甦りし魂
「おーいお前ら、大丈夫かー?」
「おいおい待ってくれよ雷基、まだ寝てるかもしれないだろ静かに」
「大丈夫です…私は、ですが…。」
何があった、俺がいた時より人が増えてる。…翔也がいない!?
「レジリアちゃん、翔也ってどこに…まさか、凛が!?」
「神がなんだこうだ言ってて…私たち2人で戦ってたんですが急になにかが取り憑いたように強くなって…そして翔也さんが…私の命を助ける為だって………っ!!!」
…冗談じゃねぇ、だがわかったことがある。あいつは勇者なんかじゃない、きっと俺や翔也みたいな異質のものだ、そしてもう一つ、凛自体にこんなことをする意思はない…多分。だが頭で理解しようとしても怒りを抑えるのと話は別だ、正直なところ抑えるのがしんどい。
「なぁレジリアちゃん、ゆっくりで良い、わかってることを話してくれ。俺に話すのが嫌なら文也にでも良い、その時は俺は外に出るから。」
「いえ、これは…お二人に、そして雷基さん、以前の件もあることです、私に協力したくないという思いもあると思います、それでも!」
「落ち着くんだとりあえず、な、レジリアちゃん。それに以前の俺と一緒にしてもらっちゃあこまるな、俺はお前の主人…文也のおかげで目が覚めた、手伝うのは当然の事だ。だからお詫びをするのはこっちだ、あんな事をしておきながらこんな事を言える立場じゃ無いと思うんだが手伝わしてくれ、レジリア。」
…雷基、お前は本当に変わったのか。目が覚めた、か。だとすると本当のhappy endの為には全員を戻して天災を全部終わらして魔王とかいうのを倒して…どうなんだ、あの管理者は倒す対象なのか?もしそうだとすると何人いるかもわからない、わかることは複数人いるということだけ、これは厄介な事になりそうだ。
「…私、気がついたら岩にもたれかかっていたんです、翔也さんと一緒に。とりあえず起こした方がいいと思って起こしたんですけどその時上から降ってきたんです…人が。」
「それが凛か?ここ…山だぞ、上からって貫いてきたのか、勝てるのか…俺はあいつに。そんなゴリラの末裔みたいな女に…。」
「その衝撃で翔也さんが起きたんですが起きるや否や殺すつもりで戦えって言われたのでなにか異様な気配がしたので同意して殺すつもりで戦ったんですが…」
「この惨状…か、よく頑張ったレジリアちゃん。後は俺たちに」
「私も行きます、翔也さんは私のために身を挺して…今度は私の番なんです、だから…だから私は…!ですが…消えられたんです、わからないんです、どこに逃げたのか!」
「大丈夫だ、ジャミングなら剥がしておいたがここからは出ていっていない、ブラフだ。そして俺たちは入り口方面から来た、だから残っているのは…この下。レジリア、まだ武器を具現化できる程の力は残ってるか?」
「…大」
「わかった、霧雨を持っとけ。俺は大丈夫だ、ついさっき喰ってきたからな…それじゃあやるぞ、"絶・波動砲"。」
…やっぱりな、わざわざ上からきて帰るのであれば消えるというより風が来るはず、それを言わないのであればないから言わないと仮定できる…とは言ったものの決め打ちだから外れる可能性も十分あったわけだ。さて、この板をずらすと…と、よし、階段か、原始的だな。
「大丈夫か二人とも、今から翔也の救出の為にここから下に進むがなにか作戦や違和感はあるか?」
「ないです、早く行きましょう、必ず…この手で!」
「落ち着けってレジリアちゃん、な?文也は相当落ち着いてるんだ、君がそう荒立ってしまったら考えることも増えて余計に負荷が掛かる、落ち着こう、な?」
…雷基、お前実は中々気が利く良い人なんじゃないのか?まぁたしかに最初もそんな感じだったな、だから使われたんだろう、駒に。
「それじゃあ行こうか…案外明かりがついてるものだな、俺が先頭歩くよ。」
狭いな、幅一人分、なんでこんな道がここに…明かりが途切れてるな。
「"ソウルライト"、青白い光で少し目に悪いかもしれないが我慢してくれ、すまないな。この先、一室になってる。臨戦態勢を取ってくれ、もしかしたらもしかするからな。」
一歩、一歩、一歩、一歩。音を殺し、息を殺し、少しずつ、少しずつ進む。この先、何がある、だが急ぐな、何があってもゆっくりだ、ゆっくり。少しずつだ、もしかしたらバレてるかもしれんがしかしそれでもやらないに越したことは無い。さて、後はここから覗くんだが…まぁこんなところにいるわけがない気がしてきた、さっさと確認して次の部屋に…いや、いる。ど真ん中に堂々と十字架に掛けてやがる…十字架、なにかあったような気がする、十字架…十字架…なんかの宗教…いや俺無宗教とはいえ中学高校と習ったぞ歴史で、全部忘れるか?普通、これもこの世界に来るにあたってとられたのか…いやそんなことはどうでもいい、下にはなにかが書かれている…が見えないな。さて、落ち着け。まず人数確認と設備、あとできれば凛がいるか否かを確認できれば
「もう、待てません!」
「んなっ!?ちょ待てレジリア!くそっ!メラクナイ、ここら一帯に電気の塊を出して明るくするぞ!"電明塊"!!」
あいつら、俺はまだいかないからな。今は行くだけ無駄だ、あの二人に荒らしてもらってあぶり出しを…いやジャミングでいくか。
「何者だ!贄に手出しはさせるな!儀式の時間に支障が出んよう早急に終わらせるぞ!」
「「「「はっ!」」」」
「集団術式展開、右翼は守り、左翼は攻め、胴は禁忌の術を詠唱!尾は基本は回復などのサポート、死者が出た場合は尾から補填だ!!」
「左翼、個術の連射!後翼は集団高等魔法"煉獄"の詠唱!!」
「右翼、全体で集団高等魔法"不落の城壁"の詠唱!!
