不要なる勇者
ふと気づいたのだが勇者同士はどうやらステータスを見ることができるらしい...まぁ見ることを後悔する内容だったがな。どうしてあいつらはこうレベルも低いんだ?一体何してるんだか。
「文也、推定日まで後一か月はあったよな?」
「あぁ、あるな。どうしたんだいきなり。」
「いやぁな?今なんかこの...ニマシノ島って場所が経験値増えてるらしいんだ。」
「...なんで?」
「さぁ?なんでかはまだそこの人すら知らないらしい。不思議なこともあるもんだよな、もしかしたらあいつらと鉢合わせするかもしれんがどうする?」
「行ってみたい...かもです!」
「そうか、ここからならどれぐらいの時間がかかる?」
「んー...10秒もあれば。」
...は?10秒だと?島に行くのに?何を言って
「それじゃあ行こう!ついでに海も見てみようぜ!"テレポート"!」
なるほど、これがあったか。
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「...うっ、気持ち悪い。」
「おいおい、あんだけでかい戦いしていた奴がこんなもので気持ち悪いだなんて」
「気持ち悪いものは気持ち悪いんだよ!」
約1名...レジリアだけがすごい目を輝かしていた。
「どうしたんだレジリア、お前ここが出身か?」
「ちがいますちがいます!もっと辺境の地です...。いえいえそんなことよりも!海ですよ海!水着買って〜後は〜♪」
...どうやら思い出したくないものがあったらしいな、空元気がバレバレだが...
「なぁレジリアちゃん、水着選びに行くか!レベル上げなんてそのあとで」
「駄目だ、何のためにここにきたんだ。早く行くぞ...と、何処だ、敵のいる場所。」
「全く人使いが荒いんだから...んとね...そこの地図見れば載ってるじゃん。」
ほんとだ。申し訳ない。
「まぁいいや、行こう。レジリアちゃんごめんな、後になりそうだ。」
「いえいえ、当初の目的はレベル上げですから!」
いい仲間だ...ほんとよかった。それにしてもここまでは流石の国も根をまわせないらしいな、船も使ってないから仕方ないとは思うがな。
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「今だレジリア!乱れ雪月花、完成させろ!」
「はい!"乱れ雪月花"!!...どうでした!?」
「いや、まだ雪月花だ、一刀目の雪月花はいいんだ。二刀目が頭の処理が追いついてないのか大した攻撃になってない、まぁ見てもらった方が早いかな、ちょっと痛いかもだけど我慢してね。」
「っ!...なるほど、ここをこうして〜〜」
頑張るな...かれこれ3日はこんなことをしている気がする。海はいいんだろうか、たまには羽休めに行くのもいいけどな、銀貨も最近魔物の素材を売ったり調合した薬を売っていたから多少の余裕もある、クエストも終わらしていたから余計にあるからな、ざっと金貨一枚銀貨二千四百枚...ここまで多くなると持ち歩けないからかメニュー欄に貨幣の欄ができた、必要な分だけ取り出せるとても便利な仕様だ。
「なぁ文也、結局あいつらここにいないけどどうやってレベルを上げてるのか検討つくか?俺はあいつらが不要なんじゃないかと思って仕方がない。何よりあいつら、働かんくせに俺たちより待遇いいんだぜ?それがどうもなぁ」
「まぁそうだよな、でもあいつら従順じゃないか、偽王に。使いやすいから駒として持っとくためだろ、俺たちは俺たちなりのやり方で帰るまでの最低限の協力はしてやればいいさ」
「それもそうだな、ところでおま」
「文也様!もう一度魔物を引っ張ってきてもらっていいですか?今度はできる気がするんです!」
このセリフ、何百回は聞いたな...
「今度はどれほどよくなってるかな、回数重ねるたびに上達するんだ、もうじき完成するだろ。な、文也。そんな訳だ、手伝ってきてあげな。」
「そうだな。お前もしっかりと見てあげてくれ。」
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「...よし、結構デカそうなのを釣ってきた。グレートオーガ...いい練習相手だ。弱音吐くんじゃないぞ!」
「大丈夫です、次こそは成功させてみせます!」
「よし、準備はいいな?やるぞ、レジリア!」
「はい!何も問題はありません、準備は既にできています!"魂の一刀"!」
魂の一刀は研ぎ澄まされてきた。十分実用的になってきただろう。
「まだ終わらない、"雪月花"!!そしてここから二刀目へとつなげる!我が魂よ、震えよ!鳴動せよ!我が刄となれ!"鼓動の二刀"!!」
安定化に成功している...これなら!
「任せろ、俺が注意を惹きつける!"前世由来の敵対心"!!」
...よし確実にこっちに向いた。これもソウルイーターが持ってた物だ...いろんなものを残していってくれた2人には感謝しかないな。
「二刀を使って。花を咲かせるように、雪を狂わせるように、月を堕とすように。全てを入り乱せ、全てを合わせて一撃一撃に全てを込めて出すように。"乱れ雪月花"!!」
これは...綺麗に入った、ついに完成だ、乱れ雪月花!
