夜を憂い、朝を仰ぐ
「力なら貸すぜ、惜しみなく!」
今までと、違う、この異形化は、まるで俺の一部のように…動く。なんの気兼ねもしない、やらしてもらうぞ、ゼルス!
「"我絶の四腕"!!諦めて、たまるか。俺には、成すべきことがある、ここで、終われないんだ!帰らしてもらうぞ…お前ら、まだやるか、俺にはできた、新しい希望が!」
ああ、クソ。なんだこの感覚…なにか、なにか違和感がある、待て、考えるな、妙なことは。確実に喰らえている、絶、過、暴で一体を…後一本、何かもわからない腕で、腐を喰らえ。
「ふザけルナ、何が希望だ、我らから希望を奪ったソウルイーターの分際で!我らを四堕物と陥れやがって…もう、どうでもいい、貴様も恨むなら、自らの不運を恨め!"バッドレディエード"!!」
「無駄だってわかんねえかなあ!俺は、お前なんかに負けられない!止まれないんだよ、俺たちは!何を言ってるかなんて知るか、俺には関係ない!俺には俺のすべきことがある、いや、それしかない!
俺一人の力じゃない…だから、ここで止まれない!和解は無理なのか、なあ!互いが擦り減りあって何になる、もう…もうやめよう!こんなこと、する必要は」
「それで終われるならとうに終わっている、甘いんだよ愚図が!死してなお、やる必要がある!同胞のため、過去の犠牲者のため!我ら四管使を、ここまで愚弄して…!!」
なんの話かさっぱりだ…ゼルス、お前何か呼ばれてるんじゃあないか、おい、何があった?
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……やるしかないんだ、文也、お前…少し不思議に感じた事は、ないか?
「どういう事だ、それにここはどこだ、さっきの場所は俺の精神世界じゃ」
心して聞いてくれ…これが、俺の全てだと。ついに誰かに喋る時がきたんだと…
「俺は、初代救世主の一人、放條 奏文。今を生きる転移者で…そして、全てを放棄した…自分になりたくないと思っていた、哀れな人間なんだ。そして、クソッタレに操られ続けた、馬鹿みたいな人間だ。
チェタスに言われたよ、あいつらは四堕物だって。チェタスに言われたよ、魔王軍はこの世界の敵だって。チェタスに言われたよ、神はこの世界の癌だって。でも誰が一番癌だったんだろうな、俺だよ…ああ、クソ。
時間は、あまり長くない、だから要点だけ話さしてくれ。お前は間違っても、俺みたいになるな、世界を救うためには全てに犠牲を問え。お前は…唯一無二の力を持っている。そして…前も言ったか……これは…もう、わからないな、何も………
お前には、俺の全てを……いや、俺たちの全てを背負ってくれ、その枷は、俺たちが壊す。」
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ああ、わかった、お前は俺に、全てを丸投げするわけだな?ああ、任せろゼルス。お前が為せなかった全てを、俺が為してやるよ。いや違うな、お前たちが為せなかった全てを成してやる、後で全て、ちゃんと話してもらうぞ、ゼルス。
「何を…何をする気だ、竜にはもう戻ってもらっている、貴様は我だけを喰らわなかったは……っ!!?何故、っ…許さんぞ、貴様……!!」
…許される気なんて微塵も持ち合わせていない、それは、この力を手にした時、使い方を知った時、いいやもっと後だ。だがもう、全てが遅すぎた!俺はやるしかないところまで来たんだ、もう楽な道は進めない…だから、だから!
「俺は、覚悟を決めた、お前らを喰らう覚悟を!過去のソウルイーターができない事を、俺はやる!俺は逃げない、もう、退かない!それは俺の意思じゃやい、数多の命の上に立つ者の、義務だ!黙って喰われろおおおぉぉ!!!!!」
熱い、怨念の熱さ…執念、私怨、怨念、反吐が出そうな…反吐が出そうなほどの怒り…人間に負ける怒り、恨み、全て、全て喰ってやる…お前がいなきゃダメなんだ、俺には…俺たちには、お前が必要なんだ、だから…喰われろ、俺に!
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……なんだ、お前ら二人で一人じゃあないか…はは、俺は……お前らを喰ったんだ、約束する、'平和'そのものを……くれてやる、見てろよお前ら、目を逸らすなよお前ら。俺はスーパーヒーローなんかじゃない、神でも管理者でもない……ただの、ただの…
「救済を望む人類だ、だが……やってやるよ、それが、数多の命を喰らった者の、努めだ。違うか…ゼルス、そして……お前ら。」
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捕食者の罪は重い、俺はそれを背負えなかった…その覚悟がなかった。なのに俺は、特別であろうとした…全人類の視線を浴びたい、知ってほしい…生きてるんだと認知されたかった…努力など意味がないと嘆いて、特別になった瞬間…覚悟もなく、全てを憂い、逃げた…全てから………お前なら、なにか……何か、してくれる筈だ……全て、頼む、俺たちの……俺たちの分を……




