気術なのだろう。
あと、もっと気になることがある。
ばあちゃんの気配が、少しだけど弱くなってる。
ばあちゃんに聞いてみると、
「年寄りだからね。」
と、笑った。