「...もう十分だろうレジリア、完成だ、乱れ雪月花が。」
「ですね...ようやくです。今日はもう疲れました...」
「お疲れ様、2人とも。どうだ文也、海なんて連れていったら喜ぶんじゃないか、レジリアも。」
「そうか...そういうものなのか。どうだレジリア、行きたいか?」
まぁ...たまには息抜きもいいものだよな。少し、色々ありすぎたからな。
「いいんですか!?」
「あぁ、たまにはいいだろう。俺はそういうのは大して興味はないからな、周りに敵がいないか見張るとするよ。水着は...これぐらいで足りるだろ。それじゃあ俺は先に行ってるからな、レジリアを頼んだぞ翔也。」
「あ、おい...やれやれ、まぁそういうことらしいから何か買っていこうぜ。」
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わかんねぇなぁ、元の世界にいた時も俺はこんなところきたことなかったろうに。そもそも俺は自発的にこんなところに来る意志すらなかった筈だ、まさか頼まれたとはいえ俺も一緒に行くことになるとは...な。
「あの...どう...でしょうか?」
「ん、まぁいいんじゃないか...翔也はそのままでいいのか?」
「あぁ、俺は海は嫌いなんだ。特に潮が...な。」
そういうものなのか、潮風は好きだがな。
「...そうか。なら翔也、ここにダンジョンやら天災の手掛かりがないか調べてくるからレジリアを見といてくれ。」
「おいおい、お前何のためにわざわざ海なんか」
「レジリアとお前の休息の為だ、俺には休む暇も権利もありはしない、2人の命を...いや、魂を喰ったんだ。あいつらの生きた証を作れるのは俺しかいない、意味を見出せるのも俺しかいないんだ。見たところここに兵は少ない、変装してるのかそれとも相当やばいのがあるのか...ってところだ。お前らは休んでいてくれ、どうせもう、負けはしないだろう。少なくともここにいる程度の強い魔物ぐらいなら。」
さっさと終わらせるんだ俺は、こんな腐った世界に残り続ける意味なんてない。世界を救うのが条件であれば魔王も腐った国も天災も、全て喰らってやる。俺が、この手で。
「レジリアには本当のことは言わないぞ、お前に何かあったらあいつは絶対にこれ以上ないぐらいに悲しむだろう。だからちゃんとした姿で戻ってこいよ、文也。」
「...そうだな、善処する。」
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...うん、なるほど、ただ魔力で扉を閉じてるだけ。これなら無理矢理魔力を送り込めば開く筈...うん、開いた。あとは...奥には何も無さそうだ、というよりまだ作りかけの段階で何らかの理由で続行不可になったんだろうな、何もありゃしないどころか途中で止まってる、もう戻るか。...全く、俺の思い過ごしらしいな、ここに国の息がかかってないのも面倒だからなんだろうな...
「な!?お前っ!文也じゃねぇか!ここであったが数回目!今度こそお前を叩っ斬る!何でお前がそんなにレベルが上がっていくのが早いか、その訳教えてもらうぞ!」
また...面倒なやつに、と思ったが今度は仲間といるだけか。他の勇者が...特に凛がいないならこいつは話が通じるやつだと思う、洗脳されやすいだけで話がわかるやつだと思いたい!
「なぁ雷基、お前どうして俺に対してそんなに敵対心がある。俺は何かしたか?なんなら協力は俺もいると思っている、だから情報交換も兼ねてお前とは協力関係でありたい、お前は一番話が通じそうだからな。」
これで少しでもこっちに傾くような素振りを見せたらそれで押し切ってこいつを仲間にする、無駄な戦いはしたくないんだ俺も。
「...そうか、お前っあくまでシラを切るつもりらしいな!いくつもの村を滅ぼした挙句、国王直属の戦帝率いる魔物討伐部隊を全滅させたと!故に俺はお前を許さない!最初はお前に罪を悔いる姿勢があるのなら或いはと思ったが、俺はお前を必ず許さない!他の3人も国中探し回ってる、今俺は3人に連絡をした、ここに来るのも時間の問題、さぁ、観念して永遠に罪を償いやがれ!」
罪を償え...か、そんな言葉、滅多に使うものじゃないよ。やれやれ全く、俺は無駄な戦いはしたくないんだ、あの2人に顔向けできないからなぁ...
「俺は俺の為に、不可能と思える状況までは攻撃はしない。なぁ雷基、考え直してくれ、俺はこの力に誓ってそんな事はしてはいないさ。来い、アポカリプス・レプリカ。」
戦いたくはない、それでもやらなくちゃならないなら俺はやる。
「お前は1人じゃなにもできないわけではないんだろ、来いよ、俺がやってやる。ただしあいつらに手を出してみろ、ただじゃ済まさないぞ、俺は!!」
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