21 気術師ミカン
練習が終わってから、僕はユズのあとについて、気術師ミカンに会いに行った。
小さな村なので、それほど遠くはないが、猟師たちの家が集っているところからは、ミカンの家は反対側にあった。
こちら側には、気術師の家が集まっているようだ。
家から出てきた気術師ミカンは、ばあちゃんよりもすこし若く、痩せていて背が高かった。
顔はユズとどことなく似ているが、ミカンのほうが、陽気だった。
ユズには、どこかかげがある。自分に自信がないからかもしれない。
「よく来たね。ユズから聞いてるよ。ハナのとこに住んでるんだって? ハナは元気にしているかい?」
ミカンが笑顔で迎えてくれた。
「うん、元気だよ。これをミカンさんにって。」
僕はばあちゃんからあずかっていた包みをカバンから出してわたした。
包を開いて中身を確認したミカンは、うれしそうに笑った。
「ありがたいねぇ。こっちの方ではあまり採れないんだよ、この薬草は。以前はいろいろと交換していたんだけどねぇ。お互いに歳をとって、長時間歩けなくなったからねぇ。」
ミカンは、すこし寂しそうな顔をした。
「もどる時には寄っておくれよ? ハナへわたしてもらいたいものがあるからねぇ。」
「うん、わかった。」
ぼくは、答えた。
「そうそう。あんた、強いんだってね? 大イノシシを一撃だって? ハナも強かったけど、あんたはけたはずれだね。」
ミカンがあきれるように、言う。
「ばあちゃんがミカンさんに気術を教えてもらえって。そしたら、もっと強くなれるって。」
「うーん。」
ミカンが困ったようにうなった。
「ハナも変わった戦い方をしていたけど、弟子のあんたも、やっぱり同じなんだね。」
ミカンは考え込んだ。
そして、すぐに説明してくれた。
「いやね、この村では、気術と狩猟は別々なんだよ。べつに気術師と猟師が仲が悪いわけではないんだけどね。それぞれが、それぞれの領分を尊重しているのさ。」
僕はそれを聞いて、驚いていた。
ハナに習ったのはその両方であり、その両方は密接に絡み合っていた。
どちらが欠けても、まともな狩猟はできそうになかった。
「僕は、気術を教えてもらうことは、できないの?」
僕がためらいがちに聞くと、ミカンは少し考えた。
「いや、あんたには関係ないことだわね、この村でのあり方は。ハナのたのみさ。教えてあげるよ。」
ミカンは笑顔でうなずいてくれた。