「尾、全体で妨害魔法連射!種類は問わない、撃ち続けろ!」
「銅、他のことは全て同志にまかせ我らは禁忌の術詠唱に全力を注ぐぞ!!」
なんだ…この人数、これは逃げるしかない。翔也、後でまた来…!
「ああそうか、なら勇者専用の究極を見せてやる!俺の全てを込めた正真正銘最高で究極なる一発だ!世界を救う光の一撃となり、邪悪全てを焼き払え!!"究極魔法・アルテマァァァ"!!!!」
究極…魔法!?エネルギーの爆発が尋常じゃあない!いくら翔也は防壁に護られてるとはいえこれはまずい!とりあえず雷基とレジリアを持ってきて守るしかない!
「お前らこっちに来い!"ソウルテリトリーⅨ"!!絶対にここから出るんじゃねぇぞ!翔也は謎の防壁に護られてる、だがあまりにもアルテマが強かった、何があってもでるなよ、お前ら!」
いくら強くてもこれを食らったらひとたまりもないだろ、待ってろ翔也、これが止んだらそこから取ってやる…そういえばどうやってこいつはついていた?
「なぁ雷基、レジリア、翔也をそこから下ろせそうか?今俺は手が離せないからな、やってもらえるとありがたいんだが…」
「やりたいのは山々なんだが…いやすまない、やれと言われればやるんだがこれは流石に…痛みで目が覚めたらどうなる、このまま木を切って持ってかえる方が」
「どういう状態なんだ、ちょうど俺の位置からじゃどうやって掛かってるかわからなかったんだ、教えてくれ!」
「………腕、脚ともに釘付けだ。女にこんな事をするなんて凛はどうかしてる…俺が止めていれば!!」
釘付け…!?くそが!!何が逃げるだ、そんな暇ないじゃねぇか!無理矢理剥ぎ取って俺の体力を送り込…は?
「おい雷基、今お前なんて言った?翔也が女だって…?」
「いや、すまない、気のせいらしい。いやそんな事どうでも!」
「……ろ。」
翔也、起きたのか!?
「……げろ、こいつら…あっ!!…俺の事はいい、逃げろ!」
「翔也さん、そんな…血だらけで、置いていけないです、私を助けてくれました、だからその恩返しを!」
「いらん、こいつらの本当の目的は文也…お前なんだ、俺はお前を呼ぶための餌なんだ、早く逃げろ!」
なるほど、良いことを聞いた。つまり俺一人が残れば万事解決ってわけだ。
「そういうことらしい、雷基、作戦変更だ。もう…言わなくてもわかるよな。」
重い、重い一言。なによりも、重い。全てを放り出して、仲間を助ける…か。こっちにきてからこんな事しかしてないな、俺。でも狙われるのが俺だもんな、やれやれ、頼んだぜ雷基。
「…本当にいいんだな?俺ならここに帰ってくるまでに全速力なら5分とかからないが。」
「嘘つけ、お前はアルテマで全てを持っていかれた、もう何もないだろ。」
「そうだな、ならそうさしてもらう。メラクナイ、まだアルテマが残ってる内に抜け出すぞ!」
「待て、やめろ!おい、文也!お前もう自己犠牲はやめるって!」
「そうですよ、文也様!!」
わかってくれと言う気はない、だがこの状況、五体満足全員で帰還するにはこれしかない。
「安心しろ、死にはしないしこんな術も成功させない、救世主たる俺がこんなところで死ねないだろ。」
そろそろアルテマが消える頃…か、せめて半分ぐらいになってると嬉しいんだが………ははは、笑えないなぁこれは。
「被害状況右翼、負傷者数名!すでに補填完了済みです!」
「左翼同様!」
「尾、計16名の負傷者の補填完了しました!」
「胴、禁術進行に弊害なし!」
「代わりの消失を確認、我々の目的を抹殺から生捕に変更、時間1時間とする!それを越すようであれば無理矢理の起動だ!今は先程の作戦の続行だ!」
「「「「はっ!!!!」」」」
あれで16か、これは相当に面倒なことになりそうだ。なぁ、デリモ。お前との戦いは楽しかった、またやりたいよな。あの、命と世界の命運を賭けた一世一代の大勝負を!!
「地の底、果ての果て、無の中の無、悠久の悠久より、今こそ全ての呪縛を解き放ち、死という牢獄を破壊して俺の元にこい!!世界を闇に沈める魔王の右腕、デリモ・アライズ!!!」
この地響きと下から這い上がってくるような力、成功だ、こいつを世界に再び解き放つのは相当まずいが仕方ないよなぁ!!力の7割はまだあそこに閉じこもったまんまな上一部も俺が貰ってる、今なら最悪止められる事だってできるからな!さぁこい、魔王の右腕!
「うひゃあぁぁぁぁぁ!!その響き、最高!もっと、もっと言ってくださぁい!!」
また…面倒そうなやつを出してしまった。
「わかったわかった、なぁ右腕デリモ、あいつらを倒すの、手伝ってくれないか?」
「…なるほど、いいですよ。任せてください、まさか敵同士で共闘なんてねぇ。」
「敵の敵は味方というだろ、今この瞬間だけは味方として楽しもうぜ、この一瞬を!」
「それ、大賛成ですよ。それじゃあ私も寝起きなんです、加減はできませんよ、愚民。」
あぁ、面白い。想像するだけで、面白い。さぁ始めようか、すぐに死んでくれるなよ凛の手足共!!




