甘ちゃんアレクシス
# 結末への道標
## ≪対面≫
朝靄が漂う丘陵地帯を越え、ルドルフ・フォン・スワイケルドが重臣と共にクリスティナの居館へとやってきた。彼の顔には疲労と決意が入り混じっていた。
「クリスティナ」謁見の間で二人が向き合う。「この場に来たのは、すべてを終わらせるためだ」
## ≪告白の重さ≫
ルドルフが静かに語りだす「兄上を殺したのは私だ、お前の父上と母上を……殺したのは俺だ」
「なぜ?」クリスティナの泣き声で。「だが知っておくべきことがある。この国は弱すぎる。いつ他国に蹂躙されるか分からない、誰か後ろ盾がないとやっていっけない」
彼の目には狂気にも似た情熱が宿っていた。「だからこそ強くしたかった後ろ盾を。スワイケルド公国を長年支えてくれた、西帝国のファビオ家は最近は帝国内の覇権争いで、押されていているスワイケルド公国に関心がないし力を貸せる状態じゃない、そこへ西帝国のバレン家が力を貸してくれると申し出があった、俺はバレン家に乗り変えるべきだと兄上に進言した、兄上は長年のファビオ家の親交があった義理に反すると断った、私はこのままではいけないと思ったのだ、この国は弱い、いつ西帝国、ヴァイキング国家、パベル国、サリバ国に落とされても不思議じゃない、強くするためにリッカルド執権と密約を結び兄上を誅殺した、その仕業をファビオ派の親族のせいにしリッカルドがその親族を武力で滅ぼし権力を掌握、それがどうだその事が分断を招き、……リッカルド執権の政治の権勢を許してしまい結果として国を弱めてしまった、私はとんだピエロだ」
ルドルフは深く頭を下げた。「俺を処刑しろ、ルドルフ領を好きに使うといい」
「何ですって?」クリスティナの顔から血の気が引いた。
「父を殺したのはこの俺だ。許さなくてもいい。だが未来のためには……お前に処刑されなければ」
「‥‥‥」小さくうなずく
「お前には残酷なことを頼む、家族の処刑も」
# 命の重さ
## ≪苦渋の選択≫
「できません!」クリスティナが嗚咽に濡れた声を上げた。「幼いレオ(甥)やリーナ(姪)を殺すことなど……私にはできません!」
その叫びを聞いたアレクシスが思わず拳を握りしめる。「あなたは本当に自分勝手な人間だ」彼の声が震えていた。「なぜ自分でできること(甥姪を殺すこと)を全部クリスティナ様に背負わせる? あなたは卑怯者だ!」
「よろしく頼む」ルドルフが深く頭を下げた。
「待て!」アレクシスが一歩前に出た。「せめて自分の口で、甥と姪に説明してください」
## ≪最後の別れ≫
呼び出されたルドルフ家族の寝室で、ルドルフが小さな子どもたちの前に膝をつく。
「お父様……?」眠そうな目をこすりながら五歳のリーナが尋ねた。
「どうして……?」
「すまない」ルドルフの声が詰まった。「お前たちは処刑される」
「なんで?」幼いレオが純粋な疑問を口にした。
ルドルフの目に涙が光った。「私は‥‥私の兄を殺した。とても私一人では償いきれないほどの悪いことをした。だからお前たちのお母さんと一緒に処刑されなけばならない」
「父上……」レオ、リーナが小さく頷く、貴族の教育を受けてきた二人は何となく分かった。
「すまん……」ルドルフは娘と息子を抱きしめた、そっと押し戻した。
ルドルフは静かに部屋を出た。代わりに妻へ目配せし、無言で部屋を後にした。
「奥様」アレクシスが静かに語りかけた。「私はルドルフ卿の暴挙は許せるものではありません」
ルドルフの妻アンジェリカが泣き崩れる。「どうか……どうか子どもたちだけは……」
## ≪命の選択≫
アレクシスは膝をつき幼い2二人に話しかける「君たちはお父さんの罪で、お父さんやお母さんと会えなくなるんだ」
「分かってます」二人が頷く。
「これからは誰も知らない国で君たちは2人で生きていかなきゃならない」
クリスティナと妻アンジェリカが目を見開く
アレクシスが胸の奥が痛む。「ああ」アレクシスが苦笑いする。「僕は光雷卿とは違って甘いんだ。心が弱いから殺せない」
「ライアン・モーガン殿。幼い二人をサリバいるの叔父上の元へ送っていただきたい」
「ふん……そんな甘ちゃんじゃ早死にしちまうぜ」ライアンが肩を竦める。
「構いませんよ」アレクシスが寂しげに微笑む。「一生二人分の命を預かる覚悟で選んだことです。殺してしまえばそれで終わりなのに……」最後は笑みとともに消えた。
「ありがとうございます……」クリスティナが涙ながらに頭を下げた。アンジェリカも崩れ落ちた。
## ≪処刑の真相≫
十日後。
ルドルフと妻アンジェリカが民衆の前で大公殺し罪が公表され処刑された。表向きは「家族全員」と発表されたが、実際には……
「子供たちは寝ている間に毒殺されたそうですよ」
「なんて可哀想な……」
「しかし謀反の子ですから……」
人々の噂話を聞きながらアレクシスは空を見上げた。「これでいいんだ……」
「アレクシス……」クリスティナが袖を引っ張る。「あなたは正しい選択をしました」
「いえ」アレクシスが首を振る。「これは私の弱さです。ただ……あの子たちに罪はありませんでしたから」
クリスティナの正統性とリッカルド不当性が明るみになり、ベルガー家の勢いが増していく。




