表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ガクブル半隠遁  作者: 尾中垂太
本編の続き
23/26

命石

お久しぶりです。おはようございます!

昨晩は書ける書ける詐欺をしてしまってすいませんでした!

寝落ちしてしまったらしく、先程画面を見たらwwwが沢山あってなんだかやるせなくなりました…。

お待たせしました!よろしくお願いします!

念願の泡で頭と体を洗ってさっぱり。

ついでに生え放題だった無駄毛のお手入れ…は思ったより大変だった。

シーゼドランで貰ったカミソリがわりの小さなナイフはよく切れた。

そんな代物を扱えるのなんて想像の中の床屋さんのおっちゃん位しか思い付かない。


鈍く光る鋭い切っ先が怖くて仕方なくてガクブルが止まらなくってまた肌を傷つけるの繰り返しだった。地味に痛い辛い。

そうして即行流血即ポーション!みたいな流れが定番となること数日…。

流血して途中で怖くなってやめたり気分が悪くなってやめたりで今日やっと完全体女子になれたのだった。


手作りと思われる化粧水もほどよく馴染み、たいした顔じゃないが何となく鏡を凝視してしまった。


「ほんとの私デビュー!なんちゃって~…」


冗談を言ってみるも反応がなくむなしい。

しかし世のラノベとかのファンタジー世界の女性は皆お手入れはどうしてるのだろう。

そのままだったら嫌だなぁ。

どんなに可愛くても眉や手足の毛がぼーぼーだったら台無しだしな、うん。


最低限だがやることやったら人心地ついたのかやっと肩から力が抜けた。

長い道のりだったなぁ…。


自分を慰め、大音量で流していた音楽をなんとなく止める。

音楽は胎教教育とかってふざけた名前に変わってた例のアプリのだ。

アップテンポの曲を流してたが静かになったとたんテンションががた落ちてしまった。

はぁ、今後に不安しか持てない…。


目を逸らしてきたがそろそろ半月が過ぎる。

そろそろ本気だしていかなくては…。


先ずは魔法やら魔術やらを勉強したい。

いや本当は勉強なんざしたくないがこればっかりはしょうがない。

めんどくさいが騙されないためなのだ。ここは異世界なのだし、海外旅行並みの警戒心で挑まなければ!


頑張れ自分。


あとは一般常識を少々。これはなんかあったとき怪しまれない程度でいいや。そもそも此方の常識が馴染むほど居たくない。


「うあ~、帰りたーい。肉!肉!焼肉~」


おっと失礼、口から願望が。

甘いものは果物があったからまだ救われたっちゃ救われた。

けれど肉がなぁ。食べたい。

干し肉は現代っ子の軟弱な顎にはキツイのだ。

しょっぱいやら硬いやらで半ば意地になってかじってたらスープに入れたりするのが主流だとか。

情報源の三毛猫が言いにくそうに目を逸らしてたのがなんだか痛かった。

ついでに顎も。


「やわらかーい肉が食べたい…」


そうやって願望を口にして気を晴らしてたのが昨日。



今日というか今朝、いつも通り起きたい時間に起きたら目の前にドギツイピンク。

目に痛い。いや、目が痛い。


…。

……。

………え?


インパクトのある色彩に気をとられ過ぎて全くなにも考えられない。

なるほどこれがいわゆる頭が真っ白ってやつか。目の前にあるのはドギツイピンクだが。


「なに…これ…?」



だいぶ眺めたあとに出てきたのはこれだけだった。

ドギツイピンクの何かは私よりも大きくて、なんか丸くてふわふわしていてさわり心地が良さそうだ。

けれどこのピンクは気に入らない。なんていうか品がないっていうか、安っぽいっていうか…まあ、とにかくそんな感じの色だった。

ぶっちゃけるとなんだかいかがわしい感じのするピンクだったのだ。


というかこんなの寝る前に部屋においた覚えはない。

小屋の四分の一を占領するほどのデカさ。クッションとしてもインテリアとしても邪魔でしかない。

しかも生き物らしく上下に動いている。呼吸していると思われる…多分。


「ちょっとちょっと~…」


いくら寝てたとはいえこうも簡単に家屋侵入をさせちゃ不味いでしょ。

どうなってるのさ精霊さん達!!


【電波受信≪つぶやき≫】を起動させて外に避難しつつ情報収集にいそしむ。涙ぐんでいるのは言うまでもない。


ぐうぅぅ。

朝食がまだなためお腹の虫が不満の声をあげて空腹で気持ち悪くなるも宥めてやり過ごす。そうして早く朝食を食べたい一心で今までにないくらいスマホを高速タップ


そうしてわかった新事実!

石から生まれたやわらかいお肉です、とのこと。

なるほどわからん。



精霊さん達に話を聞くのは根気がいる作業だったが頑張った。

やたらと発言の数が多い上に平仮名で読みにくく話題も飛び飛び。


司祭と王族、秘密の密会!

