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丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
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17 4人の猟師

この大イノシシは、若い個体のようで、この前のヤツよりすこし小さかった。

縄張りを持つことができなくて、こっちまで下ってきたのだろう。

本来は、エサの豊富なもっと上流の方に集まっている。


僕は、背後から忍び寄り、短剣を抜き首元に飛びかかった。


眼の前には、大イノシシがしずかに横たわっている。

やはり、前に倒したときに感じた感覚は、僕が強くなったものだった。

前の大イノシシより小さくて未熟だったとはいえ、こんなにあっさり倒せるとは思っていなかった。

でも、今回は残念ながら、前回のような強くなる感覚はなかった。

強い相手に、苦労して勝たないと、あの感覚は得られないのかもしれない。

そんなことを考えていると、離れた茂みの中から、何人かの人の気配があらわれた。

4人の男たちが、こちらに歩いてくる。

「すごいな、キミ。」

「もう、大丈夫か?」

「いや、驚いた。」

「ううむ」

男たちは興奮気味に、口々に言う。

4人とも、猟師のようで、しまった体をしていて、腰に剣、背中に弓と矢を持っていた。

先頭のリーダー格の男が、前に出ながら頭を下げた。

「いや、すまない、興奮してしまって。それにしても、キミは強いな、大イノシシを、一撃だなんて。」

「若いヤツだったから。」

「確かに、若かったが、それでも大イノシシを1人で倒せる者など、ウチの村にはいない。ああ、すまない。俺達は近くのドコン村で猟師をしているんだ。」

振り返って、ひとりひとり仲間たちを紹介してくれた。

リーダーは、コメ。やや大柄の筋肉質。

背が高いのは、ムギ。

背が低くてガッシリしているのが、アワ。

中間ぐらいの背の高さで、痩せているのが、ヒエ。

「ああ、驚いたよ。とても素早くて、正確な攻撃だ。で、キミは見かけない顔だが、ドコン村の住人じゃないよね?」

ムギが確認してきた。ドコン村の住人以外を見かけることは、あまりないのかもしれない。

「うん。僕はゴロゴロ。上流のハナばあちゃんと住んでる。ドコン村に遊びに来たんだ。」

「ハナさんと…。ハナさんも、しばらく見かけないな。ハナさんは元気かい?」

「うん。とっても元気だよ。」

「まあ、話は村に帰ってからにしよう。歓迎するよ。」

リーダーのコメが、笑顔で言った。

猟師たちは、木を2本用意して、大イノシシを4人で持ち上げた。

森の猟師だけあって、彼らは力が強かった。

村に向かう道中、4人が説明してくれた。

ドコン村に大イノシシが近づいてきていることに、感覚の強いものが気づいたこと。

村の精鋭の猟師4人が対応に出たこと。

精鋭4人といえど、大イノシシが相手では、慎重に作戦を考えねば、危険であること。

そこに、僕があらわれて、大イノシシをしとめたこと。

「この大イノシシだが、ゆずってもらうことはできないだろうか。支払いは、お金でも、モノでもいい。これだけの肉があれば、かなりの人数の食料になる。大イノシシは、めったに獲れないから、素材もたすかる。」

コメが、すまなそうに聞いてきた。

「ああ、いいよ。やるよ。」

「え、それはわるいよ。支払いは、できる範囲でさせてもらうよ。」

「やるよ。僕にも食わせてくれたら、それでいいよ。お金は使ったことがないし、モノにも困ってない。」

僕が笑って言うと、コメの困った顔も、笑顔に変わった。

「そういうことなら、お言葉にあまえさせてもらうよ。晩飯に期待してくれ。今夜は、俺の家に泊まったらいい。」

大イノシシのおかげて、行くところが決まった。

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