解けていく紐
「一体どうしたっていうんだ隼人、お前の第一印象と今のお前は全然違う。まるで今のお前は誰かに操られてるように!だからお前とは極力戦いたくはない、雷基と同じだ、誰にそんな事」
「これは僕の意思です、誰かに操られていることもない、貴方には関係ありません!時空の彼方に消え失せろ、"ディメンションアロー"!!」
…っ、名前に恥じない威力だな。避けることはできたがこの耐久を持ってるローブが削られた…、まさか…って具合だな。できればノーダメージ攻略、最悪まともに食らわなければ二発ぐらいなら…か、突っ込んだらそれはそれで適当に当てられる。最良の選択を考えろ、ミスは許されない、一触即発のことを考えると天災でくるボスよりも強いだろうな…。このまま牽制し続けて入り口から雷基が来るのを待つってのが一番の選択なんだろう…
「牽制し続けて前からの援軍待ち、と言ったところですか?それは…やらせるわけにはいかないので手は打ってあります。あの人女には弱いのでね、玲さんに行ってもらってます。ですので今ここで戦えるのは僕と貴方だけ、どうです、もう諦めてくれませんか?」
…なるほどな、初めから全部作戦通り、俺たちを掌で転がそうってわけか。そうだな、この状況、隼人が翔也とレジリアに向けて連射すれば俺は反射で2人を助けるだろう。それをする為に力をまた失う覚悟で、それでも俺に対する影響は多大なものになるだろう。こいつがまだ2人に何かをする気がないのであればその間に倒すしかないがそれもできない…つまりこの状況は'チェック'…大丈夫、問題はねぇな。殺すわけにはいかないからな、しかしそれでも手加減して戦える相手でないのも確か。やれやれ全く、ハードモードなんかじゃあない…ベリーでも済まないなこれは、impossible…丁度いい難易度だ、真正面から叩きのめす!
「そっちがその気ならやるしかない、ここまでケンカ売られて黙って我慢するほど'あっち'でも俺は優しくなかったんでな。残さず綺麗に喰らってやるよ、"暴食の呪腕"!!寝起きで調節はできんのでなあ、文字通り'綺麗に'喰い尽くしてやるよ!!二度と俺たちの前に立つなバカ野郎!」
「逃がすわけないじゃないですか!"ディメンションスレ
「何処の何奴が逃げるって、俺は何度も言ってんだろ、綺麗に喰らってやるとな!」
「っ!?"牙王の突矢"!!」
よし、予想通り普通の物理攻撃。これなら距離を詰めて腹に一発決めれる!
「一度その固い頭冷やしやがれええええぇ!!!」
入った、完璧だ。後はこのまま思いっきり吹き飛ば…せない!?一度距離を…取れない!?いやそう言うよりかは動かない!何故だ、いや待て、腕が締め付けられる…痛い、痛いって!仕方ない、腕を付け根から手先にかけて全部を異形化させて抜け出してやる
「やらせません、"ディメンションスレイ"!!」
っ!?すまない霧雨!
「"反元刀・静止"!!……なんとか止まったか、お前も武器を離せよ、持っていかれるぞ。」
「ちっ!何をしたんですか、僕の武器に!」
「お前がやろうとすることの反対をしただけだ、成功する気なんて微塵もしなかったが少し前に次元関連は使ったからな、おかげで対策はできた。しかしまぁ色々俺も取られたがな…さてこのままっていうのもなんだ、離してくれねぇか?」
これで離してくれるならレプリカを使って即刻距離を詰める、このままなら罠を喰らって脱出、どっちにしても俺の目指すゴールは変わらない、どうくるんだ、隼人。
「なるほど、こういうスキルは思ってもいなかった。…なら僕も試してみるよ、その点に関してだけは賞賛に値しますね文也さん。"ディメンションアロー"!!」
嘘だろ、まさか矢だけを出しやがった!矢が既にあるんだ、2本目を出すなんて容易じゃないはず、こいつも侮れなかったな…まぁいい、その一撃はもらおう。ただし、その後にこの罠を剥がしとる。いや間に合うか?掴めたりしないかな矢って、いやそれより腕を掴む方が早いか?移動は制限されてるが避けることならできる、やる価値ありだ!
