奇跡と無知と
こんにちは、昨日は猫の日でしたね~。
なので今回は猫視点です!
品川さんは後三話くらいお休みです。
にゃ?シナの奴もう寝たのか?せっかく我が思念を送ってやってるのに返事をしないとは!全く何を考えてるのやら。
思念は通常、直に聞こえるから寝てても意志は伝わる。しかしシナは魔具を使うのだ。それは精霊達の過干渉は防げるが魔具はシナが操らにゃければ思念をシナ自信に伝えることはにゃい。
こうなるとあの魔具、便利にゃんだか不便にゃんだかわからにゃいなゃぁ。
『お姉さま、何やら村がざわめいているみたいだわ。いったいどうしたのかしら?』
灰銀に黒の縦縞模様を持つ姉妹がゆったりとした口調で思念を飛ばす。我等の中でも一等美しい彼女はシナいわくアメショーというらしい。
アメショーの定義がよくわからにゃかったが我が姉妹が例えられるのだ、さぞかし其奴等も美しい種なゃのだろう。
美しいと言われた本人も満更ではにゃいみたいで口調もそれにみあった物に変える様は言葉にできぬほどの愛らしさと誇らしさを感じたものにゃ。
『お姉さま?どうなさったの?』
にゃはは、そろそろ返事をしにゃいと拗ねてしまう。
『考えごとにゃ。なに問題でも起これば…あぁ知らせに来たようだにゃ』
『あらほんとうだわ』
何やら強張った表情の男達が荷を待つ間にと用意された家を訪ねてきた。先程の交渉にいた自警団だにゃ、その顔は怒りか夕陽のせいかで僅かに赤く染まっている。
はて?まだ何もしてにゃいはずにゃんだが…。
「古猫種殿お休みの所、失礼する」
『かまわにゃい。なんぞあったかにゃ?』
「村の娘が古犬種の幼体達に襲われました。その娘が言うには古犬種達は村の周囲で此方を伺っているようです」
『ほうほう』
『あらあら』
あの脳筋共!
どうせ奴等のことにゃ、小腹が減ったからオヤツを喰らうぞ!
そんくらいにしか考えてにゃかったんだろうにゃあ…。
「単刀直入に申し上げる。貴女達は古犬種と…」
『そこまでにゃ』
とりあえず遮っておくかにゃ。余り五月蝿くされたら間違って姉妹達が食べてしまうかもしれにゃい。
シナの所から丸一日移動したものだから他の姉妹達はいま休んでいるのだ。どんなに温厚な生き物だとて身体を休めている時に五月蝿くされてはイラつくものだからにゃ~。
にゃはは、命拾いしたにゃ人間よ!優しき我にひれ伏し感謝せよ!!
共謀して村を襲う気か否か、否ならば古犬種共を追い返せ。
こやつの言いたいことは大体こんにゃ感じだろう。しかし言うことが詰まらなすぎて聞く気がおきにゃいのも仕方のにゃい話。
『お姉さま、わたくし姉妹達を起こして来ましょうか?』
『大丈夫にゃ。それより荷を見て来てくれるかにゃ?』
わかりましたわ。そう言って姿を消す姉妹はやはり美しく我も負けてはいられにゃいな。帰ったらすぐに毛繕いをせねば。
おっと、その前に人間達の不安の種を取り除いてやるとするかにゃ~。
『あぁ、其奴らなら我が友の使いにゃ』
「なぜだ!?貴女達は仲が…」
『状況は常に変化してるってことにゃ。我等の仲は大して変わらずとも間に入る者が出来ただけのことにゃ』
「間に…」
『驚いているところ悪いんだがにゃ我からも質問にゃ。他ににゃにが起こった?』
「…奇跡が、精霊の奇跡が起こったのです」
奇跡にゃあ。しかも頭に精霊のってつく時点でシナしか浮かばにゃいんだが…。
「…病を患っていた村の少女数名が一瞬で完治しました」
『それはめでたい!しかしそれならば何故にお前さんは憤ってるんだにゃ?』
「それは…「カブリスさん!」
…話を遮られるのって思った以上にイラつくものだにゃぁ。シナといいこの人間の娘といい最近の若い者は貴いこの身をもっと敬い貴いかしずくべきにゃ!
「リーラ!!!何故来た!!」
声を荒らげ現れた娘の名を呼ぶカブリスとやらの声には焦り、動揺、怒りが混じっている。うーん当たり前の感情過ぎてつまらにゃい。
それに先程の憤りの感情の方が気ににゃる。
「だ、だってだって村に古犬種が!本当なの!ここは危ないの!私追いかけられたんだから!!」
娘が思いっきり我を無視して訴えている。ふむ、娘の名はリーラか。
「っ、知っている!古犬種なら大丈夫だ、こちらの古猫種殿達の…」
「きゃぁ!?どうしてこんなところに古猫種がいるのよ!?」
「リーラ!!」
「だってだって早く逃げないとみんな食べられちゃうんだからぁ!!」
それにしてもこの娘は喧しくていけなゃい。いっそのこと…
『否。シナの怒りに触れるぞ』
『随分にゃ口をきくものだにゃあ?消炭色の。
我等が交渉中に腹拵えしようとした連中に言われたくないにゃ』
『否。其の雌が甘露を』
『ほう、甘露とにゃ?』
にゃるほどにゃるほど。状況が読めてきたにゃあ。たしか甘露の群生地は…
『是。兜と針の縄張りを侵した』
にゃ、にゃんと両方!?
こ、この娘いったいにゃに考えてるんだにゃ!?
甘露とは樹液や蜜が周囲の魔力によって結晶化したもので魔力媒体
としても優秀。で、見た目は透き通っていていかにも人間が好みそうな代物にゃ。もちろん食べてもよし、まぁもともとは蜜だしにゃ。罪深き山にはわりとよくあるんだが問題は其処にいるやつらにゃんだが…。
兜は甲虫の一種で針は蜂の総称。
山の中では弱い方にゃんだが数が多いから基本だれも相手にしにゃい。
それをこの娘は一気に二種も敵に回すとは…。いやはや無知っておそろしいのにゃ。
まぁ我等には関係にゃいことだし、ここはさっさと村を離れて報酬の【とっておき】をうけとるとするかにゃ。
「リーラ!!何てことをしたんだ!!」
あぁ、隠してもにゃかったからさっきの古犬種との思念を聞いてたのか。兜と針は持ち出した甘露をすべて返せば大人しく帰ると教えてやるべきか否か、どっちの方が面白いかにゃ~。
【とっておき】も手に入るし興味深い事態も観察できるとはお使いもなかなか侮れにゃいものだ。
次回も引き受けよう、そう考えている時に聞こえてきたのは村娘の愉快な言葉だった。
「聞いてカブリスさん!きっと大丈夫よ。私、精霊の加護をもらったの!」
リーラと呼ばれる娘は輝かんばかりの笑顔でそうは言い切っていた。
ちなみに消炭くんから三毛さんへの思念は村の外から届きました。イメージ的にはスピーカーホンでのおしゃべりです。




