第83話 俺は運命力に賭けるぜ!
「私は手札から4マナで『火狼フラウルフ』を召喚ですー」
コリート
マナ5→4
手札3→2
『火狼フラウルフ』
コスト4/火属性/アタック3/ライフ4
【効果】
『先制』
(ユニットで来たか)
どうやらコリートさんは盤面を取る方向に舵を切ったらしい。
元から状況としてはこっちが厳しいままなので悪くない選択だとは思う。
「あとカードを1枚セットしまーす」
コリート
手札2→1
スペルゾーン2→3
「そして、アタックフェイズですー。まずは『火狼フラウルフ』ちゃんで『スターヴ・ゴースト』さんに攻撃でーす」
『火狼フラウルフ』
アタック3/ライフ4→アタック3/ライフ1
『スターヴ・ゴースト』
アタック3/ライフ3→アタック3/ライフ0
「ぐっ」
スタッツデカすぎんだろあの狼。
そのせいで俺の『スターヴ・ゴースト』が一方的に討ち取られる。
「さらにー、『宵闇のゾンビ』君でクロハルさんに攻撃ですー」
「受けます」
というか受ける以外の選択肢がないです、はい。
『宵闇のゾンビ』
アタック3
クロハル
ライフ10→7
「最後に『ストーンブロッカー』君でクロハルさんに攻撃しまーす」
「くっ……その前にデッキの下を見てもいいですか?」
「どうぞー」
お許しが出たのでパッとデッキを持ち上げる。
その下にあったのは――『死皇帝の近衛兵』。
(ダメかぁ)
『カースド・ウォーリアー』があればダメージを減らしてワンチャンぐらいは作れたんだけどなぁ。
ないものはしょうがない、か。
『ストーンブロッカー』
アタック2
クロハル
ライフ7→5
「普通にやべぇ……」
「クロハルさんのデッキは結構ライフを使うのでーだいぶ厳しいんじゃないですかー?」
「おっしゃる通りです」
残りのライフはたったの5。
しかも手札は一枚しかない。
対する相手の場にはガード持ちを含めたユニットと伏せがそれぞれ三枚。
次のドローフェイズで手札が二枚に増えるとしてもあまりにも心許ない。
(逆転……できるか……?)
このまま行けば俺は普通に負けてしまう。
ならば、
「私はこれでターンエンドですー」
「なら、ターンのエンドフェイズに手札から『呪いの契約』を発動!」
クロハル
手札1→0
「そのカードは」
「『呪いの契約』は5ダメージ以上受けたターンのエンドフェイズにノーコストで発動できます」
「それまた面白いカードですねー」
「でしょう?」
スッと目を細めるコリートさん。
俺は二ッと不敵に笑って見せた。
「この効果で発動した『呪いの契約』はデッキからカードを5枚ドローできます」
「へぇ……」
「その代わり、次のターンのエンド時に手札を全部捨てて、捨てた数だけ自分のライフにダメージを受けます」
「なるほど……それで『呪いの契約』ということなんですねー」
「そういうことです」
このカードを使えば次のターンが終わる時に俺の手札は全てなくなる。
さらに。
まともに使えるようなカードがなければ5点以上のダメージを俺は受けることになる。
そうすれば俺の『負け』だ。
だが仮に。
デッキが。
俺のデッキが、俺に答えてくれるなら――
(頼むぜ)
「5枚ドロー!」
クロハル
手札0→5
「そして俺のターン、ドロー!」
クロハル
マナ0→5
手札5→6
まとめて引いた六枚のカード。
それに一枚ずつ目を通した俺は、
(悪く……ない!)
