27 大雷魚
帰りは、のどかな旅だった。
一度、歩いた道だ。
背中の荷物は大きいが、重いとは感じない。
近くに大イノシシの気配はない。
天気もよく、森の緑の美しさを楽しんだ。
川が広くなっているところで立ち止まって、川をながめた。
川の中に、強い気配を感じる。
あの大雷魚だ。
一度くわえられた仲だ。同じ個体だとわかる。
僕は、川に向かい、石の上に荷物をおろした。
川の中に入り、汗を流す。
歩いて汗をかいていたので、気持ちがいい。
少し深いところまで泳ぎ、両手で水面を叩く。
沖の方で、大きな気配がユラリと動く。
大雷魚の動きが、手に取るようにわかる。
ミカンに追跡の気術を習ったおかげで、遠くや小さな気配を感じ取れるようになった。
大雷魚が足の下から襲ってくる。
僕は両足と両手から、広い範囲に強く精気を放った。
精気は飛ばず、僕の身体が水面から飛び出した。
さっきまで僕の身体があった場所を、大雷魚のギザギザの歯が襲った。
僕は大雷魚の頭のテッペンに向けて、今度は細くしぼった鋭い精気を放った。
僕の攻撃は、狙ったところにあたったが、大雷魚の鱗と頭の骨は丈夫で、大きなキズを負わせることはできなかった。
僕は腰から短剣を抜き、今の攻撃で鱗が焦げているところに、精気を込めた一撃を加えた。
プッカリ浮かんで、横倒しになった大雷魚を、岸まで運んだ。
泳ぐときに、手のひらを大きくするように精気をまとわせると、強く水をかくことができた。
浅瀬で大雷魚のエラを切り、血抜きをした。
こうしておくと、魚はおいしいと、ばあちゃんから習っていた。
ただ、水に血を流すと、次の魚たちがよってくる。
僕は怒気を放ち、魚たちを威圧した。
せっかくの大雷魚をかじられてはかなわない。
大雷魚を担ぎ上げようとしていると、ばあちゃんがやってきた。
「おかえり。おみやげを現地調達かい?」
ばあちゃんが笑いながら歩いてきた。
「ただいま。村からのおみやげは、ちゃんとあずかってるよ。これは、僕たちの晩飯。」
ばあちゃんと話して、ここで解体して、いらない部分は重いのでここに残して行くことにした。
身、皮、歯、鱗は一部、持って帰る。目玉、内蔵を洗って、必要なものをより分ける。
こうやって、僕はばあちゃんの家に帰ってきた。




