華奢なお嬢様 領主9歳お客様2
すっかりリリーが気に入った二人は、結局イーザとアリーと呼ぶことを約束させるは、次に遊びに行く約束を取り付けるは、帰る頃にはナイルもレオンもゲッソリしていた。
「「リリー今度はゆっくりくる(わ)」」
「うん、イーザ、アリーまた遊びに来てね!」
見送りに手を振っているリリーを振り返りながら帰っていく元国王陛下夫妻。
馬車に乗り込み
「可愛かったな。」
「とても優しいお嬢さんでしたわね。侯爵家が愛情いっぱいに甘やかしてるけどそれを驕るでもなく皆に優しい子でしたわ。」
「そうだな。これからが楽しみな子だな。」
「ええ、見守って行きましょう!」
「お前はただ愛でたいだけだろう。」
「まぁあなたこそ!」
次に会うのが待ち遠しい夫妻であった。がそれをよく思っていないのがナイルとレオンだった。
執務室で今後の対策を講じている。海千山千のあの老夫婦を愛称で呼び捨てにしていいなど聞いたことがない。相当お気に召したのだろう。
「これからどうしますか?お祖父様?」
「あの方達はリリーのことは洩らさない。ただ愛でたいのだ。駆け引きなく純粋に楽しみたいだけだろう。」
「リリーには身分は知らせずにいくのでしょう。あの子は深読みすることはないからお祖父様の友達として分け隔てなく接していくでしょう、ますます天使に夢中になってしまいますよ!」
「ああ、レオンは本当にリリーにだけは狭量だのう。老いぼれの楽しみなんだよ。許してやってくれ。」
「お祖父様!!」
コンコン!コンコン!ノックの音が聞こえる。
「入れ。」
「お祖父様、お兄様、お茶をもらってきたから飲みましょう!」
ぎゅう!
リリーを抱き寄せるレオン。取られまいと僕の天使だと。
リリーはいつものようにぎゅうっと背中に手を回し抱きつく。
「どうしたの?お兄様?そんなにお茶飲みたかったの?わたしいいタイミングだったのね!」
えっへんと胸を張るリリーに苦笑し、
「レオン、大丈夫だ!お前の妹はどこにも連れてきやしないよ。」
ナイルはそう言うとレオンごと抱きしめた。
落ち着いたレオンはまだ書類も片付けていなかったが椅子に座り、リリーを膝に乗せてお茶を飲んでいた。すると
「あれっここの計算間違っているわ。これだと税率が13%になってしまうもの。」
「本当かい?」
確かめてみる。本当だ!11%のはずが13%と多くなってしまっている。
「よく気づいたね!リリー!」
頭を撫で撫でするレオンに嬉しそうにもっとしてと笑う。
「どういうことだ。レオン。」
お祖父様の低い声が聞こえてきてビクッとするリリーだったが、
「お祖父様。僕の妹は天使で天才なんですよ。とくに算術が得意で語学も2ヵ国語はしゃべれます。」
「それがお前達家族が隠して置きたかった最大の理由だな。容姿も相まってお前が不安になるわけだ!」
「外に出したら連れ去られるのが火をみるより明らかです。」
「そうだな。これはあの老夫婦に黙っておくとしよう。」




