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騎士×少女/隠し扉

■41 隠し扉 ■


「そもそも、遺跡なんて本当にあるのか?」


 ユートは口をへの字に曲げ、不平を述べる。


 小男が示した石柱は太く荘重な柱で、周りの長さは四人が手を広げてようやく届くほど。

 

 ダン達はその周辺を観察するが、遺跡の入り口のようなものなど発見できない。


「そもそも、『柱』に入り口なんておかしいだろ」


 戦闘は得意だが、大雑把な性格のためユートはこういった細かいコトは苦手だ。

 

 苛立ちからか柱をバンバンと強く叩く彼とは対照的に、ルンは何処から持ってきたのか虫眼鏡で柱の表面を観察しながら答えた。


「多分、こういうのは隠し扉ですよ!きっとこういう所に秘密の暗号が刻まれているんです!」


「ほぅ……隠し扉、か……」


 ユートは腕を組んで少し考えると、やがて何かを思いついたのか手をポンッと叩いた。彼の隣で調査していたダンは、何か嫌な予感がしてそちらを振り向いた。

 

「おい、ユート。バカなこと考えてんじゃないだろうな?」


「ああ?こんなモン。仕掛けごとぶっ壊しちまえば解決だろ?……『肉体活性』・『硬化』ッ!」


「おいッ!ちょっと止め……ッ!」


 ダンの制止も聞かずに、彼はその腕に魔力を込めて、石柱を思いっきりぶん殴るッ!


「砕けろオラァッ!!」


 ドゴォォンッ!!


 轟音とともに、粉塵が辺り一面に一気に広がる。ユート以外の三人は涙目になり、ごほごほと咳き込む。



「ちょっと、ユート危ない!」



 ライラは断りもなく石柱を破壊しようとしたユートを非難するが、彼はしたり顔で笑う。



「はっは!こういうモンは力ずくで解けば早……ありっ?」



 ユートは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。魔法を使った拳には、鉄の壁さえ破壊する力がある。だが、渾身の力で殴ったはずの石柱には傷一つ付いていない。


 目が点になってしまっている彼を尻目に、ダンは「なるほど」と納得したように柱を触る。「こりゃ、王都の城壁と同じ石材だな。元々硬度が高く耐久性に優れているグラナイト岩石に『硬化』と『自己修復』の魔法がかけられている。人ひとりのエネルギー量の魔法じゃかすり傷程度だろうな」


「なんたって、そんな石材がこんな所に使われているんだ?」


「さぁな。ルシスに聞きゃわかるだろ」


「そりゃいい。ついでに酒も奢らせてやろう」


「はっはっは!可哀想に、素寒貧だなアイツ!」


「……それで、結局どうやって中に入るのよ?」


 馬鹿話をする二人に、冷ややかな視線を向け、ライラが呟いた。


 さてどうしたものか。四人は再び悩んだ。壊すのも無理、かと言って中に入る手がかりもない。なにか特別な道具や魔法が必要なのだろうか?


 すると、ダンの騎竜が彼らの下に飛んできて、ライラの背中をその口で突いた。「どうしたの? ラスト」と彼女が訊ねると、竜は頭と首を巧みに使って、ライラを無理やりその背中に乗せると翼を広げた。「わっ!なに?ちょっ……」


「あ、おい!ラスト!」ダン達が驚いて固まっている内に、竜はライラを連れて石柱の上まで飛んでいくと、そこでライラを降ろした。


「一体なんなのよ……ん?」


 ライラがぼやくと、彼女の横で竜が柱をトントン突いていた。

 

「どうしたライラ?なにか見つかったのか?」


 ライラが竜の指し示している場所に近寄ると、そこには文字が刻まれていた。だが、それは人間の文字ではない。


「……これは、竜の言葉ね」


「なに?どんな内容だ?」


「えっと……『神は持たず、獣も持たず、人のみが唯一持つ。それを示し、石柱に触れよ』……なにこれ?」


 ルンが先程断言したように、それは暗号のようなものだった。イラはそこに書かれている言葉の意味が分からず、顎をさする。だが、彼女の説明を聞いたダンは「ん?……そんなもんが鍵なのか?簡単じゃねぇか」と拍子抜けしたような返事。


「えっ?ダン、もうわかるの?」


「あたりまえだ。ユートと一緒にすんじゃねぇ」


 答えが未だ分かっていないユートの不満顔を無視して、ダンが石柱に触れると、大きな音と共に彼らの前に地下へと続く階段が現れた。

 

 ダンは「ライラ、よくやった。降りてこい。受け止める」とライラに伝えると、彼女は頷いて柱の天辺から彼の腕の中に飛び込んだ。

 

 ライラが腕の中で「どういうことなの?」と訊ねると、ダンは眉間に皺を寄せ、遂に開いた入り口を睨みながら答えた。


「『神は持たず、獣も持たず、人のみが唯一持つ』……この国の奴なら大抵は聞き覚えがある」


「それって……あぁ」ライラは彼のその言葉を聞いて思い出した。そうだ、たしかに自分にも心当たりがあった。それは……


「『ブラン川の歌』の一節。その答えは、『使命』だ」


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