――思わず笑った。
「俺は手札を1枚捨て、『死皇帝の愛犬』の効果を発動。デッキから『ダークナイト・ガメシス』を手札に加え、自分のライフに2ダメージ」
クロハル
手札6→5→6
ライフ5→3
「自分のライフにダメージを受けたことで『ダークナイト・ガメシス』の効果を発動し、手札からノーコスト召喚」
クロハル
手札6→5
『ダークナイト・ガメシス』
アタック2/ライフ2
『ガード』
「バトルゾーンに出た『ダークナイト・ガメシス』の効果発動。『ストーンブロッカー』のライフに3ダメージ」
『ストーンブロッカー』
ライフ1→0
「あららー。ガードユニットがやられちゃいましたかー」
「まだ行きますよ。俺は1マナを使ってスペル『不等価交換』を発動」
クロハル
マナ5→4
手札5→4
「効果で1枚ドローした後に手札を2枚捨てます」
クロハル
手札4→5→3
「さらに! 俺は手札から1コススペル『欲望の対価』を発動」
クロハル
マナ4→3
手札3→2
「効果でカードを1枚ドローし、手札を1枚捨てた後に自分のライフに2ダメージ」
クロハル
手札2→3→2
ライフ3→1
ここまで一息。
ふっと逸る気持ちを落ち着かせて、残る二枚の手札に目を向ける。
(……まさか本当に答えてくれるとはな)
今回のバトルはレンタルデッキの試運転というそこまで大それたバトルじゃない。
とはいえ。
土壇場でここまで急に引きが良くなると――まるでアニメの主人公みたいだ、なんて。
(いやいや。何考えてんだ俺)
つい変なことを考えてしまった。
余計な妄想は頭を振って追い出す。
俺は気を取り直して手札のカードに指を掛けた。
「俺は2マナを使って手札から『闇少女ダキア』を召喚」
クロハル
マナ3→1
手札2→1
『闇少女ダキア』
コスト2/闇属性/アタック1/ライフ1
【効果】
①このユニットがバトルゾーンに出た時、このユニットを破壊して発動できる。相手、または、相手のバトルゾーンにいるユニット1体を選んで2ダメージ与える。
「召喚した『闇少女ダキア』を破壊して効果発動。『火狼フラウルフ』に2ダメージ」
『火狼フラウルフ』
ライフ1→0
「あらー、そっちですかー?」
「ええ、どちらでも良かったので」
「へぇ……」
効果が発動したことで墓地に『闇少女ダキア』が送られる。
――これで準備が完全に整った。
「このユニットは自分と相手のライフの差だけ召喚コストを減らすことができる! 俺と相手のライフの差は19! よって俺は1マナを使い手札から『死神デスピート』を召喚!」
クロハル
マナ1→0
手札1→0
『死神デスピート』
コスト20/闇属性/アタック10/ライフ10
【効果】
①このユニットは自分のライフが相手のライフより少なければその差と同じ数だけ召喚コストを-して召喚できる。
②このユニットがバトルゾーンに出た時、自分のライフが5以下であれば発動できる。自分のライフと同じになるように相手のライフにダメージを与える。
③1ターンに1度だけ発動できる。自分のドロップゾーンからコスト6以下の闇属性ユニット1体を選んでノーコスト召喚する。
「召喚した『死神デスピート』の効果発動! 俺のライフが5以下なら、自分と相手のライフが同じになるようにダメージを与えます」
「なんと」
死神デスピートのトンデモ効果に、それまでにこやかに細めていたコリートさんの目が開く。
コリート
ライフ20→1
「やってくれましたねー……」
「そういう効果なんでね」
でもその代わり。
発動するためにはギリギリまで自分のライフを削らなければならないし、この効果で相手のライフを0にはできない。
だからこその強力な効果でもある。
コリートさんには悪いけれども甘んじて受けてもらう。
しかし、コリートさんとて強かなマスター。
ただでは転んでくれなくて。
「っ、でしたらー、1マナでカウンタースペル『スプラッシュトラップ』を発動ですー」
コリート
マナ1→0
スペルゾーン3→2
「『スプラッシュトラップ』の効果で私とクロハルさんのユニットを1体ずつ――私の『宵闇のゾンビ』さんとクロハルさんの『死神デスピート』さんを手札に戻しちゃいまーす」
「なるほど」
クロハル
手札0→1
コリート
手札1→2
コリートさんが放ったカウンタースペルはユニットを手札に戻すカード。
『死神デスピート』の効果テキストを読んですらいないのに、いきなり除去スペルを打ってくるとは。
それもマスターとしての勘ってヤツなんだろうか。
(大した人だな本当に)
『死神デスピート』にカードの効果を受けない、みたいな殊勝な効果はない。
俺は相手の手札に帰っていく『宵闇のゾンビ』を見送りながら『死神デスピート』を回収する。
だがしかし。
「俺はドロップゾーンから『死皇帝の家臣』の効果を発動。このユニットを裏向きにすることでこのターンだけ俺は闇属性ユニット1体の召喚コストを-2できます」
「コスト軽減、ですかー……ということは」
そう。
「ええ。俺は『死皇帝の家臣』と『死神デスピート』自身の効果で『死神デスピート』をノーコスト召喚」
クロハル
手札1→0
『死神デスピート』
アタック10/ライフ10
「……また出てきちゃいましたかー」
もうすでに。
「そして、『死神デスピート』の効果発動。自分のドロップゾーンからコスト6以下の闇属性ユニットを1体――『闇少女ダキア』をノーコスト召喚」
『闇少女ダキア』
アタック1/ライフ1
「あらららー。その子が出てきたということは」
「そういうことです。バトルゾーンに出た『闇少女ダキア』を破壊して効果発動。コリートさんに2ダメージ与えます」
このバトルは。
「私の負けですねー」
――詰みだ。
コリート
ライフ1→0
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