火遊び!?清純系伯爵令嬢の素顔!!

密着!側室24時!!

恐妻特集~静かなる激情編~

まるわかり!各国の隠し子事情!


気になるものもあったので後で聞こうと思う。

最近の精霊さん達はこういうのだけつぶやきのレベルが高い。

漢字を使ってるし大精霊さんあたりが絡んでると思うんだけどいったいなにがしたいのやら…。

まったく!週刊誌張りの見出しに知的好奇心が疼いてしょうがないじゃないか。



要約のもとのそれっぽいつぶやきはこんな感じだった。



『うまれた~』

『なんざんでした~』

『おにく!おにく!』

『ねがいにいしがこたえた』

『ちいさいおおきい』

『やわらかーい』

『うれしい?うれしい?』

『いし!うまれた!』



何度見てもわからん。

しょうがないので三毛猫に泣きついた。

ちょうど暇だったらしくすぐに来てくれたので早速おねがいした。

うん、青くないけどとても頼りになる子猫だ。

もちろん頼りになる前はごねにごねた。なので相談料や問題発生時の対応時などの大人のお話をしたうえで気持ちよく調査を開始してもらったのだ。


『なんにゃ…この生き物は…』

「知らない。なんか起きたら居たんだけど…」


うにゃうにゃ唸りながら小屋に入ってピンクの生き物をつつく三毛猫。

なんだか玩具にじゃれてるみたいに見えるなんて内緒だ。

一通りつつき回すと満足したのかドヤ顔で帰ってきた。


『あ~、あれは命石にゃ。シナが持ってた白っぽい半透明の石から生まれたのにゃあ』

「え?石から!?ここじゃ生き物は石から生まれんの!!?」


ショックだ…。道理で探しても卵がないはずだ。


『まぁ聞くにゃ。幻獣や我らみたいな古代種は命石から誕生するのにゃあ。しかしそれにはにゃ、永き時と大量の魔力と少しの奇跡が必要なのにゃ…』




このあとかなり長く話が続いた。

要するに精霊さん達が気を回してくれて不思議な石から新しい生命誕生ってことらしい。

ほんのり温かい石だったからホッカイロがわりにしてたんだけどなぁ、あの石。道に落ちてたからって拾って帰るのはもうやめよう。


『シナ、そろそろ現実を見るにゃ』


その言葉にチラッとドピンクを見てしまった。

三毛猫の話の途中に起きてきたやつはピヨピヨと鳴きながら歩いてきた。

そう、ピヨピヨと…。



……ひよこ、だよなぁ。


大きささえ無かった事にできれば間違いなくひよこ。

脚の太さと爪の鋭さにさえ目を瞑れば間違いなくひよこ。

色さえ黄色だったら間違いなくひよこ。


結果……ひよこ、だよねぇ。これ。


『ううむ、初めてみるにゃ。色はピンクスライムに似てもなくにゃいが随分と奇抜な色だにゃあ』

「えーと、これ…ひよこ?って知らない?」

『ひよこ…シナはこいつを知ってるのかにゃ?何故にこんな色を?毒を持ってたりするからかにゃ?それとも炎を吐くのかにゃ?性質としては?山で共存するつもりかにゃ?ルゥル鳥の雛に似ているが成体はどんにゃ感じににゃるんだにゃ?』


質問の多さに聞こえないふりをしたくなったがそういうわけにもいかない。

少しづつ答えていった。


あれの名前はひよこ…多分。

私が知るかぎりではそんな色じゃない。

毒はない。

炎は吐かない…ってか炎に炙られる側だ。

ひよこの性質なんて知らん。

共存?飼育の間違いじゃ…。

知るかぎりじゃ大きくなったら鶏になるはず。チキン食べたい。


『チキン?うまいのかにゃ?』

「鶏はお肉も卵も美味しい」


色や大きさからして規格外だし例外とかありそうだしはっきりした事は言えない。

ちらりとピンクひよこをみる…何故だか地面をすごい勢いで転げ回っている。

なんだこいつ虫でも持ってるのか!?


布団を気にしながらも、解らない事だらけで頭がいたくなる。


しっかしこの世界には鶏がいないのか…。

代わりにルゥル鳥が食用らしい。

あんなデカイのが!?って驚いたがなんてことはなかった。

この山のルゥル鳥が規格外なだけで、他所のルゥル鳥は私の知っている鳩そのままで安心した。ただし目付きは悪いままらしいが。

異世界では平和の象徴でもないからここではよく食べるらしい。

私は食べたいと思わないが。

ちなみにあの干し肉は別の肉らしく安心した。


私の答えにうにゃうにゃ唸りながらピンクひよこを眺める三毛猫。


『うーむ、にゃるほど…。理由はわかるがにゃあ…それにしても贔屓が過ぎるにゃあ…』


どうやら答えが解ったようだ。

肩をすくめて呆れている姿はどこかシュールだ。


「えーと、説明お願いします」

『シナはずっと肉が食べたいて言っていたにゃ?それが答えにゃ』


わかんないと顔に出ていたのか三毛猫は詳しく話してくれた。


『精霊がシナの願いを聞き食用に適した生き物が産まれた。そう言えばわかるかにゃ?』

「食用?え…これ、食べるの?私が?」


え、普通に嫌なんだけど。こんな酷い色の生き物を食べるのは嫌だ!


