第79話 ゴーレムダンジョン!
昼の日差しが町並みに降る。
領都コメルシアの冒険者ギルドを出た後。
僕は宿屋に行って一週間分の部屋を取った後、ゴーレムダンジョンへ向かった。
途中で保存食の他、新鮮な野菜や肉も買った。新品のキャンプ用品を手に入れたから、いろいろ作りたくなってしまった。
西門から街を出る。
馬車が数台すれ違えるぐらいの広い道。道の両側には青々と茂る田畑が昼の日差しに輝いていた。
ダンジョンは歩いて15分ほどの小高い丘の麓にあった。そこまでの道のりは踏み固められている。
行き交う冒険者の姿もちらほらとあって迷うことはなかった。
ダンジョンのある丘へと来た。
入り口に行列が出来ていたので僕も並ぶ。
しばらくしてゲートをくぐって中に入った。
地下一階は坑道のようにゴツゴツした岩肌で、木の柱が高い天井を支えている。通路の幅は広い。
中に入ってすぐはまだ他の冒険者が多かった。
少し道を外れて脇道へ入ってから装備を調える。ハーデスリングを装備して、毒竜の蛇剣を手に持った。
そして『気配探知』や『危険感知』を駆使しつつ、他の冒険者がいない場所へと向かった。
レンガを人型に組み上げたゴーレムがいた。ブロックゴーレムだ。
ざっと『鑑定』すると『Lv33 攻撃300 防御200 HP1500』
Lvの割には弱いけれど、敏捷が高いので動きが素早い。
問題は即死が通用するかどうか。
僕は毒竜の蛇剣を振るった。長く伸びてブロックゴーレムに切っ先が当たる。
ドォンッとドクロのエフェクトが発生して、ゴーレムを倒した。レンガが崩れ落ちて消える。
「お。ゴーレムにも即死が効いた」
「ブブッブブッ」
と、ミツコが嬉しそうに頭の上で8の字を描いて踊った。
ゴーレムのいた後からレンガが飛んできてアイテムボックスに吸い込まれた。
見るとただのレンガではなく『耐火レンガ』だった。
……反射炉作って鉄を鋼に鋳造できるけど、耐火レンガが何万個も必要なので個人では無理だなと思った。
ギルドの買い取り依頼にあったかなと思いつつ、次の敵がいる場所へ向かった。
岩を削って作られたストーンゴーレムだった。
即死が効いてあっさり倒す。
「ストーン系のゴーレムは簡単に倒せそうだ。次行こう」
「ブブッ」
頭の上に載るミツコが景気よく羽を鳴らした。
地下一階は人が多いので、冒険者が戦ってる後ろを通り抜けて行った。
戦闘せずに地下二階へ来る。
坑道のような二階もストーンゴーレムばかり出た。冒険者が多いのでさっさと通り抜ける。
地下三階からは少し様子が変わった。
天井の高い洞窟になり、道幅も広くなった。
道は広場に通じていて、広場にはアイアンゴーレムが一体いる。
しかしこの階も冒険者が多かった。どこの広場にも冒険者パーティーがいた。というか広場の隅にテントを張って野営しながら一体ずつ倒しているようだ。
「効率悪いな……」
僕は前世の知識を思い返す。
地下五階もアイアンゴーレムが出るはず。
「ミツコ、急ぐからしっかり掴まってて」
「ブブッ」
肯定の音を鳴らすとともに、6本の足で僕の頭にしがみつく。
首をかしげて落ちないことを確認すると、僕は次の階を目指して移動速度290%で走った。
地下五階からは石畳に石壁の、よくあるダンジョンになった。
ただし道幅は広く、天井も高い。
そして背の高いゴーレムたちが通路に出た。
特にやっかいなのがサンドゴーレム。
見た目は砂山状で、近づいてくると砂山から砂で出来た腕を伸ばしてくる。
物理攻撃が効かないので面倒な強敵だった。
僕は試しに毒竜の蛇剣を振るった。
砂が飛び散りながらドクロが浮かぶ。一撃で倒せた。
「即死が効いた」
そしてアイテムボックスに黄色い光が飛んできた。
見れば『黄魔結晶』だった。
「ほほう。レアドロップだ。幸先がいいね」
「ブーンッ」
ミツコも頭の上で喜んだ。
それから木箱を出して中に入り、久しぶりにボックスハイドの『消滅』を発動させた。
次の目標、アイアンゴーレムのいる部屋まで素通りするためだった。
ブロックゴーレムやサンドゴーレムを避けつつ通路を進む。
そして両開きのドアの前に来た。
押したが開かない。と思ったら引いて開けるドアだった。
中へ入ると、黒光りする巨大なゴーレムがいた。
何か想像と違う形だったのでチラッと『鑑定』する。
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種族:スチールゴーレム Lv53
攻撃力800 防御力1000
HP3000 MP300
スキル:『殴る』『蹴る』『身体強化』
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「上位種か……うわ、レベルが素数だ。即死の確率が25%」
少し迷ったけれど、ボスではないから危なくなったらいつでも逃げられる。
なので試しに戦ってみることにした。
スチールゴーレム目指して走りながら毒竜の邪剣を振るった。長く伸びた刀身が鞭のようにゴーレムを襲う
ギンッ! と硬質な音を立てて切っ先が弾かれた。
ゴーレムの肩に浅い傷が付く。
「攻撃が効いた!?」
自分でも驚きつつ、さらに蛇剣を振るった。
しかし何度攻撃を入れても即死が発動しない。ゴーレムの体に切り傷だけが増えていく。
ある程度攻撃したらゴーレムが立ち止まった。右手を突き上げて吼える。
「グォォォォ!」
ゴーレムが叫びながら突進してきた。凄まじい速度で。
僕は横に飛んでかわしつつ、蛇剣を振るう。
しかし、カンッ! と乾いた音を立てて弾かれた。傷もつかない。
『身体強化』だ。すべての能力値が二倍ぐらいになっている。
「くっそ!」
僕は悪態をつきながらゴーレムの攻撃をかわしつつ邪剣を振るった。
でも乾いた音を立てるだけで、攻撃は通らず即死も発動しない。
倒せそうにない。
――と。
何度目かの攻撃の時、ゴーレムに緑色の靄がまとわりついた。
「え?」
僕は距離を取り、回避に徹しながらゴーレムを観察する。
ゴーレムの巨体から緑の煙が発生するエフェクトが出ている。
――毒が効いた!?
鑑定すると毒状態になっていた。
そして部屋の隅から隅へと逃げ回ること1分ぐらい。
「グォォォォ……」
と断末魔の叫びを上げてゴーレムは倒れた。
鋼のインゴットと鋼の鎧がアイテムボックスに飛び込んでくる。
「アイアンゴーレム系は効きにくいけど、一応毒は効くんだ」
MISOでは毒攻撃はDPS(一秒辺りのダメージ)が少ないので僕もみんなも使ってなかったけど。
現実なら安全第一。これなら問題なくダンジョン攻略出来ると安心できた。
それから部屋を出て地下五階の奥を目指した。
地下五階の奥には中ボスの出る部屋がある。
僕は石造りの広い通路を迷うことなく歩いて行く。
ボス部屋の前に着くと、そこには先客がいた。
ボス部屋の前の小さい広間にテントを立てて野営の準備がすんだ4人組。男二人に女二人のパーティーだった。
一応『鑑定』しておく。
でも危険な称号や職業ではなかったし、Lv31~46までの、普通の冒険者のようだった。
襲われても勝てそうだと思いつつ、僕は彼らに近づいた。




