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第六話

 激闘が続く戦場。マルセラとガルマが『灰の灯 -アッシュ・ランタン-』の足止めに翻弄ほんろうされているその隙を突き、数機の赤い魔導甲冑マナ・アーマーが防衛線を強行突破した。背負った魔導砲マナ・キャノンが鈍い光を放ち、ガルド帝国の拠点へと照準を固定する。

 直後、空気を震わせる轟音ごうおんと共に、光の奔流ほんりゅうが拠点の外壁を粉砕した。

「なっ……!? あいつら、最初からこれを狙っていやがったのか!!」

 マルセラが砲撃隊を阻止しようと機体を翻すが、レオンがそれを逃すはずもない。鋭い斬撃が彼女の進路を塞ぎ、同時にガルマもカイルの猛攻によって釘付けにされていた。

「くそっ……ルナ! 遊んでないで拠点を守りな!!」

 魔導通信機マナ・リンクにマルセラの怒声が響き渡る。だが、返ってきたのは酷く冷淡な声だった。

『無理。……あの子の相手は、私の役目だから』

 ルナティックは、翼を持たないアリアに合わせるかのように、ノクティスを地上に留めていた。魔導素マナ残滓ざんしが灰のように降り積もる大地で、二機は火花を散らし、静かに刃を交え続ける。

『僕も動けないよ……! 少しでも油断すれば、また頭をふっとばされる!』

 アーヴァインとの極限の狙撃戦を強いられているリュカが、悲鳴に近い声を上げる。

「それなら、あいつらはどうした! アンドリューとノアは何してやがる!!」

 ガルマがカイルの重い一撃を盾で受け止め、歯噛はがみしながら叫んだ。

『俺らだって手一杯だ! こいつら、強すぎる……!』

『俺が防戦一方で終わるなんて、あり得ないでしょ……っ!』

 ノアがクライヴの剣を必死に受け流し、アンドリューがサーシャの鋼拳こうけんに押し返される。帝国の誇る「精鋭」たちが、レジスタンスの「亡霊」たちを前に、かつてない敗北の予感に震えていた。

「このままじゃマズい……拠点が、崩れる……!!」

 マルセラの焦燥しょうそう。その言葉を裏付けるように、魔導砲マナ・キャノン斉射せいしゃが次々と兵器庫を直撃した。調整中の機体や武器が爆発炎上し、拠点の機能が内側から崩壊していく。

 そんな破滅の足音の中でも、ルナティックだけは自分のペースを崩さず、アリアとの間合を測っていた。

「ねぇ……友達って、何? 仲間って、何? ずっと考えてみたけれど、私には何も分からなかった」

 ルナティックは寂しげに呟く。だが、周波数の違うその言葉が、アリアに届くことはない。

「あの五人が、私の『仲間』だということは理解している。……でも、たぶん君の言う仲間とは、違うのだと思う」

 アリアの魔導剣を盾で受け止め、ルナティックは独り、思考の海に沈む。

 彼女にとって、他者のサポートなど必要なかった。ノクティスがあれば、自分一人で完結できる。だからこそ、あの五人は「同じ戦場にいるだけの他人」に過ぎないのだ。

 崩れゆく拠点の火柱を背に、ルナティックはアリアとの鍔迫つばぜいを楽しみながら、答えのない問いを繰り返し、噛み締めていた。

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