「ここで!死んでもらいます!!」
「いや食らわなければ良いだけの話だ、悪いことは言わない、攻撃はしてこない方が」
「何をおおおおおぉ!」
やっぱりきたか、なら予定通りに避けて罠を剥がす。そして武器を止めたのも俺だ、それを解除して斬りつけてやる。
「なっ!どうやって罠を解除した!?」
「お前は俺がそこまで器用なすごい人間だと思うか?喰ったんだよ、次はもっと喰いにくいやつにするんだな。それじゃあしばらく寝てろクズが!"爆炎刀・焔"!!」
さて、少し時間をかけ過ぎた。先に奥に閉じ込めてしまった2人を連れ出して…………と、まだ起きないか…まぁいいまぁいい。よし、2人とも待っててくれ、先に雷基の所に行かないとあいつ…大丈夫なのか?
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「おい雷基、お前大丈夫だろうな!?こいつらは強い、手を抜いてたら負け」
「もう遅いよ、こいつは防戦一方だったからね、なめてるよこの世界を。」
…いや違うな、舐めてるのはお前だ。ここにくるまでに雷基が倒した人を見てきたが全員命に別状はない、俺が忘れかけた人の心を、こんな状況でも忘れてないんだ。
「少なくとも、お前よりはこの世界で、人として、ひとりの勇者として振る舞おうとしてる。お前らの下な訳ないだろうがこのクソ野郎どもがあああぁぁぁぁ!!お前らが恐るものはなんだ、俺のなんなんだ!?今となってはもう関係なんてないがなぁ!"ソウルイートパラダイス"!!お前ら全員、一匹残らず喰らってやる!!!」
「人間をさ、'匹'呼ばわりする時点であんた…もう人じゃないだろ。そんな危ないやつほっとけるわけないじゃないか、あんたにどんな正義があるのかは知らないけど私たちの方が正義なんだろうね、この世界だと。そんなわけだからさ、ここで死んでもらう。"戦神の加護・猛攻"!!"戦神の加護・守備"!!」
戦神か…あいつは強かったな、お前の意思も俺が継ぐから安心してくれ。お前の民…どんな奴だったとしても悪いようには使わない、心配なんていらないさ。
「融合剣を出せるほどの力は取れなかったがまぁ十分だ、唯刀・霧雨。魂を纏え、怨念を背負え、絶望を齎せ、思い上がりのクソ共を、今一度、"粛清"する。」
もう、絶望し飽きた。どこかで俺は器が壊れて無くなっていたらしいな、リミッターっていうのか、制御ができない。この感情の昂り。しかし問題はない、コントロールはできる。意識が飛ばないんであればあんまり変わらないからな、しかしなんとまぁ綺麗な事だろうか、負を全て受け止めた一刀っていうのは…。
「どうしてくれようか、まだ、俺と戦うという意思は変わらないのか?のであれば俺は容赦なんてものは少しもする気はない。」
「…何を言うかと思えば、魔物を倒すのは私たちの役目。逃げるわけないだろう、行くぞお前ら!」
無理矢理士気を上げている、わかっているんだ、怯えてることなんて。無理矢理戦う必要なんてどこにある、なぁ、お前ら。聞こえているだろう、ここから逃げろ、俺は別にお前らを殺したいわけでも世界を壊したいわけでもない。
「それでも来るんであれば、容赦はしない。5カウント、0になった瞬間俺は勇者気取りの阿呆から倒す。」
さて、これで逃げてくれるとありがたいんだが…一番嫌なのはざわついて終わることだな、下手に殺したくはない。…3、2、1、
「0…な?手も足も出てないじゃないか、まともに自分が戦えもしないで指揮者になるなよ。もう帰れおまえらも、ここで死ぬわけにもいかないだろ。今回は見逃してやるから、次はするなよお前ら。なぁ雷基、そろそろ起きて手伝ってくれるか?」
「はいはい、全く。人使いが荒いな…。」
「別に構わんだろ、お前の望み通り誰も殺しはしていない。しばらく目は覚まさないかもしれないがな。」
あぁそうさ、あれだけの殺気が漏れてるんだ、流石に折角わかってくれたのに戦闘は避けたいからな。さて、2人の安全を確認した後村に報告、そのあとは…またレベル上げとクエスト消化か、そうだ、なによりも…こんな団体が生まれるんだ、なにか不満があるはず、それの解消だ。やれやれ、'しばらく会ってないけど元気にしてるかな…'