言外の訴えが通じたのか三毛猫が目をそらしてピンクひよこを眺め始めた。

その目はどこかひよこに同情的だ。

何故だ解せん。


『あのにゃあ、こやつ…ひよこはシナの糧と成るべく産まれたんだにゃ。精霊が食肉としての身体を、シナが食肉としての意識を刷り込んだ。そんにゃ存在に今更食べたくないって言うのは酷な話ってもんにゃ』


ひよこは話の内容が解るのか下を向いて震えている。悲壮感が半端ない感じだがムリなものはムリ。

だいたい食肉としての意識を刷り込むって言いがかりにも程があるだろ。


「ちょっとまって!精霊さんが動いて産まれたってのは解りたくないけど解った。でも私が刷り込んだってのは?どういうこと?」

『歌を聞かせてたにゃ?』

「歌?って…まさか…」

『そのまさかにゃ。正しい使い方が解ってよかったにゃあ』

「うそっ!え?え!?」


歌と聞いて心当たりはスマホで流していたアプリ。名前は…【胎教教育】。

その後も三毛猫に詳しく聞いた。だって音楽で食肉って意味解らないし。

ポップで食肉ならハード系なロックを聞かせたらどうなるんだろうか?

責任は取りたくないが凄く気になる。


『歌詞や曲調は関係にゃい。ただ魔力の吸収を促す効果があったみたいだにゃあ』

「それがどう刷り込みに繋がるの?」

『ほとんどの命石は吸収した魔力に耐えきれずに砕けるにゃ。そんにゃだから短期間で安全に成体ににゃれたらシナを崇め出しても仕方にゃい。

そして信仰対象の口癖が肉を喰らいたいと来たら…』

「来たら?」

『身を捧げてでも感謝を、そう想っても仕方にゃいにゃ。

まあ、魔力を食さないシナにはわからにゃいかもしれにゃいがにゃあ』


そうしめくくって三毛猫は口を閉じた。


うわー…。重い。

ドレスの件といい今回といいなんなんだ異世界、重すぎるだろう。

そういう仕様か?


ちらりとピンクひよこを見ると目が合う。

びくり。訳もなく体が震えてしまう。

ううっ…無理無理無理。

メンタル弱い現代っ子なんだからこう言うの本当に無理だ。

ううっ、現代っ子でメンタルの強い方がいたらごめんなさい。

ピンクひよこはいつの間にか仰向けになって私を見ていた。目は期待に輝いて傍らには縄と包丁が置いてある。

小屋から持ってきたであろうそれらを見ながらピンクひよこの用意周到さに目眩がして座り込む。

私にそれを使って絞めろと!?そして捌けと!?

そして一言。


「いや無理だから」


少しの沈黙のあとにピンクひよこが悲壮な声をあげて泣き崩れた。

なんだこいつ器用だな。

当たりまえだろう。魚を捌くのとはわけが違うんだよわけが。

というかお前ひよこだろう鶏よんでこい。食用は鶏だろ。

呆れて眺めているとなにかが私の横をすり抜けた。


『肉ー!!』


その叫び声と共にピンクひよこに飛びかかるぼろ雑巾。いいぞもっとやれ!私の代わりに美味しく食べてあげてくださいお願いします。

がんばれー。



『ぎゃん!』



ところが願いむなしくぼろ雑巾はピンクひよこの逞しい脚に蹴りあげられぶっ飛んだ。

なんだあのひよこ。恐ろしい。

蹴られたぼろ雑巾もとい末っ子くんは木にぶち当たったが割りと元気そうだ。

まだやる気なのかうなり声をあげながらピンクひよこと対峙している。


「ねぇ、あのひよこって食肉になりたいんじゃなかったっけ?」

『そうだにゃ、なにか問題が?』


あるでしょう。問題しか見えない。



「いや、食肉なら末っ子くんが食べれば…」


『ふむ、やつをあんな身体にしといてそれとは…シナは罪な女にゃ。

まあ仕方ないと言えば仕方ない流れだがにゃあ』


「その言い方やめて!なんか可笑しな誤解がおきそうだから!!」



こっちでは主に私が、あっちではひよこと末っ子くんがぎゃあぎゃあと騒ぐ。

終止符をうったのは私のお腹の虫だった。空腹のあまり倒れそうになった私は三毛猫にバーカ!バーカ!と連呼し小屋へと逃亡したのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