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【改題】嶋左近とカケルの心身転生シンギュラリティ!  作者: 星川亮司
一章 疾風! 西上作戦開始!
49/412

49受験勉強(現代左近のターン)チェック済み

 奈良の街で、月代と大学生が連れ添って歩くのを、偶然、見かけた左近とカケルの幼馴染みの松倉右近は、月代の浮気を疑い二人の後をつけた。


 ふたを開けてみれば、大学生は月代が進学の相談をした従兄の北庵ほくあん)春陽(しゅんようだった。


 すべては、左近と右近の思い過ごしだったのだ。




 ――教室。


 1限目、国語。

 2限目、数学1。

 3限目、数学A。

 4限目、生物。

 お昼休みは、気分転換にグランドでサッカー。

 5限目、化学。

 6限目、コミュニケーション英語1

 7限目、コミュニケーション英語2


 左近は、朝から頭が重い。どういうわけか戦国時代の関ケ原から、受験を控えた高校三年生、時生カケルと魂が入れ替わってしまった。


 戦場で命のやり取りをしていたおとこが勉学に励んでいる。と、言って、も小中の義務教育が済んでいないから国語以外は、さっぱりなのだが……。


「おい、時生! まじめに聞いてるのか? 授業中居眠りしていては東京の医科大学にはとてもじゃないが行けないぞ」


 担任で生物の筒井先生が心配して発破をかける。




 先日、学校で進路相談があった。


 その時、左近は、担任の筒井に、Jリーガーになるか、東京の医学部へ進むか決めかねていると相談した。


 学年レベルで中の中、上から数えても、下から数えてもど真ん中に位置するカケルの成績に、担任の筒井は、


「カケル、お前のヤル気は買うけれど、その進路はどちらも厳しいんじゃないか?」


 と、自重を促すアドバイスをした。


 左近の目指す東京の医学部は偏差値が55・0~67・5だ。カケルの偏差値が丁度、全国平均の50だから、偏差値を最低でも5・5ポイントないし17ポイントは上げておきたいところだ。


 偏差値を上げる方法は、生まれてからこの方、戦国で命のやり取り、人生の駆け引きだけを学んできた左近にはない。まして小中の義務教育すら受けていない。


 筒井が言うには偏差値を上げる方法は簡単に言って、しまえば勉強することだ。左近はその勉強方法の基礎すら出来ていない。ついこないだ見よう見まねで黒板の板書をノートに取ることを覚えたところだ。


 戦国からやってきてしばらくの左近は、授業を、戦国の命のやり取り同様に、目を皿にして、担当教師の言葉と板書を聞き逃すまい、見逃すまいと、すべて記憶に心血を注いでいたぐらいだ。

(現代人というものは、毎日、このような血の滲むような過酷な修練の積み重ねで繁栄を築いているのだな)

 と、感心していたぐらいだ。



 最近の左近は、放課後に月代と図書館へ行き一緒に勉強している。と、言って、も学力の基礎すら出来ていない左近が、小学校からはじめて中学校の義務教育から教わり、こないだようやく義務教育が終わり高校レベルへ達したところだ。


 はじめは、小学校の九九からはじめる左近に、月代もあきれていたが、日進月歩。左近の呑み込みの早さと成長速度に、月代も見直した。



 左近は、放課後の図書館へ向かう前に、担任の筒井に呼び止められた。


「カケル、お前の成績じゃ東京の医学部への推薦は出来ないな。一般入試になるけど受けるのか?」


 と、問われた。


 左近は、その問いかけの意味がよくわからなかった。


 そこで、月代に筒井の言った言葉の意味を尋ねた。


「医学部は難しい挑戦だけど、達成すればそれだけの価値があるわ。協力するから頑張りましょう!」


 と、月代は左近を励ましただけで医学部の受験がどれほど難関であるかは言わなかった。

(ワシは戦人いくさにんゆへ受験とやらはみなまで分らぬが、すべてを話して気落ちさせないように月代は励ましたのであろうよ……)



「お兄ちゃん最近どうしたの?」


 左近は、最近、家に帰っても机に向かっている。


 月代が自分という人間を買ってくれて励まし支えてくれるのが嬉しいのもある。しかし、最近は、基礎から勉強をしておもしろくなってきたのもある。


 左近が、おもしろいと思ったのは化学である。戦国でも織田信長の登場で、戦の主要武器が騎馬、弓から種子島、鉄砲へ変わった。


 戦国を生きた左近は種子島へ火薬を詰めて、火縄へ火をつけぶっ放す行為を、ただ、そのようなものと受け止めていたが、化学の勉強の成果で、ぶっ放す行為は、火薬が火によって化学変化が起こりそこに爆発的なエネルギーが発生していることがわかった。


 勉強は理解わかるとおもしろい。


 左近は、そう思うようになった。しかし、教科書と参考書を相手の自習もそろそろ限界のような気がする。


 戦国の武芸の鍛錬でもそうだが、自己おのれ一人の修練には限界がある。いくら天才肌の左近であっても同じである。限界を突破するには良い先達の導きがいる。いわゆる師匠と呼べる存在だ。


 それを、カケルの母、清美に話したら、すぐさま、頭に日の丸”必勝”のハチマキまいて、胸のあたりで握り拳を作って、


「カケル、わたしは必死で応援してるわ!」


 と、いつもの金は出せないが応援はするスタンスだ。

(しかし、このまま自習をつづけても限界が近いような気がする。勉強の出来る良い師匠はいないものか……)



 そんなことを考えながら、受験勉強の合間の休憩に、ぶらり歩いて近くのコンビニへ行く。


 現代へ来てからのお気に入りのブラックのコーヒーと甘いチョコレートで表面をおおい中に溢れんばかりのクリームを忍ばせた菓子パンを買った。


 レジで長財布から1,000円札を取り出し支払おうとすると、1,000円札に混じって、名刺が顔を覗かせている。


 ”北庵春陽”


 電話番号と、メールアドレス、それに、YouTubeのURLが記されていた。それに、名刺の裏に、


「勉強で困ることがあれば連絡ください。力になりますー春陽ー」


 と、手書きで記されていた。


「これだーーーーー!!」




 つづく

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